チェック係はいないのだろうか?
残念ながら、これをチェックする役職は、
「今の」日本映画にはいないと思われる。
大昔は、
どこのスタジオでも脚本部があり、
脚本家はサラリーマンだった。
昭和の会社のように一から教えたから、
コミュ障の者は生き残れないし、そもそも入れなかっただろう。
しかし合理化が押し寄せると、
脚本部は外注化され、
そのうちフリーランスがやるようになる。
(驚くなかれ、
近代文学の祖、夏目漱石は新聞社のサラリーマンだった。
社員として小説を書いたのだ)
フリーランスなら、益々コミュニケーションが必要と思われるかも知れない。
ところがだ。
発注する側もコミュ障だとしたらどうだろう。
コミュ障同士、リアルでコミュニケーションが取れる訳がない。
相手を全面否定することも出来ないだろうし、
堂々と首にすることも出来ない。
こんな糞脚本を書かせた俺の責任だと、
自分の責任でプロジェクトを遅らせてでも、
別の優秀な脚本家を探すだろう。
その役職の人は誰か。
プロデューサーだ。
少なくとも、僕が接した映画プロデューサーと名乗る人は、
大抵コミュ障だった。(勿論例外も一杯いたよ!)
脚本家の書いたストーリーをきちんと理解し、
それを系統立てて批評し、
正しい方向はこっちだろうと、
脚本家にとっての第三の目になれるプロデューサーなんて、
数えるほどだった。
現実はそんなものだ。
だって、そのような実力がなかったとしても、
大手のラインに乗っかって、
人気原作と人気芸能人を押さえて、
全国何百館をあけて、
テレビとタッグを組んで大量宣伝すれば、
内容に関わらず、客は何十億も落としたのだから。
ある種、プロデューサーがルーチンになったのだ。
僕は某映画会社に、漫画を専門に読む部署があってびっくりしたことがある。
面白い漫画をいち早く原作権を取りに行く部署。
まあビジネスとしては、あるかないかではあった方がいいのかも知れないが、
これが脚本家をダメにしてる理由ではと思った。
漫画を読んでるくらいなら、
新人の原稿見るとか、脚本合宿した方がよほど生産的なのに。
そういうことをしないと、
「脚本とはどういうものか」という知識や経験が、
プロデューサーからまるで落ちていくと思う。
そして、現に、プロデューサーは殆ど脚本が読めない。
(某角川のプロデューサーの殆どが、
いけちゃんの正体が脚本を読んでよく分からなかったと答えた)
読めなくて、コミュ障の人が、
今のプロデューサーの殆どだ。
だからコミュ障の脚本を読めないし、却下出来ないのである。
これを、個々人の名前を挙げてバカだという事は簡単だが、
状況はもっと深刻だ。
プロデューサーはサラリーマンだ。
システムに乗っかって出世した人だからだ。
システムを変える力はサラリーマンにないことは、
サラリーマンなら知っているだろう。
大東宝が作り上げてきたメジャー邦画のシステムが、
今明らかに曲がり角を迎えている。
システムが腐敗して、良作を産めないシステムになっている。
人気原作を脱構築した、
コミュ障の脚本を、
よくわかってない監督が指揮を執り、
人気芸能人たちがスケジュールを縫って、
わずかの期間で出演させられている。
これはおかしい。
こんな作り方で、僕らが大好きな映画が、
作れるわけがない。
正解のひとつは、僕は風魔で示した。
予算以外殆ど制約がなく、
真摯に原作と向き合うやり方でだ。
(いけちゃんでは、制約が途中で大幅に変更され、
僕に対応できる力がなかった。それはクランクインをずらせないという、
とても馬鹿な理由だった)
大手のシステムでなく、
インディーズならば上手くいくだろうか。
そこも分からない。
映画は大衆のものだ。
沢山の人が見るべきだ。
インディーズは、尖ったものしか作れない。
メジャーな面白さには、ちょっと規模が足りない。
僕は、尖っててしかもメジャーなものを作るべきだと思っている。
(予算以外、風魔は実現できた)
そう思いオリジナル脚本を探している、
志ある、システムに流されていないプロデューサーを探している。
今のところ何人かいるけど、
メジャーシステムに押されて苦戦しているようだ。
このコミュ障ブームは、しばらく続くかも知れない。
僕みたいな評論を、誰もしていないからだと思う。
コミュ障の脚本家が悪い。
それを採用するコミュ障のプロデューサーが悪い。
それを全国でかけるシステムが悪い。
それに金を払ってしまう国民が悪い。
みんなドラえもん待ちの、のび太症候群だ。
20世紀の理論では、革命が起こって世界は変わるんだけど、
それすらのび太症候群のような気がしてならない。
暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう。
ということで、てんぐ探偵の最終巻執筆と、
現実逃避用の新作に戻ります…
2015年08月11日
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これはアナタの嫉妬ですよ
アナタの脚本の悪さを他人になすりつきゃちゃいけない
自分を見直すべきです