2015年06月25日

逆算のこと3:三題噺

このあたりを自得するには。

江戸時代のやくざだけ残して、
別の話を持ってくる機転を利かせるには。

三題噺で鍛えるのが効果的だろう。


ちょいちょいこのブログでも出ている三題噺。

ルールは簡単。
三つのランダムなお題をみつけて、
それさえ使えば何してもいいから、面白い話をつくること。

たとえば、
「ピンク、窓、はちみつで面白い話を」
「バイク便、松、ツボ押しで面白い話を」
「雲、しましま、左利きで面白い話を」
などだ。
三題の選び方は、被らない方がいい。
たとえば、「白い」と「雲」や「服」は同居しないほうがいい。
「白い」「黒」もだろう。
結びつきにくい三つを選ぶのがコツである。

制限はペラ一枚程度でいい。プロットでも台詞つけてもいい。

元々落語の噺家の芸で、即興で落語をつくるのである。

噺家だから、膨大なお話のストックがある。
それらを分解して組み合わせて、枕、展開、落ちをつくるのである。
小話でいいが、落ちが落ちなくてはならず、
ここが難しいところだ。
もちろん、だらだらやるのは粋ではなく、
スパッと切れる落ちが粋である。


落語家に出来て、脚本家に出来ない訳がない。
面白おかしく演じる必要はなく、
原稿に書けばいいからだ。
(なんかの忘年会ででもやるべきだよね)




「なんか面白い話をつくって」だけでは難しいから、
ヒントというか、モチーフのきっかけというか、
ガワの一部というか、そういうものを得て、
お話をつくる訓練である。

前記事の例をまた出すと、
「恋する文化祭委員の話を、江戸時代のやくざと祭りをつくるガワで表現した」ときに、
「江戸時代のやくざは面白いから、その他を直せば?」
という指示は、
「恋、一緒に働く、江戸時代のやくざ」という三題噺を、
たとえば、
「指名試合、引退、江戸時代のやくざ」という三題噺に書き換えてくれ、
という指示なのだ。
(ロッキーの江戸版という要素を入れてみた)

全部のディテールをつくるのは大変だから、
まずは三題噺程度の分量で、検討に値するかどうかを出せばいい。
ついでに、
「A、B、江戸時代のやくざ」という別のパターンの三題噺を
つくっても大歓迎だろう。


つまり。

素人は、お話の構造とか、分からないしどうでもいい。

表面に現れた三題が面白いかどうかで、
90%ぐらい面白いかどうかを見ている。

あとは落ちさえうまく落ちれば完璧だ。


しかし、それで観客は騙せない。
三題が面白くたって、
話が面白くないものはやはり糞だからだ。

世紀のうんこ映画ガッチャマンは、
「ガッチャマン、カッコイイトーン、剛力」の三題噺だ。
その中身は、
ケンとジョーが元恋人のベルクカッツェを取り合い(回想)、
ジョーがベルクカッツェに変身し、
ケンが1000万人が死ぬリスクを犯してジョーを助ける、
というものだった。
うんこばかりの地雷源だ。面白い要素が「ガッチャマン」しかない。
(しかもデザインと設定放棄。鼻で笑うわ)



三題噺を沢山書こう。

どんな三題が来たって面白い話が書けるようになったとき、
あなたは、プロレベルの基礎が出来たと言えるだろう。
posted by おおおかとしひこ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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