2015年08月06日

クライマックスの前に準備するべきこと

最後のひと山の前で、足踏みしてしまうことはよくある。

終わりがもう見えているのに、
どう終わればいいか迷うときがある。

その時、どうすればいいか。


まず、クライマックスのプロットを確認しよう。
こういうことがこういう流れで起こる、と把握する。
大分前に書いたやつだから、
今の状況下ではぬるいかも知れない。
あらためてプロットを練り直してもいい。

次に、ラストシーンを軽く書いてみるのは悪くない。
これをこのままコピペしないこと。
これはあくまでもイメトレに過ぎず、
実際にクライマックスを書き終えたあとに書くラストシーンには、
温度感でまったく敵わない。

ラストシーンをイメージすることで、
終着点が見える。
山登りで言えば、山頂を目視したことになる。
(山頂を制覇することをピークハントって言うんだって。
カッコイイ言葉だねえ)

あとはそこをクリアするだけだ、
と体に勇気と見通しを入れよう。


この時、後ろを振り返るべきか、振り返らないべきかは、
作品によると思う。

風魔のときは、振り返らずまっすぐ進んだ。
(回収し忘れた伏線があったようななかったような)
今回、
てんぐ探偵という長い物語を完結させるにあたり、
少し後ろを振り返ってみた。
沢山の、書いてきたことが麓に小さく見えている。
これをひとつひとつ修正したい気になるが、
それよりもピークにアタックすることが大事なのは、
経験上よく知っている。

忘れてる伏線はないか。
どうしてこの頂を究めようと思ったのか。
この山は遠くから見ていた頃はどう見えていて、
今どう見えているのか。

これを登り終えたあと、何が変化するのか。

今後使うべき伏線は直前で仕込めているか。
空は青いか。
水は飲んだか。
今俺はどこにいて、第一歩はどこに置けばいいか。

主人公のストーリーライン。
全ての人物のストーリーライン。
今、それぞれが抱えていること。最初からの各人物の思い。

それが歴史に残るわけではない。
あとでリライトすることもある。
現実の山登りと違うのは、そのピークハントはリライト出来ることだ。


ここで振り返って今までの勢いを確認したら、
もう振り返る場所はない。
そう思って、大きく振り返ろう。
自分の偉業をほめよう。
あなた以外の誰も、ここまで書けなかったのだから。

全体の地図を眺めると、
あれだけなかなか進まなかったプロットが、
もうあとわずかしか残っていないことに気づくだろう。
そのことに感傷的になることさえ、
あなたの権利である。

これまでを直してもいいけれど、
今後使う伏線に関係するところだけに限定しておこう。
直前を少し直せばいいだけだと思う。


あなた以外の誰も、この先にはいない。
あなただけが、山頂を見ている。


呼吸を整えれば、あとは何も考えなくていい。
主人公と再び一体化して登るだけだ。
posted by おおおかとしひこ at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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