現実は理不尽だ。
好きな人はこちらを振り向いてくれず、変な男に抱かれて満足している。
現実は理不尽だ。
生きてほしい人はすぐに死に、どうでもいい奴ばかりのさばる。
現実は理不尽だ。
正義は伝わらず、偽善が大手を振って人を騙す。
現実は理不尽だ。
人生はちっともうまくいかない。
そこに、どういう理想を光明とするかが、物語だと思う。
物語の初心者は、
だから、理想的なものばかりを書いてしまう。
だからご都合主義になる。
作者本人だけが、理不尽な現実を否定できたと信じるが、
他の人から見たら、そんなわけないだろ、
そんな都合のいい理想郷が世界のどこにあるのだ、
と言われる。
(しかも最悪なことに、作者本人は悪くないと思っている)
キャリアを積むと多少ましになって、
理想郷の押しつけ、
たとえば巨乳で童顔の処女が主人公に惚れて離れない、
なんてのは、オカシイと気づけるようになる。
そこで、なんとかそれが成立するような、リアリティーのある条件から考えられるようになる。
さらにキャリアを積むと、理不尽な現実のカオスを書けるようになる。
悪役が人間的なばかりだけでなく、
人間や運命の残酷さも書けるようになる。
しかし理不尽がリアルなほど、
それに抗する理想が、ペラペラの願望に見えてしまい、
バッドエンドしか書けないか、
ご都合ハッピーエンドになってしまう。
さらにキャリアを積むと、
カオスも書けて、理想を自然に書けるようになる。
理不尽な現実を、物語の中の条件の時だけ、
理想的な世界へ変革してゆくことを可能にする。
それは大抵主人公の魅力だとか、人々の協力などによってだ。
(魔法やデウスエクスマキナなどの超常に頼るのは、既に卒業している)
ここで、ようやくアマチュア卒業だと思う。
ここからプロのストーリーテラーの入り口だ。
こういうのを20代前半までに終わらせていると、
見込みがある。
まあ、遅く出発した人もいるだろうから、
年齢はあまり関係ないかも知れない。
問題は何本書いて、これらをどれだけ通過してきたかだ。
最近、こういう人が減っているのかな。
それとも、採用する側に未熟者が増えているのかな。
原因はよく分からないが、
ストーリーテラーの入り口以前の作品が増えてきたような気がする。
現実の理不尽を知ろう。
その中でもなお希望を持てる話を、リアリティーを持って作ろう。
物語は、カオスへの抵抗である。
風魔の聖剣戦争でコスモはカオスに勝ったと言えるんだっけ?
対消滅しかしてないよね?
カオスに勝ててないんじゃん。
2015年06月15日
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