2015年06月21日

あなたは一番何を練習しましたか?

今死んで神様が来たとして、
あなたはこの質問になんと答えるだろう。

絵の練習よりも、歌の練習よりも、シュート練習よりも、
人付き合いの練習よりも、
僕はストーリーの練習をしました、
と言えるだろうか。


一番練習をしたものが、
得意技になるべきだ。
元々得意なものは得意技ではなく、
楽に出る技に過ぎない。
(楽に凄い技が出るのを天才というのかもしれない)

本当の得意技は、
一番練習したものだ。

テーマへの落とし込み?
台詞?
キャラクター?
プロット?
ストーリーの部分集合の、何かでもいい。
その何かを、一番練習した?
(今気づいたのだが、僕がわりと台詞が得意なのは、
関西から東京に出てきて苦労したせいかも知れない)

得意技になるまで、苦手だったものを克服した?
一番失敗のパターンを知っていて、
一番リカバリーのやり方も開発していて、
一番別れ道や裏道や抜け道も知っていて、
一番最悪の場合でもここまではなんとかなることを知っていて、
一番無意識に出るのは、
一番練習したものだ。

あなたの神経細胞の中に一番入っているものは、
一番練習したものだ。

それがストーリーであるように、
練習するべきだ。



僕は、最初にストーリーに挫折したのは、
16の時だった。
漫画家になりたくて手塚賞に応募したのだが、
パロディばかりやってきた自分が、
そこではじめてオリジナルのストーリーを書かざるを得なくなった。
そのとき、俺にはストーリーの才能がないと思ったのだ。

だからそこから懸命に学んだ。
大学で撮った一本目の映画も、
撮影や編集はよいがストーリーが弱いと言われた。
ストーリーって何なんだろうと、
ずっと自問自答して、
二本目三本目は、ちょっとましになった。
CMの短さなら、ストーリーを沢山練習できると思って、
なんだかんだ言ってストーリーものばかり撮ってきた。
だから僕のストーリーは、才能じゃなく努力だ。

そうじゃなきゃ、こんなに毎日ストーリーのことについて、
書けるわけがない。
一番鍛えたから、一番時間を使ったから、
これだけ語れてネタが尽きないのだ。
二年ちょいで1700記事って、どういうことやねん。


一番何を練習しましたか?
はい。ストーリーです。
よくがんばりました。
そう微笑む神様が、ストーリーの神様であるといい。

そこまであなたは、桜木花道ばりに、
地味に一万本練習をするべきだ。
誰も誉めてくれないし、いつやめても誰も何も言わない。
部活と違って、大人の人生にコーチはいない。
あなたが一人で続けることでしか、
練習は出来ない。

目つぶってたって、なんとかなる。
そこまで練習したら、
ようやく得意技になるだろう。
あなたの体の中に、ストーリーテリングが入った証拠だ。
(これは、漫画「ホーリーランド」の中で、
空手使いが言う台詞「最近ようやく体の中に空手が入ってきた」
をもじっている)
一生練習。実戦でも練習。
posted by おおおかとしひこ at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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