2015年09月15日

テーマとモチーフの例

ネットで拾ったアメリカンジョークを例に。



ある時、父さんが家にロボットを連れてきた。
そのロボットは特別で、ウソをついた人の顔をひっぱたくって言う物騒な代物らしい。

そんなある日・・。僕は学校から帰宅するのがかなり遅くなってしまった。
すると父がこう尋ねてきた。
「どうしてこんなに遅くなったんだ?」
僕は答えた。
「今日は学校で補習授業があったんだよ」
すると驚いたことに、ロボットが急に飛び上がり、僕の顔をひっぱたいた。

父は言った。
「いいか、このロボットはウソを感知して、
ウソついた者の顔をひっぱたくのさ。さあ、正直に言いなさい」

そして父がもう一度聞いてきた。
「どうして遅くなったんだ?」
僕は本当のことを言うことにした。
「映画を見に行ってたんだ」
父はさらに聞いてきた。
「なんの映画なんだ?」
「アクション映画だよ」
これに反応して、ロボットがまた僕の顔をひっぱたいた。
「ごめんなさい・・父さん。実を言うと子供がみてはいけない映画を見てたんだ」
「何て低俗な映画を見てるんだ、恥を知れ!いいか、父さんがお前くらいの頃は、
そんな映画を見たり態度が悪かったことなんて無かったんだぞ」
するとロボットはきつい一発を父に食らわせた。

それを聞いていた母が、キッチンから顔を覗かせるとこう言った。
「さすが親子ね、あなたの子だけあるわ」
母も顔をひっぱたかれた。



この話のテーマはなにか。


「嫁は浮気して嘘をつくものだ」である。


それを、
「嘘をつくとひっぱたくロボット」という面白いモチーフを使って、
本題の前に息子と旦那でひねりの逆をつくっておき、
落ちで一気にひねったものである。
このストーリー構造、
ジョークでこのテーマを言おうとしていること、
全てがモチーフである。

テーマを言うためのものだ。


テーマは、モチーフのどこにも現れるべきでなく、
察するようにせよ、というのは、
このような関係のことである。

もしあなたが、
「嫁は浮気して嘘をつく」をテーマに何かショートを書いてください、
と言われたら、
誤って、「嫁が浮気して嘘をつく」話を書いてしまうのではないか?

だとすると、あなたはテーマとモチーフを間違えている。

嫁の浮気を書かずに、嫁の浮気を表現するのが、
お話であり、工夫というものだ。
嫁の浮気がテーマなのに、どうして嘘をつくとひっぱたくロボットが出てくるのか?
は、分かってない奴の問いだ。


テーマは暗示されるもの。
モチーフは明示されるもの。
したがって、テーマはモチーフの中にはない。
モチーフはテーマと異なる。
テーマと異なる、いかに面白いモチーフを考えるかが、
作者の腕の見せ所であり、楽しむところだ。
全く異なるモチーフなのに、
テーマが分かるようになる、
これはゲームなのである。

アメリカンジョークは、
よく人の醜さや女の身勝手さがテーマになり、
下ネタモチーフが多いよね。
posted by おおおかとしひこ at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック