脚本が書けない、という多くの初心者は、
そもそもその時間分話をして、
人を引き付けられる能力があるのか、
ということから考えるべきである。
3分のシナリオを書くとしよう。
あなたは、結婚式のスピーチで3分喋るとする。
アドリブでなく原稿を書いていい。
その3分、人を引き付けられるのか?
喫茶店で、相手に一言も言わさないまま、
3分間喋り続けて引き付けられるのか?
3分だから原稿用紙3枚分だ。
3枚の論文。3枚の謝罪文。3枚の手紙。
三人称形式創作話でなくてよい。
そもそも3分、あなたは話すのが上手いのか?
つまり退屈ポイントなしに、
相手を引き付け続けられるのか?
5分。10分。15分。
講演会なら30分。45分。60分。90分。120分。
必ずしも創作話でなくてよい。
そもそもあなたは、
今から書くシナリオの分数ぶん、
ソロで、引用なしに、相手を引きつけ続けることは出来るのか?
話の組み立て(構成)、
飽きが来ないように適度に刺激があり続ける、
話が終わったあとに残る、相手の満足感。
それが出来ないのに、
どうして二時間のシナリオが書けると思ったのだろう?
もしあなたが二時間のシナリオでしょっちゅう挫折するなら、
そもそもあなたは、二時間人を引き付けられる能力がないかも知れない。
スピーチ教室や小論文教室や話し方教室に通ったりして、
二時間の独演会をどこかでやってみてはどうだろう。
お客はいたほうがいいが、
例えば彼女一人でもいいよ。
あなたを認める人にまず独演会をやってみて、
自信をつけたほうがいい。
あなたがどんな話でもしようとするとき、
あなたはどうでもいい人に足を止めてもらい、
あなたの語ろうとすることに興味を持ってもらい、
自分のことのように引きつけてもらい、
話の展開に前のめりになってもらい、
緩急をつけて気分を変えてもらい、
笑ったり泣いたり色んな感情になってもらい、
いよいよ核心に迫るぞと緊張してもらい、
話の核心をぐわしとつかんでもらい、
満足して話を聞き終えてもらわなければならない。
相手に助けてもらわず、あなたの独演でなければならない。
3分とか10分ぐらいなら、なんとかなるかも知れない。
30分はどうだろう。1時間はどうだろう。
もしあなたが朗読が上手なら、
小説や戯曲や脚本を、お客の前で朗読してみるのはどうだろう。
自分が喋れる枚数をはかれば、
適切なページ数を選ぶことが出来るだろう。
まずは短編からはじめて、
いずれ二時間に挑戦してみるがいい。
どれだけの密度や面白さをしなければならないかを、
体感出来るだろう。
小説でもいいけど脚本を朗読することをオススメする。
これはスポーツのトレーニングで、
出来る人のスピードで無理矢理にでも体験させると、
出来ない人でもイメージトレーニング出来て、
いずれそのスピードで出来るようになる、というものにヒントを得ている。
例えば水泳の遅い人に、
速い人のスピードを、手を引っ張ってでも体験させると、
速いスピードの世界を体が理解するのだそうだ。
これの脚本版である。
例えば僕の短編シナリオを、
朗読してみてはどうだろう。
一人でやるのではなく、
あなたを認める友人や彼女の前でやるといい。
相手の感情を見ながら、
相手と話を共有していく感覚を知ろう。
あなたは、その二時間版を、いつかやるのである。
一度ではなく、
何本も何十本もやるのである。
二時間相手を引きつけるのをリアルで出来ないのに、
どうして原稿用紙なら出来ると思うのか?
そもそも論から見直していくのはどうだろう。
2015年06月27日
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