2015年08月26日

間違ってる企画、正しい企画

ガワが魅力的だが、中身がよく見えない企画。
中身は分かるが地味なガワの企画。

これは間違ってる。

ガワが魅力的で、
なおかつ中身がとても良いものが、正しい企画。


よくあるのは、
ガワが魅力的が故に、
中身を見誤ってしまうパターンだ。

企画が派手でそれに騙されて、
中身がないのにいい中身だと勘違いしてしまう。

ぼんくらは特に騙されやすい。

ペプシ桃太郎、オリンピックロゴをはじめとする佐野デザイン、
安藤忠雄の建築物は、
企画上は派手なガワに見えたのだろう。

ペプシ桃太郎は、Vコンを作ったという(小栗旬のインタビューにある。
既に映画を繋いだビデオがあったこと)。
凄い映画の断片を編集して、一本の世界観ビデオを作ったのだ。
(容易に考えられることは、
「落下の王国」「ハムナプトラ」「プリンスオブペルシャ」
「タイタンの戦い」「パイレーツオブカリビアン」あたりを中心に、
「Rock you」をベタ引きすることである)
それは絵面のイメージであるが、
ストーリーを意味してはいないのに。

佐野エンブレムは、
使えもしないA〜Zと0〜9のフォントまで作った。
36のうち1しか使わないのにだ。
(あれ?パラリンピック用のA〜9は?
そもそもtokyo2020すら、そのフォントにしないのは何故?)

安藤忠雄は、
たとえば「太陽が十字架になる教会」では、
ミニチュアを作り、その後ろから派手なライトを焚いたに違いない。
日本は、4割は曇りか雨の国であるにも関わらずだ。
台風の日はあの教会どうしてるんだろうね。



クライアント(仕事発注者)は審査員ではない。
世の中にある名作を研究し、
それがクリエイティブの歴史のどこに位置付けされる作品かは、
分からないドシロウトと言ってもいい。
ただ、現状をどうにかしたい人の集団なのだ。

それを、ガワで騙す奴がいる。
こんなに見た目が素晴らしいのなら、
中身も素晴らしいに違いないと、騙すのだ。

イケメンが聖人であるとは限らない。(たいていヤリチンだ)
美女が聖人であるとは限らない。(たいてい馬鹿で性格が悪い)

それを見抜けないように、ガワで騙すのである。


それは、間違ってる企画だ。


志ある人なら、
あなたは騙されていますよ、と忠告することもするかも知れない。
「剛力彩芽を白鳥のジュンにして、
SFX満載のガッチャマンが作れないか」なんて馬鹿なことを言うクライアントに、
「馬鹿言っちゃいけません。それは袋叩きです」と忠告することが、
志ある者の態度である。
しかし、人は否定されることより承認されることを好むから、
「そのアイデアは素晴らしいですね。
そのプランを実現する方法があります」と、
派手なガワで騙す奴が仕事を受注する。

コンペは、一見公平でベストなものを選べるやり方に見える。
それが、しっかりした中身があるか分かる者にとってはだ。

そんな発注は間違ってる、と返す、志ある者に、
次回のコンペは回ってこない。

次回のコンペは、また派手で中身のない、ガワだけのプレゼンで、
ぼんくらが騙されるだろう。



さて。

ということで、僕には次回のコンペが回ってこない。
困ったものだ。
posted by おおおかとしひこ at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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