2015年08月12日

継ぎ接ぎだらけになった脚本の直し方

僕の生涯をかけて編み出した、
今の所ベストのやり方を書いておこう。

まずシンプルに凝縮する。
ログラインを書くか、
もっと一行にまとめる。

これは一言で言うとどんな話か。


次に、その話の骨格を書く。

大岡式トライアングルがいい。
(詳しくはトライアングルメソッドまとめを見てください)
ストーリー、ビジュアル、テーマの三つだ。

ストーリーは大岡式三幕構成に基づいて整理する。
すなわち、
問題、アイデアと実行、変化の三幕にだ。

それぞれ短い言葉で書くといい。



さて。

継ぎ接ぎだらけの脚本が、
果たしてここから、
論理的に導かれたものかどうかを確認しよう。

大抵そうなっていない。

そのテーマを書くための変化か?とか、
その問題を描くためのオープニングか?とか、
その問題を解決するための、
アイデアがあってその実行が描けてんのか?とか、
そのテーマを描くためのビジュアルか?とか、
そのビジュアルはストーリーのどの辺の何を表しているのだ?とか、
テーマを描くビジュアルは?とか、
色々な疑問が出てくる筈である。


その継ぎ接ぎだらけの脚本を、
丁寧に腑分けして、
大岡式の骨格にぶら下げていこう。

そして、それらがそれぞれの役割を果たすように、
一からプロットを書き直すとよい。

プロットから?
そう、プロットからだ。


その継ぎ接ぎボロボロ脚本は、
手術を繰り返して死んだ人だ。
その魂の本質を抽出して、
新しい肉体に生まれ変わらせることが、
死んだ人に手術を繰り返してまだ生きてると主張することより、
強い肉体を作れるのである。

現実の生命ではそんなことは不可能だが、
脚本には可能だ。

大岡式トライアングルメソッドは、
発想の為の方法だが、
リライトの為の方法でもある。

まず初期トライアングルが、
本当に面白い関係になっているかを確認しよう。

ストーリーは問題と解決を書いているか。
それを解決するためのアイデアと実行は面白いのか。
その結果の変化は、それらを踏まえた変化か。
それはテーマを暗示するストーリーになっているか。
ビジュアルはストーリーのどの場面か。
それはストーリーのどの要素を示すのか。
それはテーマを暗示するのか。

それがクリアになるまで、トライアングルを整理し直そう。
最初に書いたログラインを、きちんと表現しているだろうか、
それも確認しよう。

あとは大岡式トライアングルメソッドのテンプレを持ってきて、
小ブロックがその全体に対してどういう役割を持っているか検討しながら、
捨てる捨てないを選択していけばよい。
ある小ブロックが出来がいいことと、
ストーリーに寄与しているかどうかは関係がない。
ストーリーに寄与している役割を持つところだけ残して、
あとは捨てる。

残ったブロック群を煮詰めて、
新しく面白いエピソードを創作する。
勿論、興味深い焦点を持ち、ターニングポイントで方向性の変わる、
飽きなくて面白いストーリーラインをだ。

サブプロットはこれを補強するように、
メインを作り終わってから足すか、同時進行で考える。

こうして、全く新しいプロットから作り直すのが、
今の所の正解だ。


つまり、便利で簡単なやり方はない。
最も正攻法で、最も泥臭く、最もハードなやり方しかない。
そして当然だが、
最も実力がいる。



デジタルが人を幸せにしないのは、
こういう実力を一ミリも育てないからだ。

現実はスマートじゃない。
いびつで泥まみれで雑菌だらけだ。
我々はそこから、美しく整った蓮の花を咲かせるのが仕事だ。





ちなみにこのやり方で、
糞進撃を再生してみる。

一言で言うと?:巨人の進撃を止めるため、爆薬作戦をする話
ビジュアル:壁の向こうからやって来て人を食う巨人に立体機動で挑む
(※決して大巨人にではなく、新橋の巨人にだ。
ついでに新橋のオッサンではなく、外人のデブにビジュアルを変えておこう)
テーマ:絶望しなければ希望はある。
ストーリー:
問題:100年間破れなかった壁が破られ、
巨人が進撃してきたこと
(目的は巨人たちの殲滅と壁の奪還)
(エレン自身の問題は、壁の外に行く勇気がないこと)
アイデアと実行:巨人が寝ている間に、
壁までたどり着き、爆破して上の壁を落とし、
巨人が入れないようにして、残りの巨人を殲滅
変化:壁爆破成功、巨人殲滅し、
絶望しがちな人類を、精鋭部隊で鼓舞できたこと
エレン自身も、壁の外へ行くチャンスを得たこと

後編へ続く:最後の一匹にエレンが食われ、
死んだと思いきや覚醒、
しかし首の中にいた。
巨人の謎は深まり、後編でその謎が解けることを暗示


ざっくりはこういうこと。

水原との再会はあるかも知れない。
徹夜で壁までたどり着き、休みなし。
赤ん坊、膝げり、セックス、リンゴなし。

寝てる巨人のビジュアルをつくる。
その脇を音を出さないように駆けるシーンあり。


あとはサブプロット。
シキシマや水原で出来ることや、
國村準で出来ることや、
本郷で出来ることを考える。
それはメインテーマのサブテーマ。
絶望と希望がキーワードになるだろう。
例えば國村は絶望している代表とか、
水原も絶望していてそれまでに何体道連れに出来るかという破滅的生き方とか。
シキシマは、童貞が書く脚本なら一見正義の偽善者になるが、
僕ならバカみたいに希望を持っていて、
甘いが故に死ぬキャラにするかな。


何度も言うが、僕は原作は未読だ。
映画で見た要素だけを元に、再構成してみた。
これだけでも随分ましなものになりそうである。
一ヶ月と300万くれたら、原作を全部見た上で、
脚本化してもいいけど。
posted by おおおかとしひこ at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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