2015年06月22日

名作の研究のしかた

まず名作を見よう。なんでもいい。
大好きで研究に値するものがいい。

それを、分解していくのである。


1 感情を書いていく

どんな感情を受けたか、言葉にしていく。
まず作品全体で。
「面白い」には様々な部分集合がある。
爆笑した、感動した、知的に感心した、
ワクワクした、燃えた、人間の恐ろしい業を見た、
予想を越えられ呆然とした、
などなど、なんでもいい。
あなたの言葉ではなく、
なるべく他人に伝えられるものがいい。

次に、色々な場面を思い出し、
それに伴う色々な感情を記録しよう。
10や20は場面を思い出し、感情を併記出来るはずだ。

それは、その映画の面白さのエッセンスだ。


2 それがどうやって出来ているか分解する

何故わたしはそのような感情になったのかを分析する。
それを法則化するといい。
「大分前の場面で前振りしてあることをこの場面で使ったので、
忘れていた頃だったのでとても驚いた」などのように。
これは比較的ポピュラーな法則で、一般には伏線と呼ばれる。

あなたのオリジナル法則を見いだしてもいいし、
よく聞く法則の具体化の例だな、などと理解してもいい。

面白さを抽出して、法則化しておくのである。

これは自然科学のやり方だ。
対象を分析し、分類し、抽象化し、法則を発見するのである。


3 他の名作でも同じことをする

沢山名作を見よう。しかも、似たジャンルを制覇することと、
全く違うタイプの名作を制覇することを同時にやろう。
どっちかしか出来ないなら、後者優先。

全く違うタイプとは、ジャンル、国、雰囲気、目指してるもの、
時代の違うものを言う。
名作に関しては雑食にせよ。
どんな分野にも先人の名作があることを知ろう。
ここで広い見地を得ておくことが、
今後の無知を救う。
あなたが思いつくことは、大抵既に誰かが思いつき、
しかも名作にしたてあげていることを知ろう。
あなたは、そうでない新しい名作を思いつかなければならない。

邦画、アニメ、ハリウッドメジャー、ハリウッドインディーズ、
ヨーロッパ(イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、デンマーク、チェコ)
ロシア、インド、アジア(中国、韓国、香港、台湾、タイ)
などの映画を見ること。
80年代、70年代、60〜50年代、90年代の映画を見ること。
エンタメ系、アート系、文学系、実験系の映画を見ること。
アカデミー受賞作品(作品賞または脚本賞)、カンヌ受賞作品、
その他受賞作品を見ること。
聞いたことある名作、聞いたことないけど名作らしいものを見ること。
名作の中にはどうして名作なのか分からないものもあるだろう。
詳しい人に聞いたりして、その理由を知るのも勉強だ。

何本か?
これらを満たすのは100本でも足りない。
1000本ぐらいは見たほうがいいんじゃない?

分析は、100ぐらいはやりたいね。


4 あれ、これ前に出てきた法則だ

というのが、数を見るほど増えてくる。
同じ(似た)法則の別パターンだ。

そうするとあなたのなかで、法則化が更に明確になるだろう。


5 脚本理論の教科書を読む

僕が推奨するのは、シド・フィールドと、ブレイク・シュナイダーだけだ。
そこに例に出されている名作を見るのもとてもいい。




あなたの映画ノートは膨大になるだろう。
抽出した法則をリストアップして、整理してもいい。

あとは、自作に応用するだけだ。


大岡俊彦の見るべき映画100本は、リストアップが面倒なので勘弁してくれ。
いつかやりたいけど。
posted by おおおかとしひこ at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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