2015年08月20日

長編映画企画の作り方

まず、みんなが飛びつく見世物要素を用意する。
そこに必要な人間ドラマを書く。

または、まず人間ドラマを書き、
それのどこかに見世物要素を付加する。

どちらから入ってもいいが、
最終的には両者が不可分に融合されていること。


前者のアプローチ。
見世物要素は、いわゆるガワだ。
「巨人の敵をワイヤーアクションで倒す」
は、分かりやすいガワの面白さだ。

この世界をベースに、面白い人間ドラマを書くといい。
進撃糞実写版はドラマらしいドラマはなかった。
童貞が思いを爆発させるちんけなドラマがあった程度だ。
たとえば「アパートの鍵、貸します」のような、
濃厚な人間ドラマをドラマ10とすれば、
糞進撃は人間ドラマ0.01ぐらいだ。
だから糞糞言われるのである。
せめて3や5までドラマの面白さを上げてくれれば、
とても面白いのにね。

面白い人間ドラマはどう書くかについてはここでは書かない。
過去の深いとこを読んどくれ。
人間ドラマが書ける前提で話している。


まずは普通レベルに面白い人間ドラマが書けるとして、
実はそれだけじゃダメなのだ。

見世物要素と上手く融合した、
見世物要素と不可分な人間ドラマを書かなくてはダメだ。

進撃の例で言えば、
「巨人の敵を倒す」にまつわる人間ドラマでなければならない。

たとえば、
・巨人化遺伝子を持つ主人公が、人間たちから迫害される。
(デビルマンと同じ人間ドラマ)
・巨人化してしまった親友または恋人を殺す話。
・巨人に殺された恋人の復讐の為に巨人殲滅部隊に入った男が、
殲滅部隊の女と恋をする、彼女も恋人を巨人に奪われていた
(戦争ものでもいけるネタ)

などがパッと思いつく。

「巨人を倒す」ということと不可分なのは、
上二つだ。
三番目は汎用性が高いが、
高いが為に「巨人を倒す」ならでは、
ではない。
しかし面白いモチーフだから、脇役のサブプロットになるかも。

このように、「巨人を倒す」ことに深く関係する、
見世物要素と人間ドラマが一体化したものを思いつく必要がある。
深く関係すればするほど、
それは深くなる。

見世物要素を深く考えることで、
人間ドラマは深くなって行くだろう。


成功例を。
「トップガン」は、「戦闘機乗りの訓練」という見世物要素を持った映画だ。
戦闘機とはこういうものだ、とか、
戦闘機乗り育成世界を垣間見るとかが、
見世物要素である。
(主人公のかっこよさや上官との恋など、
「戦闘機乗りでなくてはならない要素」でないものは、
ここでは省く)
この見世物要素と不可分な人間ドラマはなんだろう。
「複座でコンビを組む」である。

主人公マーベリックとグースというバディムービーと思わせておいての、
グースの死で、
今まで強力なライバルだったアイスマンとコンビを組む、
という熱いドラマ。
これこそが、
「複座式戦闘機乗りと不可分な人間ドラマ」なのだ。

複座(コンビ)というドラマ性(人間と人間の関係)に気づいた脚本家の勝利だと言える。


糞進撃にはこういう、
見世物要素と不可分な人間ドラマがなかった。
主人公の巨人化が要素としてはあったけど、
それがトップガンのようにドラマの中心に組まれていない。
見世物要素とドラマがバラバラ。
だから面白くないのである。




二つ目のアプローチ。

人間ドラマをただ書いても地味なのだ。
山田洋次や小津安次郎など、松竹派には、
僕はそういうイメージがある。
人間の真実を描いている良質なドラマなのだけど、
なんだか地味なのだと。

例えば「幼なじみとの初恋」を描くのに、
普通にラブストーリーを組んでも地味なだけだ。
「双子と女子という特殊シチュエーションで、
途中で弟が死んで、兄が甲子園を目指す野球もの」
ぐらいにガワを見世物要素にしなければならない。
これは「タッチ」という作品だ。
あるいは、
「神社の階段で転んで、
何故かお互いの心が入れ替わる」という見世物要素を付加する。
思春期特有の「肉体の目覚め」と絡める。
これは、「転校生」という作品だ。

単なる人間ドラマだけでは地味だ。
そこに、誰もが面白そうと思う、見世物要素を足していけば良いのである。

単なる見世物要素を足してもだめだ。
人間ドラマと不可分になる見世物要素を足すのである。

「幼なじみとの初恋」という人間ドラマに、
「エロ」という見世物要素を足すのは、ドラマ系AVの古典的パターンだ。
最近はNTRが流行りなのかね。
(みんな〜エスパーだよ!も結局それで終わったねえ)

ちなみに「巨人を倒す」見世物要素を無理矢理足してみよう。
主人公と巨人が幼なじみとか。
(何故か巨人は主人公を殺さず、二人は仲良しに、しかし人間たちが巨人を倒しにやって来る。
これは「アイアン・ジャイアント」という傑作である。
この場合では巨人が女か、主人公が女か)
幼なじみの初恋の人が巨人に殺された復讐劇。
幼なじみの初恋の人が巨人化。
などなどが考えられる。
見世物要素に振り回されることなく、
人間ドラマの芯を通す力が、脚本家に求められるだろう。



物凄くざっくりと、
見世物要素と人間ドラマの関係について書いてみた。
ついでにこれとテーマの関係について考えれば、
大岡式トライアングルメソッドの、
初期トライアングルが出来たことになるけどね。
posted by おおおかとしひこ at 10:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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