とあるテーマに落とすために、
複数の筋道を考えること。
CMを例に見てみよう。
CMの企画というのは、
テーマは最初から決まっている。
「これを買ってくれ」だ。
しかし、「どう思うからこれを買う」
までは決まっていない。
だから、それを考えるのだ。
それをキャッチーな言葉で示したのが、
キャッチコピーだ。
そこに落ちるように、企画は考えられる。
コントでそこへ落とすやり方、
知的でクールなやり方(例えばキューピーハーフ)、
スタイリッシュなやり方、
バカ系のやり方、
社会風刺的なやり方、
グラフィカルな一枚絵で示すやり方、
感動系ストーリーで落とすやり方、
ドキュメントでそれを描くやり方、
色々ある。
僕はそれらの中でも特にストーリーものとコントが得意だ。
(ちょっと前の主流で、今主流のやり方ではないだろう)
CMの企画を考えるということは、
ストーリーを考えるだけでなく、
これらのやり方ごと考えるということだ。
今企画してるやつでは、
6案、全てスタイルを変えたものを書いている。
グラフィカルなもの、
スタイリッシュなもの、
コント、
ニュースにフォーカス、
バカ系、
感動系ストーリー。
(これらを見せた方が話が早いのだが、
守秘義務的に無理なのが辛いところ。
プレゼンに落ちたら見せられるかもだ)
短編ゆえに、
ひとつのテーマに落とすのに、
バラエティー豊かなルートがあるのだ。
流石にシナリオで、
ひとつのテーマに6本書くのは困難かも知れない。
でも3分や5分なら、
試みに可能かも知れない。
同じテーマを描くために、
ジャンルや世界を変えて複数やること。
CMの企画作業では常識だが、
映画やドラマではやらないかも知れない。
精々ガワとテーマのセットで組み合わせを変えるぐらいかも知れない。
ストーリーそのものを色々変えるのは、あまりないかもだ。
中盤の面白ポイントの入れ換えはやるだろうけど。
CMの企画で長年鍛えたので、
僕は「どうとでも落とせる」という確信がある。
「複数の落とし方もすぐ分かる」という確信がある。
「複数のルートはすぐ3つ出るし、一日あれば倍以上にルートを増やせる」という確信がある。
「あとは唸れば、組み合わせ抜きで20個ぐらいは出るだろう」という確信がある。
これが女対象ならプロやりちんだが、
企画についてだからプロ企画家だといえる。
(プロやりちんの方と、一日人生を交換してみたいものだ。
そういう「転校生」ものは面白いかも?)
ひとつのテーマに落とすのに、
唯一の方法がある訳ではない。
だとしたら、世の中のCMは皆同じものになってしまう。
例えば海外のCMを見ても全然違うやり方であるように、
同じ商品(例えばビール)を広告するのでも、
全然違うやり方だ。
その「やり方」自体を競うのが、広告でもある。
(今の広告のトレンドがストーリーものでなくなって、
今僕は広告に興味を失っている)
ということで、
ひとつのテーマとひとつのやり方という、
ベストペアがあるわけでなく、
複数のペアがありうる事をイメージした方がいい。
「これしかあり得ない」と若いうちはよく思うけど、
それは、それ以外思いつかない、あなたの見識の狭さを意味しているかもよ。
広く、深く、テーマとそこへ至るルートを考えよう。
2015年07月02日
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