通常運転に戻ります。
ということで、根本的に考えよう。
我々の属する芸術分野、
ストーリーの特徴とはなにか。
ストーリーとは時間軸があることだ。
時間軸がある、ということは、変化があることである。
(変化しないものは時間軸がない)
ストーリーとは変化のことだ。
変化しないものはストーリーではない。
あの子と付き合って別れるのがストーリーであり、
片想いのあの子についに告白しなかったのはストーリーではない。
就職したが辞めた、がストーリーであり、
はたらく、はストーリーではない。
be, ingはストーリーではない。
do, didからのthen whatがストーリーだ。
ひとつはストーリーではない。
二つ以上がストーリーだ。
変化とは、あることから次のことに変わることだ。
あること、変わること、次のこと、
このみっつがストーリーだ。
あること単独はストーリーではない。
あることについて思うことは随筆であり、
ストーリーではない。ひとつだからだ。
二つ思っても、それは二つの随筆であり、ストーリーではない。
あることについて思い、
それが全く別の思いに変化すれば、
その変遷はストーリーである。
ある美人がいました、はストーリーではない。
その美人はデブになってしまいました、がストーリーだ。
こういうことがあった、はストーリーではない。
こういうことがあった、しかし今はない、はストーリーだ。
(昔話は、前者ではなく後者の形をとる)
あることの段取りを並べることはストーリーではない。
例えばキス、さわる、挿入という三つはストーリーではない。
それはセックスという一つの、スプレッドに過ぎない。
セックスしなかった所にセックスした、とか、
セックスしたけど別れた、がストーリーである。
それが「恋人という段取り」でしかないのなら、
それはストーリーではない。
恋人というひとつに過ぎない。
つまり、一言で言えないことがストーリーだ。
どう簡単に言ったとしても、
二つのものの変化としてしか言えないことがストーリーだ。
下手な人は、下手に一言にまとめてしまう。
例えば「E.T」を、「二人の友情」とまとめてしまい、
「少年が宇宙人を助けて、別れる話」とまとめない。
「ロッキー」を「ボクシング界に起きた奇跡」とまとめてしまい、
「チャンスを得た男が、自分を証明する話」とまとめない。
このまとめかたは、
変化前と変化後をまとめて、
その間の動きや変化としてストーリーをとらえようとするまとめかたである。
数学的に言うと変化率である。
始点と終点を定め、その変化の軌跡を描く。
それがストーリーだ。
始点と終点が変わってなかったり、
軌跡がないものは、
ストーリーではない。
つまりストーリーをつくるということは、
始点、始点と異なる終点、その軌跡の、
最低三つを、面白く創ることである。
デザイン、哲学、絵画、彫刻、エッセイ、頑固なオッサンは、ストーリーではない。
音楽、料理、ダンス、男女は、ストーリーである。
2015年09月02日
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