あなたの作品がどのような価値を、
世界にもたらすのだろうか。
需要と供給の関係ではないけれど、
以下のようなものがあると思う。
1. とにかく受けるモチーフ。
女子高生や美少女、メカ。
イケメンとのあり得ない恋。
なんでもいいからその要素さえ入っていれば、
金を出すという人が世の中には一定数いる。
多いか少ないかでいうと、そこそこだ。
アイドルファンの中には、
グッズが酷くても、全て集める人もいる。
たとえば恐竜もの、時代物、格闘ものなども、
一定数のファンがいるだろう。
狭いマーケティングは、
その潜在的「なんでも金出す人」の数を見積もって、
最低の興業ラインを予測したりする。
これは、中身の出来を問わない大変失礼な予測だ。
ドラマの主演が何%視聴率を持ってるか、という考え方は、
モチーフがそれであれば何人文句を言わずにいるか、
という、大変失礼な予測だ。
萌え絵さえ出しとけばキモヲタは金出すだろ?
という偏見も、これだ。
実際、この層が多ければ、商売は動く。
原作ファン層と出演者ファン層が、
これぐらい動員されるから、
この原作つき映画の実写化はこれぐらい儲かる、
という論理で、今映画化は脚本もなしに決まっていることがある。
そういう失礼な予測をするやつは、早晩滅びてほしい。
だが世の中には、一定数いることは確かだ。
問題は、あなたがその程度の安パイの予測の範囲内で満足するか、
それ以上の、もっともっと沢山の、大衆という名の人々を相手に噛み合うか、
という、志の差である。
僕は後者でありたい。
2. ニッチでマイナーな所で確実に獲る
ゾンビとか、ミリタリーとか、プロレスとか、
もっとニッチなジャンルは、
確実に読めるし、それ以上化けない。
一般などどうでもいいからそこだけのコアファンを相手にする価値というのも、
世の中にはある。
1よりも、中身のことを気にする。
分かってねえ奴は、見向きもされないだろう。
3. 流行りに乗る
モチーフもテーマも、ガワも中身も、
薄くても濃くても、
何かしら流行りに乗れば、流行ってる匂いが出るから、
その流行の生きている間は価値がある。
それが終わったら、恐らく見向きもされないが。
模倣企画は、大抵これだ。
4. 個人の深いところに刺さる内容
モテナイ男に確実に刺さる内容とか、
猫を飼ってる人なら確実に刺さる内容とか、
働く女が共感する内容とか。
その経験がある人なら刺さる内容。
逆に言えば、経験のない人にはよくわからないもの。
狭いマーケティングで、内容に関して把握出来るもの。
深いところを描ける力があれば、
一定数の客を掴める。
しかし、逆に言うと客を自分で限定している。
僕は、これはメジャーな考え方ではなく、マイナーな考え方だと思っている。
5. 今の時代とシンクロする何かの内容
それが旧来のどこにもないもののとき、
あなたは鉱山のカナリアと同じ役目だ。
しかし、あなたの勘違いという場合もある。
周囲に嗅覚がないため、そのシンクロ性は理解されないこともある。
また、芋を洗う猿のように、
同時期に複数の人が思いつくことも、ある。
いずれにせよ、一番早く、しかも的確なタイミングで出せれば勝ちだ。
6. 今の時代とシンクロし、尚且つ後世に残すべき、時代を更新する中身
それはテーマだけでなく、
全体の構造や面白さや、
全てのことが完璧でなければならない。
僕はこれを理想としている。
流行り廃りの波に乗るのは重要だけれど、
それよりもこっちが大事だ。
CMではいつも345を狙っていたが、
映画や小説では、本来これを狙うべきだと思う。
そもそも風魔は、車田ファンと腐女子向けという、ニッチマーケティングで、
2のビジネス的な路線が引かれた。
僕は元少年愛読者として、
それ以上の人々を相手にするつもりでつくった。
結果は、誰もがは知らないが(それは2の枠でしか人目に触れないもののため)、
知る人ぞ知る傑作、
予算に目をつぶれば6になったと思う。
投資家は123あたりしか見ない。
プロデューサーは123(ビジネスマンとして)、
人によっては456(大衆の本音として)を見る。
3456あたりが監督や大衆の目線だと、
僕は思っている。
お金の出所と現場の意識の解離が、
今、面白い作品の供給が滞りつつある
(つまり名作が生まれにくい)理由だと僕は考えている。
だから自分一人で作ることが出来、自分一人で責任の取れる、
小説を書いてみた。
評価は皆さんに委ねたい。
あなたは、自分の作品が、どのような価値を与えるのか、
把握しているだろうか。
評論家は的確に把握してくれるとは限らない。
大衆は無意識では把握するが、全員が言葉に的確に出来ない。
プロデューサーや編集者が優秀なら123456全部を見れるかもだが、
全能の人が常にいる前提はおかしい。
あなたという作者が、俯瞰して見れるのが理想だ。
2015年09月11日
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