生命の発生過程をご存知だろうか。
受精卵が二個に分かれ、四個に分かれ…というのは見たことがあるかも知れないが、
その続きのことだ。
増えた細胞は、ざっくり言うと平面になる。
それがどこかでくるんと筒状になる。
一方の端が口になり、一方の端が肛門になる。
つまり、生命の最初に出来るのは、口と腸と肛門という、
ひとつの管だ。
あとは内蔵や手足や骨が、勝手に出来ていって形が整うという。
つまり生命の根幹は消化管である。
脳や心臓や肺や、皮膚や筋肉や骨や目や口や鼻や、
手や足や生殖器や毛や爪は、
それからの派生である。
お話も、こうやって出来るのだろうか。
最初に出来る管は、一体何に当たるのだろう。
それは、テーマだろうか。
それは、変化だろうか。
それは、難事件と見事な解決だろうか。
それは、解決の瞬間のカタルシスだろうか。
それは、ラストシーンだろうか。
(ちなみに、これ以外から生まれたもの、
例えばファーストシーンから生まれたものや、
主人公の癖や性格から生まれたものは、
お話という生命まで育たずに流産すると、
僕は考えている)
どれが最初に出来て、どれが派生する内蔵や骨なのだろうか。
実は、僕も分かっていない。
上に挙げたうちの、どれが最初の管なのか、
今のところ僕には分かっていない。
しかし、これらが管の候補であることは確かだ。
てんぐ探偵は56話に渡る話の集合だが、
例えば妖怪「横文字」は3だったし、妖怪「誰か」は1だった。
1、2、3、4、5のどれかから生まれたものばかりだ。
(どれがどれかのリストを作ってもいいが、面倒なのでやめた)
どれから生まれれば傑作になるかとか、
どれから生まれれば作りやすいとかは、
人によるかも知れない。
あるいは、人によっては、
主人公の性格から、全てを作る人がいるかも知れない。
あくまで、僕の話の、発生の仕方なのかも知れない。
もしあなたが、結局最後まで話を作れないのなら、
最初の管が、違うのかも知れない。
別のところから話を作る、ということを試みてみてはどうだろう。
2015年09月08日
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