十年前の僕が、こんなことを言ってたそうです。
「批評家であるより視聴者であれ」
うちの後輩が何故だかその原稿(NHK講演会)を持ってて気恥ずかしくなりました。
いいこと言うたるぜ、という若さが目立ちますねえ。
意図は「お茶の間の感覚を忘れて、専門家しか分からない話をするな」
ということです。専門知識を捨てて馬鹿になれ、と言ってる訳じゃない。
十年ぶりぐらいにこの言葉を更新するとしました。
そこへ、全員を連れて行け。
あなたの意図する、高みやボトムや、感動や爆笑が、
「全員」に味わえるようにしてあげなさい。
全員が同じ所で笑い、
全員が同じ所で泣き、
全員が同じ所で同じようにハラハラドキドキし、
全員が同じ所ではらわた煮えくり返り、
全員が同じ所でやられた!となること。
それが映画やドラマを見る楽しみです。
色々なお客さんがいます。
客商売をしたことのある人なら知ってるはずです。
ほんとうに色んな所に目くじらを立て、
納得いかなければ烈火のごとく怒られます。
何故怒るのか、答えは簡単です。
あなたのゴールへ、あなたが連れて行けなかったからです。
あなたのゴールへ、あなたが強引に連れてったからです。
全てのお客さんを、一人も途中で取りこぼす事なく、
全く同じ深い感情へ連れて行きましょう。
片寄ったやり方じゃ一部の人しか連れて行けません。
急いでも遅くてもだめです。
全員の手を引いて、全員の顔をちゃんと見て。
それは、お遊戯のような幼稚な事をせよ、
ということではありません。
中学生のIQに合わせることでもありません。
あなたの信じる娯楽のレベルを下げては行けません。
あなたが降りるのではなく、
みんながあなたの所へ行けるようにするのです。上下じゃないんです。
普通の人が普通に楽しめる。
普通の人が夢中で楽しめる。
片寄った人もいつの間にかそこへ引きずり込む。
いつ見ても同じように引き込む。
どんな時代に見ても引き込む。
ちょっと見るだけだと思ってても最後まで見てしまう。
しかも全く新しい。
それが王道です。
そこへ、全員を連れて行け。
それが出来るのはあなただけです。
だからあなたは尊敬されるのです。
さあ、次はどこへみんなを連れて行く?
それはつくった?
そしてどうやって?
そこへ、全員を連れて行け。
あ、今の俺が100%出来てるとは思えないけど、次回こそは100%目指します。
十年経ったら、いいこと言うたるぜという若さが気になるだろうな。
2015年06月19日
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