2015年07月06日

優秀な二幕には、「その世界に慣れていくこと」が描かれる

例えば新米弁護士もの。
はじめての訴訟で、未経験のことを沢山し、
失敗しながらも学んでいくさま。

例えば異世界もの。
その世界のルールを体験していくさま。
(マトリックスは分かりやすい)

優秀な二幕には、「その世界に慣れていく」
パートがある。


何故なら、二幕とは主人公にとって、
日常と真逆の非日常空間(スペシャルワールド)だからだ。
極端に言えば、非日常空間への遷移と日常への帰還が物語だ。

慣れた日常と違い、非日常空間では危険が一杯だ。
主人公にとって見知らぬところだから非日常空間なのだ。
(空間自体が動かなくても、
恋をすれば日常空間は全て非日常空間になる。
女が恋と旅行が好きなのは、それを非日常空間と思うからだ。
男がマシンや兵器が好きなのは、それを非日常空間と思うからだ。俺の説)

だから必ず失敗をし、その世界に慣れていく過程が描かれる。
よくあるのは一人サバイバルだ。
野山のサバイバルだけではない。
マトリックスでは、電脳世界のサバイバルを習得するさまが描かれる。
そしてそれは凄く面白い。

例えば医療ものや特殊職業ものでは、
その世界の独自のルールを示すために、
そこに飛び込んだ新米主人公が、
その世界に慣れていく過程を描くことをすることが多い。
非日常空間の世界設定と、
その空間を知らない観客の準備と、
主人公への感情移入を兼ねた、優れた型である。

僕は昔これを「enter the world」型と命名したけど、
最近あまり使ってない。
そればっかりじゃ詰まらんなあと思ったからだ。

しかし、優秀な二幕には、
必ずこのパートがあると思う。

それは、その型よりも、
「非日常空間を主人公が味わい、慣れていく」ことをきちんと意識すれば、
自然と書けるのではないだろうか。


だからここのパートは、ちょっと失敗してからの、
大抵快進撃が続く。
ミッドポイントでかりそめの敗北に繋げるパターンである。
(マトリックスでも、裏切りに合う)
posted by おおおかとしひこ at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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