2015年06月26日

ラフと仕上げ

なにごともそうだけど、
ラフの状態からはじめて、仕上げにいたる。

しかし、仕上げを一度もしたことのない人は、
ラフだけをいくらやっても無駄である。


それを説明するに丁度いいイラストをネットで拾ったので、
それをはっておく。
(作者の方無断転載すいません。ものごとの本質の勉強のために利用させてください。
以下の引用のされ方が気に食わないなら、その旨連絡してきてください)
ironmanillustmain.jpg

「アイアンマンを鎧風にリデザインする」というコンセプトで、
これは人を楽しませようとしている。

さて、幸い四段階が残っている。
左から順に、
ラフ、線画クリンナップ、色稿クリンナップ、修正後最終形、とでも呼んでみる。
ややこしいので、以下、A、B、C、Dとしよう。

脚本を勉強する人は、
Dを一度も作ったことがなく、AやBあたりでぐずぐずしている人のことが多い。
あるいはCまでは出来るが、
その後色々と足したり引いたりして、Aを描いた時点では考え付かなかった、
Dにたどり着く人なんてほとんどいないだろう。

CやDにたどり着くには、もちろんAがしっかりしていなければならない。
しかし、一度もCやDを描いたことのない人が、
何本Aを描いたって一生そこにはたどりつけないのだ。
脚本に無理やりたとえれば、
Aはアイデアやプロットのラフスケッチ、
Bはプロット、
Cは第一稿、
Dはリライト後のフィニッシュ、
と言えるだろうか。

あるいは、
一度CやDまで描いた人の描くAやBは、
その後にやる時のことまで考えた上でのAやBであり、
余白や無駄や改良の余地を残しての次段階である。

にも関わらず、コンセプトはぶれないし、
シルエットやデッサンもまったく崩れていないところが、
この人のAやBがとても優秀だということが良く分かる。

作者は誰なのだろう。寺田克也っぽいね。
と、さらに検索をかけたら、中国人イラストレーター、
ジャックリーという人のものだった。
さらに製作過程もアップされてたので参考までに。
https://www.youtube.com/watch?v=fK27CuSdKzQ


一度もCやDを描いたことがない人は、
絶対AやBで迷う。
よれる。ふらふらする。
それは、AからDを想像する力がないからだ。

正確には、AからDを想像するのではない。
「今後どうなったとしても、Aの成分が骨格に保たれている限り、安心である」
という見切りをするのである。

だからAの要素は最終までぶれない。


へたくそな人は、AがDまで残らない。
途中でおかしくなる。
自信がなくなって紆余曲折するか、
途中で変えたくなってしまうのだ。
そういうものは、たいていデッサンの狂った絵のような、
つまらない話になる。


プロットやアイデアの段階で終わらせるな。
それはフィニッシュまでの前準備にすぎない。

何回も何回も仕上げた経験があるから、
ラフの打ち合わせが出来るのである。
(最近の企画打ち合わせに出る人で、これを分かっている人がとても減った)
posted by おおおかとしひこ at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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