2015年06月22日

冒頭の研究

ドラマ「風魔の小次郎」は、僕と市野監督が二話ずつ交代で監督しているのは、
知っていると思う。
冒頭のやり方が、この二人でまったく違うことに気づいた。


ちなみに僕担当回は、
1(小次郎登場)、2(風魔終結)、
5(小龍)、6(霧風)、
9(麗羅デビュー)、10(告白)、
12(決戦)、13(最終回)だ。

市野さん担当回は、
3(竜魔)、4(項羽)、
7(劉鵬)、8(サイキック対決)、
11(麗羅)だ。

市野さんは、毎回アバン(OP前)に食卓コントを仕掛けてくるのが特徴だ。
冒頭は、「依頼」または「前回のおさらいまたは、リアクションから開始」などの文脈で、
人々の関係性を中心に描き、感情移入から入る。
市野さんはどちらかというとメインとメインの繋ぎになるような、
ほっとした話をつくるのがうまいから、得意料理から出してくるパターンだろう。

僕はそうではない。
必ず、「冒頭で起こったこと(または事件)がのちに伏線になっているように仕込む」
をやっている。

1話は原作あわせの蜂のためそれを出来なかったが、
最終回でブックエンドになる、白凰学院の惨状と姫子の気持ちは仕込んでいる。
あとは全ての回で、「クライマックスの仕込を冒頭にする」をやっている。
絵里奈登場回(強い風)、
小龍回(血羽)、霧風回(墓の前の会話)、
麗羅デビュー回(敵に寝返った男)、告白(強い善人)、
決戦回(最終回に使う時計)、最終回(絵里奈が二人を心配)。

ただ、市野さん回でもドラマティックな、8(サイキック対決)や11(麗羅の死)
に関しては、冒頭にクライマックスの仕込をしている。
(木刀、小次郎くんが心配)
市野さんは、ドラマティックなものとそうでないものを使い分けているようにも見える。
僕よりベテランな分だけ、技が多彩なのだろう。

今回分析してみて、
意外にも僕は全回無意識的に、
クライマックスで使うものを冒頭に仕込んでいたことが分かった。



お話の冒頭部は、
事件の導入であり、
感情移入の最初であり、
観客の気持ちの暖め場所でもある。
市野さんはあっためるのがうまく、僕はそこまで余裕がないから濃く詰める。
そういう両者の差はある。


何を冒頭からはじめるかは、とても難しい。
ちなみに昨日アップしたばかりのてんぐ探偵43話妖怪「雇われ」は、
「大工の釘は自分もちである」という事実をツカミにして、冒頭をはじめている。
うんちくはじまりのパターンだ。
(そして当然だけど、それはクライマックスの仕込にもなっている)
posted by おおおかとしひこ at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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