最近いい「つづく」を見てないから、
今の人たちはいい「つづく」に触れてないかも知れない。
いい「つづく」というのは、
本当に続きが待ち遠しい。
これを研究するのはとても役に立つ。
ストーリーとは、つづき続けるものだからだ。
いい「つづく」とは、
なるべく土壇場で、
焦点を一つに絞り、
かつその先が不明であることを明らかにさせ、
なおかつ予想させるものがいい。
よくあるのは、
絶体絶命のピンチ、主人公は死ぬのか生きるのか!(主人公の生死)
死んでたと思ったら、生きてた!(何故生きてたのか)
「一体どうすれば」「俺に考えがある」とにやりと笑う(主人公の計画)
などだ。
()で括ったのは絞られた焦点だ。
本当に不明でなく、
その先を予想するものがいい。
それぞれ、
主人公は死なないだろうけど、このピンチをどうやって抜けるのかなあ、あれかなあこれかなあ、
あの時のあれは無効だったのか?
あの時の伏線を使うのだろう、
などのように、見ている観客はある程度の方向で推理する。
そして次回、
それが当たっていればやっぱり!となり、
外れていればやられた!となる。
どっちにせよ、夢中なのである。
やっぱり!とやられた!の配分が、
飽きさせない「つづく」のコツなのかも知れない。
最近の「つづく」でドキドキしたのは、
もう何年前か、
「宇宙兄弟」連載時のヒビトの月での遭難だ。
僕はいまいちヒビトが立ってないキャラだと思ったので、ヒビトの死を予想していた。
越えられない弟が月で死に、
その死体を月面まで見に行き、彼を越える話になると予想した。
(上手くいけば月面でミイラになれるはずだ)
実際にはそうではなかったが、とにかくこの頃は夢中だった。
残念ながら、あれ以来一応毎週読んでるが、
あの時以来のドキドキはないけれど。
やっぱり生死が絡むとドキドキするのかね。
安易に死んだり生き返ったりするキン肉マンでは、
小学生でもドキドキしないかも知れないが。
僕が書いた中では、
風魔のAパートの終わり、つまり真ん中のCMに入るときに、
いい「つづく」を用意するようにした。
一話完結的に考えていたから、
話の終わりに大きな「つづく」はなしにして、
話の真ん中にいい「つづく」で引っ張るような構成にしたつもりだ。
それは監督が代わるというドラマ特有の状況もある。
他人の「つづく」を自分で解決するのは、
ちょっと難しいからだ。
(実際、市野さんの4話のつづくを僕担当の5話で受けきれた自信はない。
7話の壬生謀反終わりは8話で受けられている。どちらも市野さん回)
僕が「水戸黄門に来週につづく話はない」という法則を知っていたからかも知れない。
(年寄りは来週まで生きているかどうか分からないから、
来週につづく話はやめてくれ、という一本の電話が元だそうだ)
その代わり、Aパート終わりの「つづく」はきちんと力を入れた。
1: 敵方にも夜叉が、しかし女装がよりキッツイ「風魔の小次郎。その実力、試させて貰おう」
2: 絵里奈の兄とは、武蔵。「風が吹いたの」「…風?」
5: 白虎、リンピョウを殺す
6: 霧で試合中止
9: 氷川不利
10: 応援団長、応援をはじめる
12: 乱戦からの「姫子はどこだあ!」
13: 絵里奈が突然登場
僕は1と13がお気に入りだ。
特に13は原作ファンであればあるほど唸る、
いいつづくだったと思う。
また、12話の終わりだけ、最終回へのつづき方を工夫した。
壬生の手から渡った黄金剣が、
武蔵の手に渡った瞬間覚醒する場面だ。(これも原作ファン唸るよね)
「残る夜叉、あとたった一人!」というカウントダウンと、
吠えあう武蔵と小次郎のラストは、
最終回の最終決戦への最高のヒキだと思う。
さて、いい「つづく」は、
何もドラマ特有のものではない。
映画にもある。
いや、なければならない。
理想は、
各シーンの終わりにすべて、
さらにビッグなつづくが各ブロックの終わりに、
そして最もビッグなつづくが、
第一ターニングポイントと第二ターニングポイントにあるように、
構成されているべきだ。
これが上手くいけば、
物語は焦点を保ち、
観客は飽きることなく、
夢中で居続ける。
以前にも書いたが、「つづく」とは、
一種のターニングポイントだ。
新たな焦点の提示で終わると、いいつづくになる。
それがええっ!と驚きがあったり、
きっとこうなるだろう、ワクワクするぞ、があるほど、
大きなつづくになるのかも知れない。
逆に、そういうのがないから、
あなたのストーリーは詰まらないのかも知れないよ。
それは、観客との揺さぶりあい、掛け合いに近い。
コミュニケーション力は、ここで生きるのだ。
(勿論糞進撃にはこんなものが全然なかったね)
さて、先日てんぐ探偵の最終話直前まで書き終えた。
あとたった1話だ。最高の「つづく」で最終話へヒキを作ったつもりだ。
おたのしみに。
2015年08月14日
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