漫画を読まない人で、脚本を書こうという人なんて殆どいないだろう。
誰もが漫画の影響下にある国が日本かもだ。
ところが、漫画に夢中になればなるほど、
脚本に悪影響があるのでは、
ということに気づいた。
何故なら、「うまく完結する漫画は稀」だからだ。
映画は落ちが全てだ。
ラストシーンでテーマが定着し、
これまでの物語の意味が決まる。
その為に落ちの逆の状態からはじめて、
最初と最後の落差を最も大きくし、
間の紆余曲折を楽しめるように作る。
つまり、全体の設計図があり、
書き終えてもなお、全体をバランスしなおし、
最も落ちが効く形に練り直す。
しかし、漫画の作り方はそうではない。
勿論ある程度の構想はあるだろうけれど、
週刊漫画は特に自転車操業だろう。
ジャンプ方式でアンケートに展開が左右される場合もある。
人気がある限り続けさせられ、
最終回を迎えたくても迎えられず、
壊れていく漫画家が殆どだ。
ベストの最終回を迎えられた作品なんて、
母数に比べれば一握りだろう。
(ジャンプだとリンかけぐらいじゃね?)
一本で完結するものと、
続き物で儲けるスタイルの違いだ。
極端な話、
最終回が糞で、テーマなんて何もなくて、
意味不明で、物語の意味が決まらなくても、
その一話前までがおもしろければ、
儲かるのだ。
「最終回できちんとまとまった」漫画のいかに少ないことか。
だから、漫画とはほぼ全て、
「途中まで面白くて、途中から面白くなくなるもの」
のことなのである。
コミックス売りが馬鹿に出来ない分量になってきたから、
流石に最近はちゃんと終わらせる作品も増えてきたが、
それにしても、映画のような、
落ちでテーマが決まるような見事なものはレアだ。
だから、
漫画の(悪)影響を受けている人ほど、
「うまく落とす」のが下手なのではないか。
映画で落ちがダメなものは、
確実に糞だ。
(逆に落ちだけよくて途中がダメなものも、
それなりに評価される)
糞ラスト映画は二度と見なくていい。たとえ途中が面白くてもだ。
ところが最終回が糞な漫画でも、
ある程度評価されるのだ。
この差だと思う。
「どう終わらせたらいいのか分からない」、
それは殆どの連載中の漫画家の叫びではないだろうか。
映画シナリオでは、
うまく落ちをつけられる奴が尊ばれる。
しかし漫画では、
うまくはじめて転がしのうまい奴が尊ばれる。
落ちなんて必要とされていない、と極論出来る。
映画とは落ちのことである。
漫画とは展開のことである。
(数学的に言えば、
映画は閉区間で、漫画は半開区間だ。
はじまり≦映画≦落ち、はじまり≦漫画
の違いだ)
だから、漫画に影響されている人ほど、
落ち前提の展開について、よくわかっていないのではないだろうか。
だから、途中で挫折するのではないか。
漫画の打ちきりのように、尻すぼみになるのではないか。
あくまでも直感だけど。
映画をたくさん観よう。漫画より数多く。
そうやって、落ちへ向かう展開や、
落ちへ向かう話のはじめかたについて、
漫画より影響を受けよう。
落ちのない漫画の毒を、抜こう。
(ここで言う漫画は、少年漫画を想定している。
比較的うまく最終回を迎える少女漫画には当てはまらない。かも)
2015年06月20日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック