シチュエーション、ストーリーライン、テーマの、
三つが一致したら、同じ話だと考えてよいのではないか。
リライトの際、
同じ話だがディテールを変えるのか、
違う話にしてしまうのか、
迷うことがある。
で、そもそも同じ話かどうかはどの辺で決まるのかを悩むことがある。
シチュエーションが変わったら、別の話と言える。
例えば「ギャラクシークエスト」と「サボテンブラザーズ」は、
同じ話のシチュエーション違い(SFと西部劇)だ。
しかし、一応別の話だと思われている。
見た目が全く違うからである。
もしリライトで悩むことがあったら、
シチュエーションを丸ごと変えてみるのは、
結構ドラスティックに変えた風に見えるものである。
逆にストーリーラインやテーマが変わっているのに、
同じシチュエーションだと、パッと見同じ話に見える。
新しいシチュエーションの何かを生かして、
別の要素を入れられるのなら、
ストーリーラインそのものも変わってしまったりして、
別の話になっていくだろう。
シチュエーションを変えることは、
見た目以上に、ストーリーラインを変えうるチャンスとして使える。
ストーリーラインが変われば、別の話になる。
初期設定や、事件や、展開のそれぞれや、
落ちのつけかたなどをまとめてストーリーラインという。
ざっくり言えば起承転結の流れだ。
そのどれかが変われば、別の話になる。
仮にシチュエーションが同一、テーマが同一でも、
展開が違えば別の話だ。
(アレンジの範囲、というグレーゾーンもある。
ドラマ風魔は、原作風魔と同一の話か?
一見同じ話に見えながら、
シチュエーションはそのまま、
ストーリーラインとテーマをアレンジした話である。
同一の話とはいえないが、別物とも言い切れないのは、
ストーリーラインは大筋では同一だからである)
テーマが変われば、別の話になる。
そりゃそうだ。
「インセプション」は、結末が二通りに解釈出来るが、
それで全く別のテーマになる作品だ。
コマが倒れる、つまりここはもう悪夢ではないとすれば、
「人は悪夢から脱出できる、人生は希望がある」になるし、
逆、コマが倒れない、つまりここはいまだ悪夢であるとすれば、
「人は悪夢から逃げられない、人生は絶望だ」になる。
両極端な二つに解釈できるからすごい、
なんて一時話題になったけど、僕は陳腐だと思った。
どちらになったとしても、平凡だからだ。
いわば量子力学のように、結論を重ね合わせた二重性が、
二重性の状態で価値があるような気がした。
シュレデディンガーの猫だ。
僕はそこに、決めきれない優柔不断しか見れなかった。
なんやメメントと一緒やないかい、と。
テーマとは、作品の存在する意味である。
それは、強いひとつであるべきだ。
意味を確定するのが、時間の確定である。
(インセプションはそれから逃げている)
この話とこの話が同じ話であるかどうかは、
意味の確定、テーマの同一性ではかられる。
或いは、同じテーマの、別シチュエーション別ストーリーラインでも、
話は違うが魂は同一の作品に見えるだろう。
(ここに、原作の実写化のヒントがある)
リライト中に、テーマが変わってしまうことに気づかないこともある。
ストーリーラインやシチュエーションをいじっているうちに、
同一のテーマを描いているつもりでも、
別のテーマを暗示してしまっている、
ということに気づかないことがある。
(これは編集中にもよくある)
何かの前提が失われる、何かを踏まえた何かが機能しなくなる、
前提が複数あるため結論が一意にならない、
結論がこれまでを踏まえきれていない、
結論をリライトせずその前だけリライトしたので、
前のバージョンの結論がよれて見える、
などがよくあるテーマのズレだ。
また厄介なことに、
テーマとモチーフがごっちゃになり、
そもそも何を言うためのものなんだっけ、もごっちゃになりやすいのだ。
一言で言うとこれはどういうことか、
を常にクリアにしていないと、
背骨がよれていく。
あっちこっち行って結局これしか結論がないのかよ、
何が言いたかったんだ、という話になりがちだ。
そういうときは、
こういうシチュエーションの、
こういうストーリーラインの、
こういうテーマのお話である、
という三行を書き出してみるといい。
そのテーマを言う、ベストのストーリーラインになっているか、
そのストーリーラインが面白く見えるベストのシチュエーションになっているか、
と逆算でチェックすることで、
今よれているかどうか、
リライト前との比較で、同一の話なのか、
違いつつあるのかを、引いた目で見れるだろう。
我々は、ひとつの話をこねくりまわして、
複数のバージョンをつくることはよくある。
その時に、何が同一の話なのかを、
この観点で見ておくといい。
2015年07月03日
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