2015年06月27日

美味しい所からはじめて、ちょっと前に戻る

インパクトがあったり、
イコンになるような場面をオープニングに持ってきて、
そのちょっと前に時間を戻す書き方。

名前のついたものではないけど、
よく見る構成パターンのひとつだ。
「アイアンマン」とかそうだった。


派手な場面や面白い場面をはじめて、
一息ついたら(例えばタイトルが出て)、
○日前とか○か月前とか字幕が出るパターン。

オープニングがミステリアスだったり、
インパクトがあったりなどの、
引きの強いものが書けるなら、
「それは一体どういうことでこうなったのか、
最初から語らねばなるまい」
というナレーションが入るかどうかはおいといて、
興味を持続させたまま、
話の発端からはじめることが可能な型だ。

普通にゆるゆると事件をはじめても、
インパクトのあるところにたどり着くまでに飽きてしまうなら、
このパターンを使ってみるといいかも知れない。

A→B→C→Dと時系列で進むところを、
C→A(○日前)→B→C(簡略版)→D
と描くのだ。

冒頭にインパクトをつけることは、
僕はあまり推奨していない。
なぜなら、インパクトシーンが終わったら、
通常運転に戻ってしまってテンションが下がるからだ。
ABCDと時系列に進むとき、
Aだけがインパクトあることになってしまって、
B以降が尻すぼみになっていくことを意味する。
(うんこ映画ガッチャマンを見よ)

しかし時系列を操作すれば、
その愚を避けられるのだ。

Cのシーンは、
物語の骨格のどれかだと納得がいきやすい。
きっかけポイント、第一ターニングポイント、
ミッドポイント、第二ターニングポイント、
クライマックス、ラストシーンの直前、
などがよく使われる。
あのオープニングはここに繋がってたのか、
というインパクトが強いのは、後ろにあればあるほどだ。
(覚えてないこともあるけどね)


他にも、インパクトあるシーンを、
主人公でない別のストーリーラインにしておき、
その後主人公のストーリーラインをはじめて、
二つを合流させるパターン。
刑事物などで、
猟奇殺人シーン→刑事登場、私的な何かをやる
→殺人のニュース→捜査班へ配属(→私的な何かをあとで使う)
などのような流れはとてもよくあるパターンだろう。
浦沢直樹がしょっちゅう使っている。


他にも、ABCDは直結の時系列だが、
オープニングAだけ物凄い過去で、BCDはオンタイム、
というパターンもあるだろう。
子供の頃と、大人になって以降とかね。
「デンジャラス・ビューティー」はほとんどワンカットで、
とてもいいこのタイプのオープニングを描いている。
(ついでに内面の問題設定にもなっている)



もしあなたが書きはじめてすぐに挫折しそうなら、
一番面白いところからはじめて、
そのあと時系列をいじる、
というやり方を試すのはどうだろう。

事件の発端から順番に語らなければならない理由はない。

素直にやっても詰まらないなら、
構成を変えてみることも重要だ。
posted by おおおかとしひこ at 02:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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