2015年08月21日

落ちとは、フルブレーキングだ

「これまでの勢いを、ブレーキを目一杯かけること」が、
ラストには必要だと思う。


フルブレーキングで何が起こるか。

これまで来た勢いが、一気に止まる。
シートベルトなんて安全装置はないから、
勢いで前のめりになるだろう。

そんな感じだ。

そのフルブレーキングで飛び出た勢いこそが、
「これまで紡いで来た、物語の勢い」だ。
ひとつのストーリーラインだけでなく、
サブプロットなど複数のラインの決着もつくだろう。

全てのことが、一気に終わるのが理想だ。


物事の解決とは、いわばブレーキで止まった車である。
止まったら、もうこれ以上走り続ける必要はない。
永久に停止してよいのである。
走り続けた勢いの記憶だけが残り、
あとは風化していくのみである。


どういう急ブレーキが理想だろう。

ゆっくりのスピードから入るのは、ショボすぎる。
勢いはあるだけあるべきだ。
フルスロットルでクライマックスを駆け抜けるから意味がある。
そしてその終端速度への最後の加速は、
第二ターニングポイントであることは論を待たない。

また、急ブレーキすることを予測していないブレーキは、
びっくりするだけだ。(どんでん返しとはこのことかもだ)
全員が、ブレーキポイントが既に見えていて、
ここでフルブレーキングだ、と身構えていて、
なんならカウントダウン出来るぐらい、
皆がラストを見つめていて、
全員がフルブレーキングを味わうぐらいが、
ベストではないかと思う。


てんぐ探偵のラストは、まさにそのように書けたのではないかなあ、
とちょっと自負している。(もうすぐ発表!)

これまでにフルスロットルで来ていること。
皆がラストを見つめていて、
一気にブレーキを踏み込み、
勢いが一気に消えて、前のめりになり、
あとには勢いの余韻だけが残ること。

そんなラストが理想だと思う。
posted by おおおかとしひこ at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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