2015年09月10日

ブロックの終わりだけを取り出す2

具体例がないと分かりにくいだろうから、例で。

現在リライト中の「てんぐ探偵」を例にします。
(以下ネタバレ)




二話分を例に、最後の一文(リライト版なので元と違うところあり)
だけ抽出してみた表が以下だ。
なおページ数は、発表時とは別の基準になっている。
数字の比だけ参考で。


第一話「炎の巨人と黒い闇」 全6節、14P

1 「何だ? ……お前、俺が見えているのか?」 2P
2 家の外には、大小の歪んだ顔の「妖怪」たちが、
 百鬼夜行の如く闊歩していたからである。    2P
3 こいつらはオレたちの養分を吸い、大きくなり、
 宿主を吸い尽くして、「増える」。       2.5P

4 大天狗が試しているのだと、シンイチは思った。 3P
5 あとに残ったのは、真っ白な清めの塩の柱である。2P
6 高畑シンイチは、天狗の面を被ると天狗の力が増幅する、
 てんぐ探偵である。 2.5P


第四話「お前は誰か」 全3節、6.5P

1 青嶋は考えるのを止めた。  2.5P
2 その群れの中にいた青嶋だけが、思い当たる節があって足を止めた。1P
3 「名前を、教えて下さい」  3P



節(ブロック)の終わりの一文だけを抜き出すことで、
このようにストーリー全体を俯瞰することが出来る。
また、ページ数比較で、
物事の進展がどの程度か、そのスピードなどを把握することが可能だ。

たとえば、「お前は誰か」でこういうページ配分だったとする。
1: 1P
2: 1P
3: 3P
これだと序盤が急ぎすぎて、何があったか分からないまま話が進行してしまうだろう。
七次受けという状況を味あわないと、
「青嶋は考えるのを止めた」ことに感情移入しきれないだろう。
逆に1が5Pもあるとすると、青嶋の説明が長過ぎて、
いつになったらシンイチでてくるんだよ、ってなってしまうだろう。

また2節が長過ぎれば、青嶋との出会いが遅くなるので、
1節での感情移入の居所がなくなってしまう。

などの感覚的設計に、この図は便利である。

もちろん、各ブロックの劇的文脈(一文で書くあらすじ)
を書いてもいいのだが、
本文の文章を使う所が、リアリティー、実在してる感じを出すのにいい。



進行のペース、ページ数を見て、
進行の度合いを確かめること、
そもそも、この展開でいいのか考えること。
そもそも、ストーリーが進展しているのかチェックすること。

そのような俯瞰的な目線に立つのに、
このシンプルなやり方はオススメだ。
posted by おおおかとしひこ at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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