2015年07月02日

ルートの豊富さ

とあるテーマに落とすために、
複数の筋道を考えること。

CMを例に見てみよう。


CMの企画というのは、
テーマは最初から決まっている。
「これを買ってくれ」だ。

しかし、「どう思うからこれを買う」
までは決まっていない。
だから、それを考えるのだ。

それをキャッチーな言葉で示したのが、
キャッチコピーだ。

そこに落ちるように、企画は考えられる。


コントでそこへ落とすやり方、
知的でクールなやり方(例えばキューピーハーフ)、
スタイリッシュなやり方、
バカ系のやり方、
社会風刺的なやり方、
グラフィカルな一枚絵で示すやり方、
感動系ストーリーで落とすやり方、
ドキュメントでそれを描くやり方、
色々ある。

僕はそれらの中でも特にストーリーものとコントが得意だ。
(ちょっと前の主流で、今主流のやり方ではないだろう)

CMの企画を考えるということは、
ストーリーを考えるだけでなく、
これらのやり方ごと考えるということだ。


今企画してるやつでは、
6案、全てスタイルを変えたものを書いている。
グラフィカルなもの、
スタイリッシュなもの、
コント、
ニュースにフォーカス、
バカ系、
感動系ストーリー。
(これらを見せた方が話が早いのだが、
守秘義務的に無理なのが辛いところ。
プレゼンに落ちたら見せられるかもだ)


短編ゆえに、
ひとつのテーマに落とすのに、
バラエティー豊かなルートがあるのだ。

流石にシナリオで、
ひとつのテーマに6本書くのは困難かも知れない。
でも3分や5分なら、
試みに可能かも知れない。

同じテーマを描くために、
ジャンルや世界を変えて複数やること。

CMの企画作業では常識だが、
映画やドラマではやらないかも知れない。
精々ガワとテーマのセットで組み合わせを変えるぐらいかも知れない。
ストーリーそのものを色々変えるのは、あまりないかもだ。
中盤の面白ポイントの入れ換えはやるだろうけど。


CMの企画で長年鍛えたので、
僕は「どうとでも落とせる」という確信がある。
「複数の落とし方もすぐ分かる」という確信がある。
「複数のルートはすぐ3つ出るし、一日あれば倍以上にルートを増やせる」という確信がある。
「あとは唸れば、組み合わせ抜きで20個ぐらいは出るだろう」という確信がある。

これが女対象ならプロやりちんだが、
企画についてだからプロ企画家だといえる。
(プロやりちんの方と、一日人生を交換してみたいものだ。
そういう「転校生」ものは面白いかも?)



ひとつのテーマに落とすのに、
唯一の方法がある訳ではない。
だとしたら、世の中のCMは皆同じものになってしまう。
例えば海外のCMを見ても全然違うやり方であるように、
同じ商品(例えばビール)を広告するのでも、
全然違うやり方だ。
その「やり方」自体を競うのが、広告でもある。
(今の広告のトレンドがストーリーものでなくなって、
今僕は広告に興味を失っている)

ということで、
ひとつのテーマとひとつのやり方という、
ベストペアがあるわけでなく、
複数のペアがありうる事をイメージした方がいい。

「これしかあり得ない」と若いうちはよく思うけど、
それは、それ以外思いつかない、あなたの見識の狭さを意味しているかもよ。

広く、深く、テーマとそこへ至るルートを考えよう。
posted by おおおかとしひこ at 10:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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