2015年06月15日

アクションが弱いときは、リアクションを強くするといい

熱湯風呂は、
アクション(風呂に入る)よりも、
リアクション(あっつ!と暴れまわる)の大きさで、
風呂の熱さを表現するギャグである。

この原則は、いつでも使える。


リアクションを、芸人のような顔芸に限定せず、
あることに対する、
感情の揺れ、
行動、
態度の変化や硬化、
などの広い意味で考える。

ある行動や言葉や何かの結果が、
たとえ小さな表現だとしても、
それへの行動を大きなものにすることで、
その事実の大きさを示すのである。

例えば、
写真一枚を見せられて、会社を辞める、
誰かの一言を大事にして大統領になる、
目線ひとつで火がついて殴りかかる、
などなど。

リアクションの大きさで、
前提のアクションの大きさを示すのである。


アクション自体を大きくして、
ことの重大さを示すパターンもあるだろう。
研究所が爆発する、
大地震が起こる、
などから始まる話があっても、勿論いい。
しかし大抵は、
アクションが小さいのに、
リアクションの大きさでことの大きさが分かる、
というパターンだ。

プロの作品を、そういうところに注目して見てみるのも勉強だ。


ドラマ風魔の10話「告白」のクライマックス、
小次郎の告白シーンを例にとると、
「デートっぽいことしようよ」という女の子の小さな願望への、
小次郎のリアクション(告白)が、
ことの大きさを示している。
勿論、作者的には告白をすることは既に決まっていて、
それをどうはじめるかだけなのだ。
なるべく小さなアクションから入り、
リアクションで増幅していく、という小技を使っているのである。
(勿論、冒頭シーンの「強い善人」の伏線炸裂という大技が効くのだが)

これが逆に、「今から告白します!」という、
大きなアクションからはじめてしまっては、
ちっとも面白くないだろう。(大抵尻つぼみになる)
時にそういうストレートもあるけれど、
それは、おはなしの楽しみとは外れるような気もする。


まさか、風魔の中でもベストシーンのひとつ、
「告白」と熱湯風呂が、同じテクニックで書かれているとは、
初心者には想像もつかないかも知れない。

感動だろうが爆笑だろうが、
人の心を動かす原則に変わりはない。

アクションではなくリアクションである、
と言われる芝居の原則は、
そのようなことだ。

勿論、リアクションへのリアクションも、
同じ原則がはたらく。
つまり、そうやって、お話はどんどん面白くなって行く。
posted by おおおかとしひこ at 14:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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