熱湯風呂は、
アクション(風呂に入る)よりも、
リアクション(あっつ!と暴れまわる)の大きさで、
風呂の熱さを表現するギャグである。
この原則は、いつでも使える。
リアクションを、芸人のような顔芸に限定せず、
あることに対する、
感情の揺れ、
行動、
態度の変化や硬化、
などの広い意味で考える。
ある行動や言葉や何かの結果が、
たとえ小さな表現だとしても、
それへの行動を大きなものにすることで、
その事実の大きさを示すのである。
例えば、
写真一枚を見せられて、会社を辞める、
誰かの一言を大事にして大統領になる、
目線ひとつで火がついて殴りかかる、
などなど。
リアクションの大きさで、
前提のアクションの大きさを示すのである。
アクション自体を大きくして、
ことの重大さを示すパターンもあるだろう。
研究所が爆発する、
大地震が起こる、
などから始まる話があっても、勿論いい。
しかし大抵は、
アクションが小さいのに、
リアクションの大きさでことの大きさが分かる、
というパターンだ。
プロの作品を、そういうところに注目して見てみるのも勉強だ。
ドラマ風魔の10話「告白」のクライマックス、
小次郎の告白シーンを例にとると、
「デートっぽいことしようよ」という女の子の小さな願望への、
小次郎のリアクション(告白)が、
ことの大きさを示している。
勿論、作者的には告白をすることは既に決まっていて、
それをどうはじめるかだけなのだ。
なるべく小さなアクションから入り、
リアクションで増幅していく、という小技を使っているのである。
(勿論、冒頭シーンの「強い善人」の伏線炸裂という大技が効くのだが)
これが逆に、「今から告白します!」という、
大きなアクションからはじめてしまっては、
ちっとも面白くないだろう。(大抵尻つぼみになる)
時にそういうストレートもあるけれど、
それは、おはなしの楽しみとは外れるような気もする。
まさか、風魔の中でもベストシーンのひとつ、
「告白」と熱湯風呂が、同じテクニックで書かれているとは、
初心者には想像もつかないかも知れない。
感動だろうが爆笑だろうが、
人の心を動かす原則に変わりはない。
アクションではなくリアクションである、
と言われる芝居の原則は、
そのようなことだ。
勿論、リアクションへのリアクションも、
同じ原則がはたらく。
つまり、そうやって、お話はどんどん面白くなって行く。
2015年06月15日
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