2015年06月18日

テーマをただ表現しても、面白くないよね

どんなに崇高なテーマだとしても、
それをそのまま表したって面白くない。
おはなしとは、まず第一に(テーマがなかったとしても)
面白くなければならない。
テーマのことを考え始めると、そっちが疎かになるときがある。


テーマの逆(不足や欠落や渇き)からはじめて、
なんらかの克服を経て、
主人公は変化する。
そして得たものやその変化そのものが、
テーマを意味している、
というテーマの基本構造は、
「面白い話」が前提だ。

ここでは面白さとは、について深く入らない。
(入っても迷路ばかりになるし)

面白い話に、この構造が同居していなければならないのである。
その面白さは、テーマと殆ど関係ない面白さだ。
これをお楽しみポイントと言ったり、
コンセプトと言ったりすることがある。
(実際は、完全に無関係ではなく、
テーマの逆と関係していることが多い。
例:「愛しのローズマリー」
テーマ:人は外見ではない
テーマの逆からはじまる:不細工無視、美人しか追わない
お楽しみポイント:巨漢ブスを美人と思い込む催眠術をかけられた上での、
スーパーラブラブデート)


面白い話をまず書け。
それがどんなテーマを内包しているか観察し、
そのテーマの逆から入り、テーマが結実するようにせよ。

あるいは、テーマの逆から入り、テーマを結実させる話をつくり、
それを面白おかしい話にせよ。

僕は、前者の方が後者より簡単であると思う。


テーマが先の話は、どうしても硬い。
朝礼の校長先生の話みたいに、詰まらないのだ。
それよりも、話が面白い先生の方が受ける。
で、その先生がちゃんとテーマのある筋を話してくれたときのことが、
一番記憶に残るのである。


理想は、テーマの話とお楽しみポイントを同時に思いつくことだ。
同時というか、不可分の話として、まるごと出てくることである。

これがどうやったら出来るのかは分からない。
出来ない人は一生出来ないし、
出来る人でも段ボール二箱書き潰さないと自在にならないし、
普通の人でも(素養と根性があれば)段ボール二箱書き潰すとある程度出来るようになる。
また、出来る人にもスランプや書けない病は襲ってくる。

しかし、理想は、二つが不可分のものとして、同時に思いつくこと。


ちなみに、大岡式トライアングルメソッドでは、
これにビジュアルを加えて、
三つ同時に思いつくことを推奨している。
ビジュアルとはルックスではなく、場面のことだ。
絵になる(素敵な、面白い)場面を思いつけば、それで映画は勝ったようなものだ。



まず面白い話が出来ること。
それがテーマを表しているような話であること。

この順で成長した方が、
テーマをつくってそれをちょっと面白くアレンジする、
という手堅い成長の仕方より、
最終的に到達点が高いと思うよ。

後者が今のCM業界ですな。
(そのちょっと面白く、のレベルがどんどん下落しているね。
まあテレビもそうなんだけどね。
じゃあ何が面白いんだ? それを作るのが、最優先だと思うよ。
テーマは、その面白いものをつくるものの、言い訳ぐらいでいいかもだ)
posted by おおおかとしひこ at 12:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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