2015年06月27日

その長さ分、あなたは人を引き付けられるのか

脚本が書けない、という多くの初心者は、
そもそもその時間分話をして、
人を引き付けられる能力があるのか、
ということから考えるべきである。


3分のシナリオを書くとしよう。

あなたは、結婚式のスピーチで3分喋るとする。
アドリブでなく原稿を書いていい。
その3分、人を引き付けられるのか?

喫茶店で、相手に一言も言わさないまま、
3分間喋り続けて引き付けられるのか?

3分だから原稿用紙3枚分だ。
3枚の論文。3枚の謝罪文。3枚の手紙。
三人称形式創作話でなくてよい。


そもそも3分、あなたは話すのが上手いのか?
つまり退屈ポイントなしに、
相手を引き付け続けられるのか?


5分。10分。15分。
講演会なら30分。45分。60分。90分。120分。
必ずしも創作話でなくてよい。
そもそもあなたは、
今から書くシナリオの分数ぶん、
ソロで、引用なしに、相手を引きつけ続けることは出来るのか?

話の組み立て(構成)、
飽きが来ないように適度に刺激があり続ける、
話が終わったあとに残る、相手の満足感。

それが出来ないのに、
どうして二時間のシナリオが書けると思ったのだろう?


もしあなたが二時間のシナリオでしょっちゅう挫折するなら、
そもそもあなたは、二時間人を引き付けられる能力がないかも知れない。

スピーチ教室や小論文教室や話し方教室に通ったりして、
二時間の独演会をどこかでやってみてはどうだろう。

お客はいたほうがいいが、
例えば彼女一人でもいいよ。
あなたを認める人にまず独演会をやってみて、
自信をつけたほうがいい。


あなたがどんな話でもしようとするとき、
あなたはどうでもいい人に足を止めてもらい、
あなたの語ろうとすることに興味を持ってもらい、
自分のことのように引きつけてもらい、
話の展開に前のめりになってもらい、
緩急をつけて気分を変えてもらい、
笑ったり泣いたり色んな感情になってもらい、
いよいよ核心に迫るぞと緊張してもらい、
話の核心をぐわしとつかんでもらい、
満足して話を聞き終えてもらわなければならない。

相手に助けてもらわず、あなたの独演でなければならない。


3分とか10分ぐらいなら、なんとかなるかも知れない。
30分はどうだろう。1時間はどうだろう。


もしあなたが朗読が上手なら、
小説や戯曲や脚本を、お客の前で朗読してみるのはどうだろう。
自分が喋れる枚数をはかれば、
適切なページ数を選ぶことが出来るだろう。

まずは短編からはじめて、
いずれ二時間に挑戦してみるがいい。

どれだけの密度や面白さをしなければならないかを、
体感出来るだろう。

小説でもいいけど脚本を朗読することをオススメする。


これはスポーツのトレーニングで、
出来る人のスピードで無理矢理にでも体験させると、
出来ない人でもイメージトレーニング出来て、
いずれそのスピードで出来るようになる、というものにヒントを得ている。
例えば水泳の遅い人に、
速い人のスピードを、手を引っ張ってでも体験させると、
速いスピードの世界を体が理解するのだそうだ。
これの脚本版である。


例えば僕の短編シナリオを、
朗読してみてはどうだろう。
一人でやるのではなく、
あなたを認める友人や彼女の前でやるといい。
相手の感情を見ながら、
相手と話を共有していく感覚を知ろう。

あなたは、その二時間版を、いつかやるのである。
一度ではなく、
何本も何十本もやるのである。



二時間相手を引きつけるのをリアルで出来ないのに、
どうして原稿用紙なら出来ると思うのか?
そもそも論から見直していくのはどうだろう。
posted by おおおかとしひこ at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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