2015年08月11日

何故コミュ障の糞脚本が通るのか?

チェック係はいないのだろうか?
残念ながら、これをチェックする役職は、
「今の」日本映画にはいないと思われる。


大昔は、
どこのスタジオでも脚本部があり、
脚本家はサラリーマンだった。
昭和の会社のように一から教えたから、
コミュ障の者は生き残れないし、そもそも入れなかっただろう。
しかし合理化が押し寄せると、
脚本部は外注化され、
そのうちフリーランスがやるようになる。
(驚くなかれ、
近代文学の祖、夏目漱石は新聞社のサラリーマンだった。
社員として小説を書いたのだ)

フリーランスなら、益々コミュニケーションが必要と思われるかも知れない。

ところがだ。
発注する側もコミュ障だとしたらどうだろう。

コミュ障同士、リアルでコミュニケーションが取れる訳がない。
相手を全面否定することも出来ないだろうし、
堂々と首にすることも出来ない。
こんな糞脚本を書かせた俺の責任だと、
自分の責任でプロジェクトを遅らせてでも、
別の優秀な脚本家を探すだろう。

その役職の人は誰か。
プロデューサーだ。

少なくとも、僕が接した映画プロデューサーと名乗る人は、
大抵コミュ障だった。(勿論例外も一杯いたよ!)
脚本家の書いたストーリーをきちんと理解し、
それを系統立てて批評し、
正しい方向はこっちだろうと、
脚本家にとっての第三の目になれるプロデューサーなんて、
数えるほどだった。

現実はそんなものだ。
だって、そのような実力がなかったとしても、
大手のラインに乗っかって、
人気原作と人気芸能人を押さえて、
全国何百館をあけて、
テレビとタッグを組んで大量宣伝すれば、
内容に関わらず、客は何十億も落としたのだから。

ある種、プロデューサーがルーチンになったのだ。

僕は某映画会社に、漫画を専門に読む部署があってびっくりしたことがある。
面白い漫画をいち早く原作権を取りに行く部署。
まあビジネスとしては、あるかないかではあった方がいいのかも知れないが、
これが脚本家をダメにしてる理由ではと思った。
漫画を読んでるくらいなら、
新人の原稿見るとか、脚本合宿した方がよほど生産的なのに。

そういうことをしないと、
「脚本とはどういうものか」という知識や経験が、
プロデューサーからまるで落ちていくと思う。

そして、現に、プロデューサーは殆ど脚本が読めない。
(某角川のプロデューサーの殆どが、
いけちゃんの正体が脚本を読んでよく分からなかったと答えた)


読めなくて、コミュ障の人が、
今のプロデューサーの殆どだ。

だからコミュ障の脚本を読めないし、却下出来ないのである。

これを、個々人の名前を挙げてバカだという事は簡単だが、
状況はもっと深刻だ。
プロデューサーはサラリーマンだ。
システムに乗っかって出世した人だからだ。
システムを変える力はサラリーマンにないことは、
サラリーマンなら知っているだろう。

大東宝が作り上げてきたメジャー邦画のシステムが、
今明らかに曲がり角を迎えている。
システムが腐敗して、良作を産めないシステムになっている。

人気原作を脱構築した、
コミュ障の脚本を、
よくわかってない監督が指揮を執り、
人気芸能人たちがスケジュールを縫って、
わずかの期間で出演させられている。
これはおかしい。

こんな作り方で、僕らが大好きな映画が、
作れるわけがない。

正解のひとつは、僕は風魔で示した。
予算以外殆ど制約がなく、
真摯に原作と向き合うやり方でだ。
(いけちゃんでは、制約が途中で大幅に変更され、
僕に対応できる力がなかった。それはクランクインをずらせないという、
とても馬鹿な理由だった)


大手のシステムでなく、
インディーズならば上手くいくだろうか。
そこも分からない。
映画は大衆のものだ。
沢山の人が見るべきだ。
インディーズは、尖ったものしか作れない。
メジャーな面白さには、ちょっと規模が足りない。
僕は、尖っててしかもメジャーなものを作るべきだと思っている。
(予算以外、風魔は実現できた)

そう思いオリジナル脚本を探している、
志ある、システムに流されていないプロデューサーを探している。

今のところ何人かいるけど、
メジャーシステムに押されて苦戦しているようだ。



このコミュ障ブームは、しばらく続くかも知れない。
僕みたいな評論を、誰もしていないからだと思う。

コミュ障の脚本家が悪い。
それを採用するコミュ障のプロデューサーが悪い。
それを全国でかけるシステムが悪い。
それに金を払ってしまう国民が悪い。
みんなドラえもん待ちの、のび太症候群だ。

20世紀の理論では、革命が起こって世界は変わるんだけど、
それすらのび太症候群のような気がしてならない。


暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう。
ということで、てんぐ探偵の最終巻執筆と、
現実逃避用の新作に戻ります…
posted by おおおかとしひこ at 13:55| Comment(1) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大岡先輩
これはアナタの嫉妬ですよ
アナタの脚本の悪さを他人になすりつきゃちゃいけない
自分を見直すべきです
Posted by 匿名 at 2016年08月25日 15:36
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