では、最初の勢いや方向性はどうやってつくるのか。
安易に作ることはいくらでも可能だ。
会社に行こうとしたら、扉の前にうんこが。
ある日アイドルが空から降ってきた。
エレベーターが止まり、五人で閉じ込められた。
コーヒーがいつまで経っても来ない。
従来の理論に反する、新たな証拠が見つかった。
時空の裂け目から、過去の人がやってきた。
199X年、世界は核の炎に包まれ絶滅の危機に。しかし人類は死に絶えてはいなかった!
とりあえず何も考えず、適当に冒頭の勢いを書いてみた。
どれも最初の焦点をつくり、その後のブロックへ、
推進力があるようなものである。
しかし、適当に作った、というところがポイントで、
僕はこのあとどうなるか、まるで考えていない。
つまり、面白そうな冒頭部なんて、
誰にでも書けるし、無限に書ける。
ためしに、後先一切考えなくていいから、
100個、超面白そうな冒頭だけ考えてみたまえ。
面白いように出てくるはずだ。
推進力を発生させること自体は簡単だ。
問題は、それがブロック全体の冒頭部として、
機能するかどうかなのだ。
それには、ブロック全体が分かっていないと判断できない。
ここでパラドックスが生まれる。
冒頭部は全体がないと書けない。
全体は冒頭から書き始めないと出来ない。
現実的には、とにかく全体を力業で書いて、
あとでより相応しい冒頭部に書き換える、
ということがよくやられる。
何故なら最初に示したように、
推進力のある冒頭部を思いつくことは、簡単だからである。
初心者は、冒頭部を思いついたら、
映画を思いついた気になってしまう。
まあその勢いは分からなくもない。
しかしその推進力は必ずなくなり、
どうしていいか分からなくなって挫折する。
僕はこれを防止するため、
プロットを最後まで書け、と口酸っぱく言っている。
しかし今度はプロットを最後まで書けない、
という相似型の悩みが発生する。
それは、冒頭の勢いを、話を書いていると勘違いすることによる、
と僕は考えている。
あなたは冒頭の勢いも、途中の展開も、結論の見事さも、
どれも面白く書かなければならないのだ。
どうやったら書けるようになるかまでは、
このブログ全体にあるので、まとめて言えないので探ってください。
変化のことや、ストーリーラインの理解が、
鍵になるかも知れない。
さて、冒頭の勢いだけあって、
それで終わりなのをなんと言ったか。
出落ちだ。
出て終わることに過ぎないのだ。
最初に書いた、勢いはあるがあとに続かない冒頭部は、
全て出落ちなのだ。
無責任に、冒頭の勢いだけを100個書いてみよう。
それだけバリエーションが書ければ、
今後の執筆での、冒頭部ストックになるかも知れない。
それと違う嗅覚が執筆には必要だと言うことも、
それだけの冒頭部から何も書けないという事実を知ることで、
体で分かるかも知れない。
2015年09月16日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック