ついでにアマチュア時代の話をしてみよう。
アマチュア時代、
創作仲間はとても大事だと思う。
一人じゃはじめられないし、
一人じゃ続かないからだ。
プロになってすら、同期の監督の活躍は励みになる。
僕が最初漫画を描いたのは小学校三年で、
藤子不二雄に憧れて、二人コンビではじめた。
二人で作ったドラえもん的なキャラが活躍するのを、
ページごととかコマごとに描いてた記憶がある。
その後彼は「あしたのジョー」に傾倒し、
僕はSFに傾倒したので、共作はしなかったけど、
イラストや4コマを見せあったりはした。
彼がいなくても一人で描いてたかも知れないけど、
彼がいたから、漫画に関する色んな話が出来て、
自分と同じやつがいた!と錯覚して、
自分と似てるけど違うやつだ、という失望を味わった。
中一でも漫画をかくやつが二人いて、
三人で放課後漫画をかきつづけた。
僕はバトルカンフーSFもの、あと二人はギャグか学園だったかな。
映画部のやつはホラーの脚本を書いてたし、
演劇部はなんとか殺人事件を書いてた。
そんな恵まれた中高時代(六年一貫の男子校)を過ごした。
仲間は大事だ。
色んな話をする。
今では何話したか忘れたぐらい、話をした。
多分、話し相手が必要なのだ。
何かに困ったとか、どや顔したいとか、
作品のことだけでなく、好きなプロの話とか、
見たテレビの話とか、人生のこととか、
多感なときの仲間は一生の思い出だ。
僕は漫画をかきながら、中三、高一と映画を撮った。
その流れで大学で漫研と映研に入った。
で、映画のほうが面白くなってこの道を志す。
8ミリを3本、実験もの(未編集)を1本。
僕は映研の連中が本気で好きになれなかった。
誰もプロを目指してないからだ。
まあうちの大学だから、卒業すればエリートだ。
誰も真剣に映画のことを考えていない。
生涯の問題として考えていない。
だから一人で映画を撮り続けた。
サークルの公式作品ではなく、非公式の自主として。
(勿論一人では出来なくて、特に仲のいいやつには手伝って貰った)
ずっと、ここじゃないどこかだと思っていた。
京都は所詮地方都市だ。
大阪に負けてるし、当然東京にも負けている。
俺はこんなところにいるべきなのか、
とずっと思っていた。
僕は京都が大好きなのだけど、
ここにいちゃいけないという思いがアンビバレンツにある。
それはまるで、「ニューシネマパラダイス」のようである。
だから僕はあの映画で号泣するのである。
思えば、この時が、自分のプロへの意識のはじまりなのだ。
小学校から高校ぐらいまでは、
憧れやすでに見たこういう世界がやりたい、が勝っていた。
大学で一本目の映画は、半々だ。
自分独自のものと、トレンディドラマを混ぜたやつだった。
トレンディドラマがやりたかった。
六年男子校の反動で、恋への憧れが強すぎた。
それから、独自の成分が増えていく。
何かに似たものの再現ではなく、
仲間とか関係なく、
一人でも表現しようということが、
止められたとしてもやり続けようとする欲望が、
出てきたような気がする。
つまり、憧れでやってる仲間たちから、卒業したのだと言える。
創作クラブは有用だ。
仲間がいる。
仲間だから色んな話が出来るし、
ケンカもするだろうし、仲直りもするだろう。
しかし、いずれ気がつくのだ。
傷つけあわない世界であるということに。
我々は観客としてプロをけちょんけちょんにするのに、
それ以下の仲間の作品を、そうしないことに、
気づかざるを得ないのだ。
仲間は憧れだけでやっている。
俺一人プロになる前提でやっている。
ここはぬるま湯だ。
そう思ったときが、クラブを辞めるときである。
偶然、プロになる前提でいる奴に出会えたら、
その後もつきあうかも知れないけど、僕にはいなかった。
プロになっても、助監督時代はクラブのようなものだった。
入ったばかりの人は、憧れを語ったりした。
誰も自分の創るものの話をしなかった。
○○っぽいもの、みたいな話しかしなかった。
沢山の同期が辞め、今でもやってるかは分からない。
その仲間は友人として大事だけど、
プロとしては落伍者だ。
フリーランスになった同期の監督が二人いる。
時々作品を見ることがあって、
頑張っているのだなあ、と心強くなる。
会ったら、けちょんけちょんにしてやらなくては。
創作クラブは有用だ。
楽しい。辛くない。仲間がいる。
そして、自分と他人の差が、だんだんはっきりと分かってくる。
いつかそこから卒業し、
一人でやる時が来る。
いい加減CM業界が詰まらない。ぬるま湯だ。
この仲間から卒業しなければならないな、と思ってずいぶんたつ。
僕の人生はこの繰り返しみたいだ。
初めて助監督としてついた、生ける伝説みたいな師匠が、
「ディレクターは孤独だ」と教えてくれた。
その話を、今もう一度聞いてみたいのだが鬼籍に入られてしまった。
後輩に語り継ぐしかなさそうだ。
2015年07月04日
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