ネットで拾ったアメリカンジョークを例に。
ある時、父さんが家にロボットを連れてきた。
そのロボットは特別で、ウソをついた人の顔をひっぱたくって言う物騒な代物らしい。
そんなある日・・。僕は学校から帰宅するのがかなり遅くなってしまった。
すると父がこう尋ねてきた。
「どうしてこんなに遅くなったんだ?」
僕は答えた。
「今日は学校で補習授業があったんだよ」
すると驚いたことに、ロボットが急に飛び上がり、僕の顔をひっぱたいた。
父は言った。
「いいか、このロボットはウソを感知して、
ウソついた者の顔をひっぱたくのさ。さあ、正直に言いなさい」
そして父がもう一度聞いてきた。
「どうして遅くなったんだ?」
僕は本当のことを言うことにした。
「映画を見に行ってたんだ」
父はさらに聞いてきた。
「なんの映画なんだ?」
「アクション映画だよ」
これに反応して、ロボットがまた僕の顔をひっぱたいた。
「ごめんなさい・・父さん。実を言うと子供がみてはいけない映画を見てたんだ」
「何て低俗な映画を見てるんだ、恥を知れ!いいか、父さんがお前くらいの頃は、
そんな映画を見たり態度が悪かったことなんて無かったんだぞ」
するとロボットはきつい一発を父に食らわせた。
それを聞いていた母が、キッチンから顔を覗かせるとこう言った。
「さすが親子ね、あなたの子だけあるわ」
母も顔をひっぱたかれた。
この話のテーマはなにか。
「嫁は浮気して嘘をつくものだ」である。
それを、
「嘘をつくとひっぱたくロボット」という面白いモチーフを使って、
本題の前に息子と旦那でひねりの逆をつくっておき、
落ちで一気にひねったものである。
このストーリー構造、
ジョークでこのテーマを言おうとしていること、
全てがモチーフである。
テーマを言うためのものだ。
テーマは、モチーフのどこにも現れるべきでなく、
察するようにせよ、というのは、
このような関係のことである。
もしあなたが、
「嫁は浮気して嘘をつく」をテーマに何かショートを書いてください、
と言われたら、
誤って、「嫁が浮気して嘘をつく」話を書いてしまうのではないか?
だとすると、あなたはテーマとモチーフを間違えている。
嫁の浮気を書かずに、嫁の浮気を表現するのが、
お話であり、工夫というものだ。
嫁の浮気がテーマなのに、どうして嘘をつくとひっぱたくロボットが出てくるのか?
は、分かってない奴の問いだ。
テーマは暗示されるもの。
モチーフは明示されるもの。
したがって、テーマはモチーフの中にはない。
モチーフはテーマと異なる。
テーマと異なる、いかに面白いモチーフを考えるかが、
作者の腕の見せ所であり、楽しむところだ。
全く異なるモチーフなのに、
テーマが分かるようになる、
これはゲームなのである。
アメリカンジョークは、
よく人の醜さや女の身勝手さがテーマになり、
下ネタモチーフが多いよね。
2015年09月15日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック