構成は「話」の中でほんとに大事なのだが、
これは書く人にしか分からないことだ。
構成が出来ていない話は、ほんとうにぐだぐだになる。
構成が出来ている話は、見れる。
見れても、面白いかどうかはまた別。
面白いかどうかと構成は別。
構成は、全体のバランスのことである。
あなたが料理人だとしよう。
牛肉を魅力を伝えたいとする。
あなたは、どの部位の肉を選んで、コースにするだろう。
話を簡単にするため、「焼肉の皿のチョイス」とし、
牛の肉に出来のばらつきはないものとする。
カルビやロースの赤肉、
ホルモンの白肉のバランスを考えるだろう。
最初は塩タンあたりから入り、
塩ミノなどでちょいと驚かせてメインディシュの赤肉。
僕ならハラミ多め、カルビロースはおかず程度に。
合間合間に、ウルテやハチノスなどをちょいちょい挟む。
アカセンやシマチョウあたりの脂肪多めでフィナーレかな。
これで、「牛肉全体の魅力が伝わるか」が大事だ。
「牛肉全体の魅力を、十二分に伝える順番とそれぞれの量になっているか、
それぞれは多すぎず少なすぎず、しかも部位の偏りや代表的なものの漏らしがなく、
順番が全体を理解する順番として適切か」
が大事だ。
それには、
「個々の部位をよく知っていること」
「牛肉全体の魅力を、その部位の組み合わせで表現しきれていること」
「適切な量と順番で、展開があり、飽きさせず理解が進むこと」
が重要である。
食べ終えたあとに、「牛肉全体が見えて、牛肉とはなんぞやが分かること」
が大事である。
もうひとつやり方がある。ものすごい旨いサーロインを、
ドーンと「ひとつだけ」出して満足させることだ。
つまり、牛肉全体の魅力を伝えるにはふたつある。
全体に目端を効かせた、バランスのいいモンタージュ。
一点豪華主義。ひとつで全体を代表し、あとは想像させる。
物語とは、一点豪華主義は出来ない。
お話には様々な要素があり、写真一枚ではないからだ。
だから、モンタージュ(編集)の力が大事だ。
これを構成という。
あなたの物語が、サーロイン一発でないなら、
様々な要素をうまく構成する必要がある。
どの部位をどれだけの量でどの順で出すか、を考えなければならない。
シマチョウを出すならマルチョウはいらないか、と考えたり、
カルビのあとはウルテで変化をつけたりとか、
スターターは定番の塩タンにするべきかとか、
塩ミノいっときながら、あとにもタレミノいくかとか、
そういうことが構成だ。
つまり、構成をするには、
全ての部位がそろい、
全体の魅力が出来ていなければならないのだ。
物語を書くときに、
構成から考えるのは、間違いだ。
どんな部位があるのか、全体はどういうことかを、
先に考えつくべきだ。
半ばあたりで構成のことを考えはじめて、
○○が足りないからそこを埋めようとか、
○○が過剰だからカットしなきゃとか、
理想の構成を眺めながら、自分の話を「整えていく」ことはよくある。
そして、ここからが大事なのだが、
構成とは、
あくまで「牛肉全体の魅力が十二分に理解できる」為にある。
「その牛肉がどの部位も旨い」ことは構成には入っていない。
あくまで構成とは、いい牛が入ったことが前提だ。
ここ三日ほど、
弊社の一年近くの全作品数百本を繋いで、
3分ちょいにまとめる、弊社全体の顔になるビデオ(最新作品集)を作っていた。
各作品から平均2、3秒ずつ抜いて、
それを並べるだけでも60本。
まず数百本から代表作60本を選ぶこと。
これは牛肉全体の魅力を伝えるのに部位を選ぶことである。
それをいい順番で並べて、
展開をつくり、
3分で弊社の作る作品群がとても魅力的に見える必要がある。
(数百本→約100選出→音楽と合わせながら61に選ぶ)
こういうのは、大抵いい音楽を一曲かけて、
CMの音を消し、音楽で一気通貫すると、
ひとつのコンセプトで串刺しに出来るものである。
ところが、CMというのは実にバラバラで、
カッコいいもの、いいかんじのもの、かわいいもの、
ギャグ系、オシャレ系、ビューティー系、食べ物系、
キャラもの、踊りもの、子供動物もの、
アニメーション、変わり種、映像トリックもの、
政府広報など堅いもの、などなどたくさんある。
これらをどう繋げばいいか、
実は構成が命なのだ。
そこで一気通貫する音楽を構成する。
具体的には、ベースとなる音楽を探し、編集する。
著作権フリーの、
ピアノと弦とデジタル打ち込みで展開がある、いい音楽を見つけた。
しかしクールパートが足りないと思い、
低音ドラムの4つ打ち系を探し(同じ作者で探すのがコツ)、
BPMを合わせて、欲しいブロックにトラックを重ねる。
ハイハットがピアノの邪魔になるのでEQでコントロールし、
中音域と高音域はピアノとチェロのためにあける。
ドラムスの打ち方で三種類それらをつくり、
曲の展開に合わせる。
つまり、音楽が全体構成の骨になるように作り上げる。
前段(オープニングタイトル)、
ノリノリ(金のかかったどや顔代表作)、
一点、ピアノからメロディアス(しっとり系、タレントビューティー)、
打ち込みのデジタル(ギャグ系、固い系)、
再び頭のメインメロディ(裏の代表作)、
エンド(弊社広告賞受賞リスト)
のような展開だ。
これで、全体を「理解する」ことが出来る。
あとは、肉の部位が「旨い」ことだ。
各作品の、「最も美味しいところ」を2、3秒切り出してくる。
ここの包丁の入れ方もセンスがいる。
その作品の目玉と魅力を最も伝える2、3秒。
(実際には4秒もあるし、2秒弱もある)
あとは、並び替えで飽きさせないようにし
(例えばカルビのあとにはホルモンなどのように)
リズムに合わせて微調していけばよい。
構成力とは、こういうことである。
(ちなみに実物を見たければ、本日1700より、
東新橋に移転した電通クリエーティブX新社屋披露パーティにて公開。
誰でも入れる日なので関係各位はどうぞ。
一般の方も大岡を呼び出していただければ案内します)
構成は、全体を理解すること。
それぞれの部位は、サーロインのように極上に旨いこと。
そして物語とは、サーロイン一点豪華主義ではなく、
モンタージュである。
それぞれの部位はそれぞれに旨くなければならない。
あなたは、それぞれの旨い部位を作り出し、
それを上手く構成しなければならない。
2015年07月17日
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