2015年09月16日

冒頭の勢い

では、最初の勢いや方向性はどうやってつくるのか。

安易に作ることはいくらでも可能だ。


会社に行こうとしたら、扉の前にうんこが。

ある日アイドルが空から降ってきた。

エレベーターが止まり、五人で閉じ込められた。

コーヒーがいつまで経っても来ない。

従来の理論に反する、新たな証拠が見つかった。

時空の裂け目から、過去の人がやってきた。

199X年、世界は核の炎に包まれ絶滅の危機に。しかし人類は死に絶えてはいなかった!


とりあえず何も考えず、適当に冒頭の勢いを書いてみた。
どれも最初の焦点をつくり、その後のブロックへ、
推進力があるようなものである。

しかし、適当に作った、というところがポイントで、
僕はこのあとどうなるか、まるで考えていない。


つまり、面白そうな冒頭部なんて、
誰にでも書けるし、無限に書ける。

ためしに、後先一切考えなくていいから、
100個、超面白そうな冒頭だけ考えてみたまえ。
面白いように出てくるはずだ。

推進力を発生させること自体は簡単だ。
問題は、それがブロック全体の冒頭部として、
機能するかどうかなのだ。

それには、ブロック全体が分かっていないと判断できない。

ここでパラドックスが生まれる。
冒頭部は全体がないと書けない。
全体は冒頭から書き始めないと出来ない。

現実的には、とにかく全体を力業で書いて、
あとでより相応しい冒頭部に書き換える、
ということがよくやられる。

何故なら最初に示したように、
推進力のある冒頭部を思いつくことは、簡単だからである。




初心者は、冒頭部を思いついたら、
映画を思いついた気になってしまう。
まあその勢いは分からなくもない。
しかしその推進力は必ずなくなり、
どうしていいか分からなくなって挫折する。
僕はこれを防止するため、
プロットを最後まで書け、と口酸っぱく言っている。

しかし今度はプロットを最後まで書けない、
という相似型の悩みが発生する。

それは、冒頭の勢いを、話を書いていると勘違いすることによる、
と僕は考えている。

あなたは冒頭の勢いも、途中の展開も、結論の見事さも、
どれも面白く書かなければならないのだ。

どうやったら書けるようになるかまでは、
このブログ全体にあるので、まとめて言えないので探ってください。

変化のことや、ストーリーラインの理解が、
鍵になるかも知れない。


さて、冒頭の勢いだけあって、
それで終わりなのをなんと言ったか。
出落ちだ。

出て終わることに過ぎないのだ。
最初に書いた、勢いはあるがあとに続かない冒頭部は、
全て出落ちなのだ。


無責任に、冒頭の勢いだけを100個書いてみよう。
それだけバリエーションが書ければ、
今後の執筆での、冒頭部ストックになるかも知れない。
それと違う嗅覚が執筆には必要だと言うことも、
それだけの冒頭部から何も書けないという事実を知ることで、
体で分かるかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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