2015年08月06日

発想と調べものでは、発想が先

まさか、
大量に調べものをしてから、
その中から新しいものがポンと生まれると思ってないだろうか?

逆だ。
発想が先だ。

調べものは、大胆な発想の裏付けのためにやる。



調べものは、現実ではどうかを知るためにやる。
しかし、どれだけ現実を集めても、
そこから生まれるのは現実の範囲内の発想だ。

交通ルールを沢山調べて、
グランドセフトオートを発想するだろうか?
法規の範囲内でやる交通ゲームしか思いつかないだろう。
どれだけ法律違反があるかを調べる、
あとづけとして交通ルールを調べておく程度だろう。

発想が先だ。

こんなことがあったら面白いぞ、が先に思いつくべきだ。

これは世界を変えるアイデアだ、
を先に思いつくべきだ。


発想が先にあれば、
調べものをするときに、
その発想になかった考え方を補える。
現実には様々な考え方があり、
それらが矛盾なく進行している秩序を見て、
突飛な発想はないことを知ることができる。
自分の発想が突飛でなく、現実の世界に埋もれるレベルならば、
それはアイデアでもなんでもない。
平凡な考え方に過ぎない。

もしその世界で誰も考えていない発想だとしたら、
それは革命的に面白い話になる可能性がある。

調べものは、そのためにやる。

先人が考えた多くのことと、
距離感を測るためにやる。

その上で、現実と発想の間の架け橋をつくる。
どこからどこまでフィクションか分からないようにだ。

調べものは、そのためにやる。
現実にはこうだけれど、この発想を生かすには現実をこうねじ曲げればいい、
と分かるためにやる。



調べものを大量にしても、新しい発想は生まれない。
せいぜいそれが圧縮整理されるだけだ。

アイデアはその世界の外からやってくる。
「ぶっ飛んだ」アイデアは、その世界の常識にないことの中にある。

調べものをしてからアイデアを出すには、
調べものをして一端忘れて、あなたの中でなにか別のものと組み合わせて、
スパークさせるまでの、かなりの時間が必要だ。
調べものから発想することは、
それの何かを真似して、自分がアイデアを出したような気になるだけの、
小さな奴のやり方だ。
普通はそれをパクりという。


発想が先。調べものはあと。
高橋陽一がサッカーを知っていたら、「キャプテン翼」はなかった。
車田正美がボクシングを知っていたら、「リングにかけろ」はなかった。
手塚治虫が医学に明るかったら、「ブラックジャック」はなかった。
(手塚の医師免許は外科医のそれではない。だから作中の医学描写はたびたび間違えているという。
それを指摘された手塚は、「たかが漫画ではないか」と開き直った。
それよりも作中の人間ドラマこそが大事だと言うことだ)
勿論、ある程度の常識は編集者が調べてくれたかもしれない。
物凄い違うこと以外は指摘しなかったからこそ、
自由な発想が生まれたのだろう。

自由な発想が先だ。
調べものを先にしても、檻をつくるだけだ。
posted by おおおかとしひこ at 12:04| Comment(3) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「マッハGoGoGo」も声優以外のスタッフはみんな免許を持っていなかったみたいですから、改めて発想が先なんだというのが分かりますね。
Posted by kentya at 2015年08月11日 13:22
kentya様コメントありがとうございます。

へえ、知らなかった。
ウォシャウスキー版ではなく、オリジナルタツノコってことですよね。
でも先行に「チキチキマシーン猛レース」の下敷きがあったんじゃないかなあ、と思います。
全体にレースブームではあったしねえ。007とかスパイものの影響もデカイよね。
元を辿ると「ベン・ハー」の戦車シーンにたどり着くのかなあ。
その辺は世代じゃないので影響関係は推測ですが。

リアタイ(再放送?)で子供の頃見た以来なので、物語については全くの記憶の外。
きっと特命捜査官の話で、何故か車(チェイス)が絡むようになっているのでしょう。
プライベートがレーサーの、ナイトライダーみたいな話と想像。

荒唐無稽は、重要です。
現実が足枷になってはいけません。

俺だってリアル忍者を知らないぜ!
(少年忍者入門の知識が、手裏剣という言い方や、
指に唾つけて風向きを知る場面や、布で隠れる場面を生んだのだ!)
Posted by 大岡俊彦 at 2015年08月11日 14:07
訂正です。
チキチキマシーン猛レースより、
マッハGoGoGoが先でした。

ちゃんと調べろ、といういい見本になってしまいました。とほほ。
Posted by 大岡俊彦 at 2015年08月11日 14:13
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