2015年08月17日

テーマはどうあるべきか?

ありきたりのテーマで初心者は書いて練習せよ、
とよく言われる。

しかし、自分なりのテーマを探すコツを教えてくれる人はいない。
ありきたりのテーマで練習して、
テーマとはどんな感じかを大体分かってきたら、
自分だけのテーマを探す練習もしなければならない。

陳腐で、チープなのは問題外だ。
糞進撃のテーマのひとつは、「世界は絶望」だが、
これがいかにダメかは前記事を参照されたい。

僕は、キャッチコピーになるものがいいと考えている。


いいキャッチコピーの条件は、
・文章として切れがあり、感情がふれるもの
・その内容が新しい発見を人生にもたらすもの
であるべきだと思っている。

「省エネNo.1!」とか「新発売!」はコピーでもなんでもない。
「コクがあるのにキレがある」なんてのは、単なる商品特長だ。
ただ、我々の価値観において、
「コクとキレは両立しうる、それは人生もそうだ」
と思わせたので、キャッチコピーとして成立している。
僕がよくあげるのは、
「恋は遠い日の花火ではない」(サントリーオールド)と
「オリンピックがなければ、平凡な夏でした」(オリンピック民放連)だ。
それは、商品特長を言いながら、
実は人生に新しい発見をもたらしている。
歳を重ねたなりの恋の仕方がある、という希望と、
きっかけさえあれば人は情熱を取り戻せる、という希望だ。

CMのキャッチコピーのいい所は、
ネガティブに陥らず、
必ずポジティブで、
しかも王道(小難しい理屈を必要とせず、脇道に入らない)な点だ。

中途半端な中二病は通用しない。
中途半端なセカイ系も通用しない。

何を描くか、という短い内容に、作家的視点が必要だと僕は思う。
だから、すべからくコピーライターは作家であるべきだ。
しかるに、林真理子からこっち、コピーライター出身の作家がちっともいない。
コピーライティングは死んだのかも知れない。
「オリジナルの文章を書く仕事」でかつ凄まじい淘汰と切磋琢磨がある業界は、
今ならお笑いのネタなのかもね。



全く新しいことを短く言っても理解されない。
たとえば波動方程式を書いても、大学理系以外には呪文だ。
読んだ人が正しく内容を理解できなければならない。

それは、少し新しいことを言うものだ。

現状をそのまま言っても現状認識でしかない。
現状批判と、ありうべき未来を見据えた上で、
その架け橋を作るのである。

「恋の遠い日の花火ではない」が書かれたとき、
中年のおじさんやおばさんは、
若いキラキラした恋は、してはいけないものだとされていた。
しかしキラキラしてなくても、
その歳なりに恋というのはあるかも知れない、
と希望ある未来を持たせたから、
このCMは大ヒットしたのである。

現状批判は、中年の恋禁止で、
未来は、中年でも恋をするべき、である。
それを、繋ぐ架け橋としてこれは存在している。
(なおかつ雅な言い方をしているところが、
このキャッチコピーの完璧なところだ。
「歳を重ねれば重ねるほど、いい恋がわかる」
とかでもいい所に、この雅な言い方!)



あなたは、そのようなものが書けるだろうか。

書けたら、それがテーマになるだろう。


雅な言い方に今のところ挑む必要はない。
たとえば糸井重里は、技巧を使わないコピーライターの一人だ。

コピーライティングとは、
何を言うかを煮詰めていく仕事だ。
それは、現状をどうとらえ、どう批判するかを考え、
未来を見せる、どういう分かりやすい一行に凝縮するかという、
戦いなのである。


自分の例で言えば、
てんぐ探偵のテーマは、「闇にかざすのは、炎だ」だし、
新作(どこかで発表できるといいなあ)のテーマは、
「友達のピンチに何もしないやつなんて、友達じゃない」だ。
これはどちらもそのまま、作品のキャッチコピーにもなり得る。

僕が(いい時代の)広告から学んだことは、
キャッチコピーとテーマは同一かも知れない、
時に全く一致させてもいい、ということである。

このやり方が全て正しいとも限らないが、
テーマを考えるときの、
ひとつの指針として使ってもいいかも知れない。


ブレイクシュナイダーによれば、
開始5分に、テーマに関する台詞が現れるのだそうだ。
初期設定が終わって、そろそろ本題かなというタイムだから、
全体がどういうことを言おうとしているのか、
無意識にでも出てくるのかもね。
(PCでこのブログを見ている方は、
大体「続きを読む」の直前に記事のサマリーになる、
テーマ的な一行があることに、
気づいている人もいるだろう。
5分というタイムは、そんなイメージ)


テーマはどうあるべきか?
いいキャッチコピーのようであるといい、
というのが僕の考え方だ。
posted by おおおかとしひこ at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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