スタッフが何をしているか、知っておくべきこと。
棒を突き出して声を録っている人は、
現場の音場の測定も兼ねています。
映像再生時に安定して台詞が聞こえるのは、
マイクの音量もさることながら、音場が一定であることも重要です。
各カットでバラバラの音場にしたら、一定のクオリティーになりません。
またその人は、一生それをやるわけではなく、
クラスチェンジしてミキサーになります。
ミキサーは、音のことのボスです。
音楽、効果音、台詞、全ての責任者です。
実際に卓を操作することもありますが、
数十の音のレベルやEQや5.1パンニングやディレイを調整して、
音場をつくるのが、最終責任です。
その為の仕込みが一番大事です。
棒を突き出して声を録っている人は、その一次接点。
棒が現場ではなく、
ミキシングルームが現場なのですよ。
関係者以外立ち入り禁止ですけど。
照明を打っている人は、
照明技師のアシスタントです。
クラスチェンジすると照明技師になります。
照明技師は大抵10人ぐらいの照明部のボスで、
撮影部と連携します。
カメラがあっても絵は良くなりません。
カメラと照明のコンビが絵を良くします。
女優の顔にだけライトを打つのではありません。
絵の中の全てのものに、
光を足したり影を足したりして、
陰影をつくるのが照明技師の仕事です。
光が足りないから電気をつけるのではなく、
光のバランスを変えて、絵を作っているのです。
きっと女優は、照明が整ってから現場にはいるから、
朝一から機材を搬入して、
何もないところから照明を組みはじめるところを見たことがないでしょう。
男のダイナミックな現場ですよ。
鳶の能力が必要です。
スケジュールを調整する人は、
クラスチェンジするとプロデューサーになったり、
映画会社の社長になります。
一作品あたり300人とかのスケジュール調整しなきゃいけないので、
数学使わないと難しいです。
ちゃんと勉強を脱落しなかった人だけが、
これを出来ます。
出来ない人は早晩首です。
苦労せずにスケジュールが出来るようになると、
制作進行だけでなく、金のこともいじりはじめて、
ラインプロデューサーやプロデューサーに上っていくでしょう。
つまり現場で女優が見れる人は、
後ろに控えてる各部署のボスの、アシスタントなんですね。
一生それをする人はないと思いますよ。
女優が接する各部署のボスは、
スタイリスト、ヘアメイク、監督、プロデューサー、カメラマンぐらいですかね。
ハリウッドでは逆に、それを専門職として一生食っていく人がいます。
日本よりも労働組合が強く、
共産主義的に、職業が保証されているからです。
9時5時で残業代つき、仕事に決してあぶれない、
公務員クラスの高給取りで生活も補償。年金はつくんだっけ。
素敵な職業じゃないですか。
日本ではその保証がないまま、
みんな上へ上がろうと必死です。
僕はそれを、メイクされた女優よりも、
美しいと思います。
2015年06月25日
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