さっき昼飯食べた定食屋に漫画がいっぱい置いてあって、
そういえば「働きマン」のラスト、どうなったんだっけ、
と最終巻を読んでおどろいた。
窓辺系だ。
女子の描くメアリースーの典型のストーリーで、びっくらこいた。
窓辺系の基本。
女が都会で疲れたり傷ついたりして、
田舎へ帰る。
そこで誰かに認められ、あるいは過去の自分にいやされて、
再び都会へ戻って来るという筋書き。
なんで窓辺って名前なんだっけ。
多分、窓辺にもたれて物憂げにしている場面が異様に多いからだろう。
「働きマン」最終回が、まさにこんな感じのもので、びっくりした。
このまま東京で雑誌の編集をやっていていいのだろうか、
と30を手前にした主人公が、
彼氏とも別れてしまい、色々な事件があって疲れて、実家へ帰ると、
妹が婚約者を連れて同居していて、住むつもりだと。
一家の中心だった父親は追いやられていて、
でも主人公に最大のアドバイスを与えて、
元気になって都会へ戻る勇気を得る、というラストだった。
「(弱い)女は、誰かに認められることでアイデンティティーが確立する」
と僕は常日頃、女性蔑視気味に書く。
まさにこれがそんな感じだ。
自己承認欲求を満たすこと。
自分の行動の結果ではなく、
他人に無条件に満た「される」こと。
この受け身が、窓辺系の正体だと考える。メアリースー症候群の変形である。
都会の働く女にとって、
都会では自分を認めてくれる人がいなくて、
孤独で、
でも自分を認めてくれる人が(無条件で)いたら、
という「願望」があるのだろう。
他力本願である。
逆に、阿呆な女を落とすには、自己承認欲求を常に満たしてやれば良い、
ということになる。
甘えさせてやるから、そのぶんセックスさせろや、ということだ。
ヤリチンはこれが上手なのだろう。
僕は自己承認欲求なんて幼稚だと考えるから、つい叱責し、
セックスチャンスを逃しているのだろう。
僕は女性を対等な人間として考える。
彼女の父親になってその代わりセックスしたいわけではない。
さて、(弱い)女のこの疲れはどうやったら癒えるのかは分からない。
男なら、自分の力を取り戻し、それで他人を助けるとか、
何かしらの行動をとって結果を出して、自己承認を取り戻す、
という描き方になるだろうが。
(たとえば「てんぐ探偵」の最終集はそういう流れだ。
大きく言うとドラマ「風魔の小次郎」もそうだ。
どちらも、風林火山、炎、という象徴表現があるのが特徴だ。
そういえば「ねじまき侍」も「抜けない刀」があったね。
フロイト的に見れば、全部男根の象徴になるね。
となると、エディプスコンプレックスやエレクトラコンプレックス
を克服すれば、これは解決になるのかも知れない)
受動的で、誰かに幸せにしてもらう女のあり方は古い。
しかし、殆どの自覚のない女は、どこかで古い女のあり方に依存する。
21世紀は、女が女を捨てようとしても、女に戻ってしまうこととの闘いなのかも知れない。
映画は、行動する人間のものである。
受動的で行動せず、誰か他の人に幸せにしてもらうものではない。
誰か他の人を幸せにする人が、主人公なのだ。
窓辺系を書いている作者は、疲れて、傷ついているのだろうね。
さて、では「働きマン」のラストはどうあるべきだったのか。
実家に帰り、父親に励まされたとしても別にいい。
子供の頃の日記を見たり、旧友に忘れていた記憶を呼び覚まされたりして、
原点を思い出してもいい。
それは呼び水に過ぎない。
そのあと、
誰か困っている人を、
「今の自分の力+過去の思いの融合したもの(アウフヘーベン)」
で、助けられたとき、
力を取り戻した事が三人称的には示せたのだろうね。
その事件が、主人公がぼんやりとしか見えていない、
「新雑誌」のアイデアに関係すれば、
最終回らしい最終回になったと思うよ。
東京で新雑誌を立ち上げてもいいし、地方で新雑誌社をつくる、でもいいと思う。
別れた彼の転勤先、名古屋で新雑誌、というラストもあり得たろうね。
「女の人生のあり方」が、
「自力で生きていくこと」と「誰かに幸せにしてもらうこと」の間で揺れなければ、
現代の作品ではないと思う。
(メアリースーの変形に、「自分の息子に認められることで、自己承認欲求を満たす」という、
母子ものがある。これも僕は気持ち悪くて大嫌いだ。
息子が母に「おかあさんだいすき」って言うのは、小遣いが欲しい時の嘘だぜ?)
まあ、安野モヨコにそこまで求めるのは酷だったかも知れないが。
結構好きだった作品の最終回が、
こんな微妙だったとはなかなかのショックだ。
窓辺系については、
そこまで多くの事例に触れていないのでよく分かっていない所もあるけど、
「女子高生と海へ行く」テンプレと同様、
メアリースー症候群の具体の典型かもしれない。
2015年09月11日
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