と、呪文にしてみた。
三幕、一幕、三幕、二幕、三幕という順、
という意味だ。
リライトをするとき、
まずメモを取らずに一気読みすることだ。
一気読みではじめて見える全体像というものがある。
書き手は一気読みすることが滅多にないが、
観客は、たった一度、一気見することしかない。
(気に入ってくれればリピートしてくれる)
第一書いてるときは、何度も意識が中断しているはずで、
一気書きはまずないだろう。
(別のことをやるし、寝るし)
だから、まず一気読みするべしだ。
メモを取ってはいけない。
メモを取ることに意識をとられ、一気読みに集中できない。
なんてひどいんだ、というメモを取りたいし、
直しのアイデアもバンバン湧いてくるが、
我慢して一気読みのスピードを落とさないこと。
この一気読みが正しく出来ないと、
リライトは上手くならないと断言しよう。
何もしない一気読みが終わったら、
腕組みして頭のなかで作品の全体像をリピートしてみる。
あそこはああすべきだ、という欠点の指摘や改善案を思い浮かべる。
まだメモは取らない。頭のなかだ。
そして、良かった所を思い出す。
台詞、場面、展開、テーマ、人物造形などなど。
さあメモを取ろう。
良かった所を箇条書きに。
悪かった所と改善案を箇条書きに。
覚えていることは全て。
頭のなかで一回整理されているため、
重要度の高い順に大抵メモが出てくるのが、
この方法の利点だ。
直しは、頭から直すのではない。
重要な直しからやるのである。
重要な直しをすることで、些細な直しが自動的に直ることは、よくある。
このために逐次メモは禁止なのだ。
逐次は、近視眼になり、大を見失う。
さて、大まかな描像がイメージ出来たら、
直しはどこから?
結論部からやるべし。
原稿を直接見て、ラストシーンがこうであるべきかを、
まずチェックする。
直すべきなら直す。
結論をまず確定させる。
大抵ここだけは直さなくていいことが多い。
あなたの渾身の結論だろうからだ。
勿論、結論を真逆にするべきだとか、
後日談全カットとか、もうひとつ後日談を足すとか、
全然違うラストにしても構わない。
それがより良い話になるならば、
それはそうした方がいい。
「より良い」かどうかの比較対照は、
あなたの頭のなかにある、一気読みの印象だ。
常にこれと比較するために、一気読みはノイズを入れず一気読みするのである。
ラストシーンの次はクライマックスだ。
直すべきを直せ。
三幕に手を入れたら、
解決が固定されたことになる。
従って、そのペアになる一幕を、直す。
恐らくここが最も時間がかかる。
冒頭部が、その結論に向かう冒頭になっているのか。
主人公の内的問題が、そのクライマックスや結論に、対応してるのか。
余計な要素が入ってたりすることは、最もよくある。
最初は使おうと思っていたことを、
最終的に使ってなかったり。
それは結論に対して無駄なら切る。
あるいはその要素が結論に対して必要なら、
より目立たせ、どこで使うかを再計画するべし。
事件のきっかけは、主人公にどのような影響を与えるのか。
リアクションは自然か。行動は何か。
それはリアルか。
一般的なリアルと、その主人公独特のリアルの差を、
自然に納得させられるか。
その結果何が起こるか。
誰が他の重要人物なのか。
そして、第一ターニングポイントは、
センタークエスチョン、すなわち結論とどういう関係になっているか。
恐らくこのあたりに、徹底的に筆を入れ直すことになる。
造形や順番が変わったり、
シーンが増設されたり統合されたりもあるかもだ。
今後使う伏線を一幕で仕込むのか二幕で仕込むのかも、
判断し直す必要があるかもだ。
そして、結論に対しての前提としての一幕に、なっていれば終了だ。
で、その前振りに対しての、三幕になっているか、
もう一度チェックだ。
一幕三幕のペアで直そう。
OKなら、
ようやく二幕だ。
一、三のペアとは違う観点からのリライトが必要である。
問題と解決の流れに対して、
別次元の面白さになればなるほど面白いからだ。
それらが面白い流れになるように、直していく。
一気読みのときのメモを見て、
たるいところや面白いところを再チェック、
一幕からの流れも考えた上で、
起伏やうねりを、より面白くしていく。
怒濤の展開になればOKである。
きちんと書けていれば、三幕に合流するだろう。
あらためて、この三幕で良いかをチェックだ。
313、23。
この順で直す。
終わったら文字を整え、
爆睡し、色々忘れて、また一気読み。
以下、出来たと思うまで繰り返し。
直しの基準は、一気読みが面白く、
狙った感情(感動、号泣、爆笑、感心などなど)に、
最終的に集約するまで。
そしてあなたが、見事な名作だ、と思うまでだ。
佳作である、秀作である、良くできている、普通にいい、
若手の勢いを見せられた、ベテランの渋味を見せられた、
人によっては感動する、人に見せられる出来ではない、
などの自己評価で終了しても、勿論構わない。
2015年09月11日
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