2015年07月04日

あなたの創作は、何かの物真似か?

何故あなたは話を書きたいのか?
昔見た何かみたいなのを真似したいからか?
昔見た誰かのように書きたいからか?

つまり、物真似が動機なのだろうか?


例えば僕は、中学生の頃バトルカンフー漫画を描いていた。
北斗の拳やジャッキーブーム、カンフーブームの真っ只中だったからだ。
それに近づきたくて、原哲夫の筋肉を真似したり、
より簡単なキン肉マンの筋肉を真似したり、
ジャッキーの技を真似して絵に描いたりしていた。
つまり、何かと自分の創るものを同一視していた。
正確に言うと、本人は同一視しようなんて考えたこともなく、
ただただ楽しいからやっていた。

僕の古い友人は舞台女優なのだが、
彼女は本が好きで、その好きな本の中にいたいから、
演劇を始めたのだという。
(小説も劇作もやる人だったんだね)

で、僕は漫画も書きながら映画も撮ってしまい、
今このへんにいる。

出発は、多分誰でも真似だ。
あれの世界にいたい。
再現したい。
あの世界に近づきたい。

言葉にならないけれど、きっとそんな単純な理由で、
人は無意識に創作をはじめるのだ。

ちなみにその彼女に小説は書かないのかと尋ねたら、
自分に文才はないから諦めたらしい。
そして彼女は美人だ。だから(最初は求められて)女優をはじめた。
僕は漫画を描いたり台詞を書いたりが好きだったから、
そして不細工だったからイケメン俳優にはならず、
書き手に回ったのである。

ちょっとしたスキルの差が、
大きくその後の人生を変えたのだが、
芯にいるのは二人とも同じだ。

その世界にいたい、近づきたいことである。


これが例えば好きな人に近づきたいなら恋だろうし、
山がそれならアルピニストになり、
スポーツがそれならスポーツマンになるのかも知れない。

たまたま僕らは、
漫画や映画や小説や演劇などの、「三人称形のおはなし」が、
好きだったのである。


だから、最初は憧れとか近づきたいから、
でいいと思う。
二次創作なんてまさにそうではないか。
大好きな世界の、ほんの隙間を延々と埋めて楽しむことは、
僕らが最初に創作をはじめた無意識の気持ちと、
全く一緒かもしれない。


ところが。

いつか人はそこから、自分なりの世界を持つようになるのである。
自分を育ててくれた物語世界の真似を捨てて、
その揺りかごから出て、
自分独自のキャラクター、世界、ストーリー、テーマを書きはじめるようになるのだ。
いきなり全オリジナルではなく、
どこかは○○に似ているとかあるかも知れない。
下手したら全部パクり元が特定できるかも知れない。
(それは単なるリミックスであり、アダプテーションであり、
創作ではないが)

何かに似ているとかが殆どなくなってきて、
はじめてあなたは作家の入り口に立ったといえる。

ラノベっぽいのをやりたい、
ハリウッドSFみたいなのがやりたい、
ヒーローものがやりたい、
○○さん風の世界にしたい、
あの世界観ぽい話をつくりたい、
あのキャラっぽいキャラが書きたい、
あの設定を真似したい。

それがあなたの書く動機の、奥の方にいるのなら、
あなたはまだアマチュアだ。

単なるファンの物真似だ。

○○っぽいのがやりたい。

その○○に、あなた自身の名前が入らない限り、
あなたはまだ一人前とは言えないだろう。


どうやったらそこまで自信ができるの?
数を書くしかない。

物真似や憧れを脱して、
自分なりの何かを作るようになってきて、
どの、○○っぽいものも、もういいやと思ったとき、
自分独自の何かを作りはじめる時が来る。

それまでは、たっぷりアマチュアイズムを楽しむといい。


中学時代に撮ったカンフー映画では、
夕日バックとか、スローモーションとか、
マントをバサッとはおるとか、
色々「やってみたかった」カットを撮った。
それは、どこかで見た何かを、再現してみたかっただけだと、
今なら分かる。

そういう物真似を全部やりつくしたとき。
憧れを全部消費し尽くしたとき。

あなたの創作は、やっと一歩目を踏み出すのである。


そのとき初めて、他の何かではなく、
あなたの作るものに似ている何かを、
作ることになる。
それが作風だ。

アマチュア時代は、作風なんてない。
好きなものの傾向があるだけだ。
作風とは、それを全部消費したあとに残ったもののことなのだ。



僕はブラックジャックに憧れて、
いつかあんな人間ドラマを書きたいと思っていた。
加山雄三のブラックジャックも中学時代に全話見た。
今回図らずも、心の闇を治療する、
心の医者の話を書いているのだなあと気がつく。
てんぐ探偵は、ブラックジャックには似てないさ。
大きな構造は似てるけど、
シチュエーションも、ストーリーラインも、テーマも違うものね。
(大きく人間賛歌というテーマではあるけれど)



あなたは、どんな憧れや近づきたい世界がある?
それを自覚するのは悪くない。
アマチュアのうちに、
徹底的にその世界に近づき、その気持ちを消費し尽くすといい。
posted by おおおかとしひこ at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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