昔隣に50代ぐらいの作曲家一家が住んでいたことがあって、
高校生ぐらいの息子さんが進路をどうしよう、
となったときに父と同じように作曲家になりたいと言ったのだそうだ。
「お前はほっといてもメロディーやリズムが頭のなかに出てくるか?」
と父は聞いた。息子は首をふった。
「では作曲家の才能はない。やめておけ」
と、作曲家を勧めなかったのだそうだ。
映画監督や脚本家になりたい人は、
ほっといても頭に何が浮かぶ人なのだろう、
とその話を聞いて考えたことがある。
絵が浮かぶ人は、ダメ。
写真家や絵描きには向いている。
絵の連続、つまりカット割りが浮かばないとダメだ。
あることを表現するのに、
ヒキやヨリをどこから撮り、
どのタイミングでどう繋いで、
何カット、何十カットで、
ストーリーを表現することが、
頭のなかに浮かぶべきである。
カット割りだけでなく、
俳優の芝居や絵のルックや撮り方や合成や音楽が、
更にプラスされれば監督の才能がある。
それよりは別ストーリーラインや、
伏線や、話の構造や、面白い話に発展させることが、
プラスされれば脚本家の才能がある。
世の中の流行をチェックし、
その先を読み、スタッフの編成に興味があるなら、
たぶんプロデューサーの才能がある。
たいていはどれか一つだけど、
全部ある人もいるかも知れない。
あるいはどちらかは先天的で、
ほかを意識的に後天的に鍛え上げる人もいる。
僕はどちらかと言えば監督サイドの才能で、
脚本家の能力は後天的だ。
だから理論的に分析が出来ているのだと思う。
そもそも、映画やドラマの膨大な経験がないと、
カット割りの何となくのセオリーなんて、
頭から湧いてこないだろう。
作曲家が膨大な音楽に触れた経験があるように。
幼少期何に一番触れたかで、
そういうものが決まるのかも知れない。
カット割りが自然に出てこない人が、
CMプランナーの中に最近増えてきて、
僕はとても驚いている。
いくつかのカット割りパターンで悩むならいざ知らず、
頭のなかに絵が(カット割りどころか一枚絵も)出ないんですってよ。
そんな人は映像に向いてないんで、やめた方がいいと思う。
下手なカット割りでもいいから、
頭のなかにカット割りが出る?
出るなら、また映画やドラマを見て、自分のと比較して、
より洗練させていくだけだ。
2015年08月01日
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