2015年09月08日

お話の発生のイメージ

生命の発生過程をご存知だろうか。
受精卵が二個に分かれ、四個に分かれ…というのは見たことがあるかも知れないが、
その続きのことだ。
増えた細胞は、ざっくり言うと平面になる。
それがどこかでくるんと筒状になる。
一方の端が口になり、一方の端が肛門になる。
つまり、生命の最初に出来るのは、口と腸と肛門という、
ひとつの管だ。
あとは内蔵や手足や骨が、勝手に出来ていって形が整うという。

つまり生命の根幹は消化管である。
脳や心臓や肺や、皮膚や筋肉や骨や目や口や鼻や、
手や足や生殖器や毛や爪は、
それからの派生である。


お話も、こうやって出来るのだろうか。
最初に出来る管は、一体何に当たるのだろう。


それは、テーマだろうか。
それは、変化だろうか。
それは、難事件と見事な解決だろうか。
それは、解決の瞬間のカタルシスだろうか。
それは、ラストシーンだろうか。

(ちなみに、これ以外から生まれたもの、
例えばファーストシーンから生まれたものや、
主人公の癖や性格から生まれたものは、
お話という生命まで育たずに流産すると、
僕は考えている)

どれが最初に出来て、どれが派生する内蔵や骨なのだろうか。

実は、僕も分かっていない。
上に挙げたうちの、どれが最初の管なのか、
今のところ僕には分かっていない。

しかし、これらが管の候補であることは確かだ。

てんぐ探偵は56話に渡る話の集合だが、
例えば妖怪「横文字」は3だったし、妖怪「誰か」は1だった。
1、2、3、4、5のどれかから生まれたものばかりだ。
(どれがどれかのリストを作ってもいいが、面倒なのでやめた)

どれから生まれれば傑作になるかとか、
どれから生まれれば作りやすいとかは、
人によるかも知れない。

あるいは、人によっては、
主人公の性格から、全てを作る人がいるかも知れない。
あくまで、僕の話の、発生の仕方なのかも知れない。

もしあなたが、結局最後まで話を作れないのなら、
最初の管が、違うのかも知れない。
別のところから話を作る、ということを試みてみてはどうだろう。
posted by おおおかとしひこ at 02:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック