まず、解決の瞬間を思いつく。
ドラマティックなクライマックスのラストだ。
直接解決したその人が、主人公。
(これはもはや定義といっていい)
何故その主人公は、事件を解決しようと思ったのか?
を考える。
まずは外的動機から。
生活のため、職業上の理由、
巻き込まれていきがかり上、
逃げるにはいかなくなったから、
などの、「強制的な理由」が殆ど。
これを無理のないように設定することが、話を自然にする。
次に内的動機。
何故主人公は、公人ではなく私人として、
「個人的に」この問題を解決しようと思ったのかを考える。
(例:文化祭委員を引き受け、文化祭を成功させたのは、
外的動機は文化祭委員だから。
内的動機は好きな子が文化祭委員だったから。
この場合は最初から内的動機が企みとしてあり、
外的問題(文化祭の成功)を内的問題の解決(彼女と仲良くなること)に、
利用したパターン。
そうでなく、内的問題を自覚しないまま巻き込まれ、
ああこれはこのようだから必死だったのだ、
とあとで分かるパターンもある。
「ロッキー」は、中盤以降に徐々に深く言葉になって行く)
外的問題と内的問題を整理する。
解決するのはどういう事件か。
主人公の内的動機に関わる内的問題とはどのようなものか。
どちらも、物語で解決出来るレベルを想定すること。
「モテナイ男がモテモテになる」などの画期的問題解決を選んではいけない。
お話で解決出来る問題は、殆どが、解決法を知っている
(個人的に、または先人の書いたものの中にある)問題に限る。
事件と解決法のペア。
内的問題の解決は何によってなされるか。
(例:恋する文化祭委員なら、後夜祭の告白の成功など。
ロッキーなら、試合には負けたが勝負には勝ったこと)
これらを整理しよう。
表にかくといい。
主人公の動機についても、表に書き込もう。
次に、事件解決後の状態と、初期状態をつくる。
その差が、解決したことの価値や意味を示す。
つまりテーマだ。
その差が大きければ大きいほどドラマティックに、
あまりなければ小さな話になる。
(話の大きさとか小ささとかは、予算や尺や空間的スケールではなく、
この差の絶対値に比例する)
既に書いた表から自動的に読み取れる場合が多いが、
テーマを改めて書いてみるといい。
(あとで変更の可能性も高い)
これは、そのテーマを示すためのお話(モチーフ)だ。
次は、初期状態から最終状態に至る、解決ルートをつくる。
どうやって主人公は事件に出会い、
どうやって主人公は解決直前のシチュエーションにたどり着き(何をしてきて)、
最後に解決の一手をどう打ったかをだ。
その際に、邪魔をする敵、味方をしてくれる人、
いきがかり上同席する人などについても考える。
敵は悪でなくても構わない。
主人公一人では物語にならない。(一人言)
登場人物二人でも物語にならない。(セカイ系)
世界は複数の違う意図の人々で構成されていて、
物語はこれに無理を通そう(主人公の目的は、他の人から見たらトラブルである)
とする過程を描くのだ。(もめごと、コンフリクト)
主人公以外にサブ人物が何人いればいいか。
二人ぐらいが関の山か。
二時間映画では、少なくとも4、5人は深く描かれるキャラクターがいるものだ。
つまり、複数人を主役クラスで考える。
主人公のストーリーラインをメインストーリーラインというのに対し、
他の人物をサブストーリーラインという。
主人公並に、準主人公並に、サブストーリーラインがしっかりしているものある
(ラブストーリーならヒーローとヒロインのストーリーラインは、
少なくとも濃い)し、
主人公だけ明確にストーリーラインがあって、
他はオマケ程度という場合もある。
いずれにせよ、それぞれに事情を背負っていて、
主人公の存在や出現、または事件の関与をきっかけに、
それぞれの動機で行動する。
このとき、各人物の性格や特徴などがキャラ立っていると、
区別がつきやすいだろう。
ここでようやく世界を決める。
現代日本、現代アメリカその他の国、
SF、西部劇、架空の星、江戸時代、中世ヨーロッパ、
架空の世界などなどだ。
シビアなのかコメディ風なのかもだ。
そのストーリーライン達を表現する、
最も的確で最適な、あるいは最も意外な、
あるいは最も面白そうな世界を選ぶか構築しよう。
(例: 恋する文化祭委員なら、現代学園ものとは限らない。
藩の祭りを主催する地元のやくざと交渉することになった、という江戸時代でもいいし、
忘年会委員を押しつけられた会社員二人のサラリーマンものでもいいし、
宇宙人との交渉相手に好きな人が指名され、それを助ける男のSFでもいい)
この世界の選び方によって、急に物語に色がつく。
世界から話をつくるのではない。
話のために世界を選ぶ(またはつくる)のだ。
ちなみに、世界を選ぶと、
その世界のルールや枷を使って、
サブストーリーラインやメインストーリーラインのネタを作ることも出来る。
(例: 上の例だと、それぞれ関所突破、領収書の改竄、ウラシマ効果による時間飛び越えなどを、
ストーリーの急所やスパイスのネタに使える。
小説「てんぐ探偵」は、サッカー好きの小学生を利用して、
ちょいちょいサッカーネタにひっかけて話を作っている)
ネタからストーリーは作れない。
既にあるストーリーが、ネタを利用するのだ。
さて、全ての要素を一枚におさまるように書き出そう。
まだ文章になってなくてよくて、
箇条書きとか表とか不定形のメモで構わない。
(いったんコピーを取っておくことをすすめる)
これが、物語の原型だ。
これを練る。
つまり一部を変更したり、削ったり、足したりして、
より面白そうにしていく。
展開を変えたり、サブストーリーラインを変えたり、
出会いのパターンを変えたり、
テーマを変えたり、
主人公を変えてもいい。
どの段階に戻ってもいい。
消したり書いたり、好きなように、面白くなるようにいじる。
で、次に白紙を用意して、
一言でこの話を言うとすると何かを書く。
それがよれていてスッキリしていなければ、元を削る必要がある。
それが物足りなければ、力強い何かを足す必要がある。
そうやって、面白い物語ができた、
と思うまで煮込んでいく。
しばらくすると、キャラが勝手に動き出したり、
勝手に喋り出したりする。いい傾向だ。
ここまで出来れば、
プロットを書きおろしてみたり、
ログラインを書いてみたり、
大岡式トライアングルに乗っけてみてもいい。
その上で、また最初に戻って、細かいところを整えていくといい。
最初にネタから入ったり、
最初に世界観から入ったり、
最初にキャラから入ったりするのは、間違いである。
それらは、
ネタは面白いがストーリーは面白くないものになる。
世界観は面白いがストーリーは面白くないものになる。
キャラは面白いがストーリーは面白くないものになる。
逆だ。
ストーリーが先にあって、その上にディテールが乗るのである。
ストーリーをつくるのは、逆算である。
その上で、頭から面白おかしく語っていくのである。
2015年06月24日
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