2015年09月19日

モジュール脚本論1: モジュールの単位

これまでブロック単位で議論してきたことをまとめると、
なかなかに実践的な話の構造を議論できることが分かってきた。

話の構造はどういうものか?についての理論は、
尺の構成と幕間について定めた三幕構成、
等分の八個の役割について定めたハコガキ、
三幕構成のコメディ特化したブレイクシュナイダービートシート(BS2)、
神話の構成にヒントを得て象徴で行う13ポイント理論、
大岡式トライアングルメソッドなど、
様々なバリエーションがあるが、
巨視的な構造から脚本を俯瞰するものばかりだ。

微視的構造からボトムアップ的に考えるものが、
大岡式モジュール論だ。


まず、
最初は、助走区間がある。
風景とかイメージとか、情報量の少ないところからはじめて、
話のムードづくりをする。
そのうち誰かが出てきて何かをしたりされたりして、
お話の推進力が生まれる。

助走区間と推進力が生まれる区間は、
はっきり区別がつく場合もあるし、
混ざっている場合もある。
助走区間と推進力誕生部をあわせて、冒頭部という。

お話の推進力とは、焦点のことだ。
観客からは「○○への興味」「○○が今後どうなるかという関心」、
中の登場人物からは「○○しなければならなくなり、行動の必要」、
すなわち目的の発生となる。
焦点は、観客の興味関心と、中の人(たち)の目的が揃ったとき発生する。
目的は崇高なものから下品なものから、
大きなものからごく小さなものまで様々だ。
「巨大な銀河帝国の宇宙船がやってくる」(スターウォーズ)から、
「小便が漏れそうでトイレを探す」(バッファロー66)、
「家賃を払わないと追い出される」(サンセット大通り)まで、
色々ある。

「この先これがどうなるのか」についての疑問を提出し、
それについての焦点を発生させると、
それをひとつの話題と呼ぶことにしよう。

お話とは、最初に発生した焦点が、
最終的にはどうなるか、という構造をしている。

さて、推進力が発生したものは、
大抵質的に次に転換する。

最初の焦点が解決したら、話は終わりだからだ。
(15秒CMなどでは、
困った!→この商品で解決!という、
推進力発生→解決して終了の、
最も短い話の構造をもつ)

1回の解決で終わらない場合、
あることは終わるのだがあることは未解決にして、
その話題を残しておく。
すると、観客の関心と物語の焦点は、
未解決の部分へとうつる。

これをターニングポイントという。


ここまでを1モジュールとよぶことにする。

これを単位として考えるのが、
モジュール論だ。

1モジュールは、冒頭部と結部からなる。
そして、二通りありえる。
1. 冒頭部の話題が完全解決して終わる場合。
2. 冒頭部の話題が完全解決せずターニングポイントで終わる場合。

お話とは、
2のモジュールが0回以上繰り返されて、
1のモジュールで終わる構造になっている。


ひとつのモジュールは、
どれくらいの大きさだろう。

イメージしやすいのは、1シーンだ。
シーンとは、ひとつの場所のことで、
映画のひとつのロケ地、セットのことだ。
同じところで話が進んで、
次の場所になったら、シーンが変わった、という。
A→B→Aと二ヶ所で話が進んでも、これは3シーンと数える。
話を混乱させないため、2シチュエーション3シーンと呼ぶのが習慣。
(今の二時間映画は、80シーン前後ある。
1シーン平均1分半だが、1分以下のシーンもあれば、
20分のシーンもある。長いシーンの目安は3、4分以上かな)

長いシーンは複数のモジュールからなる場合もある。
あるいは、ひとつの台詞の中にもモジュールを見ることも出来るかも知れない。
より巨視的には、シークエンス全体でひとつのモジュールに見えるかも知れないし、
三幕構成論は、全体を3つ(または4つ)のモジュールで、
捉える理論であるし、
13ポイント理論は13のモジュールで、
BS2も同じぐらいのモジュールで捉える。


モジュール論では、モジュールの単位を決めない。
あなたが最小だと思う大きさがモジュールの単位の大きさでいい。
マトリョーシカのように、入れ子構造でモジュールを考えてもいい。

三幕構成の一幕が最小単位だと思い、
それで毎度書けるなら問題ない。
しかし、多分、1シーンぐらいが、
執筆時のモジュール単位になるのではないかと僕は思う。

(時に短いシーンの集合シークエンスを1モジュールと考えたり、
長いシーンを複数のモジュールの集合と考える。
例えば「いけちゃんとぼく」。
第二ターニングポイント、隣町から悪ガキたちが野原にやって来て、
野球で勝負をつけようというまでは、
長いワンシーンで、複数のモジュールが存在する。
あるいはその前、朝自転車で冒険して浮気女の家にたどり着く自転車の旅は、
小さなシーンをひとまとめにしたシークエンス、1モジュールだ)

二時間映画では、大体80のモジュールを考えればいいということになる。


さて、モジュールは、直列繋ぎか並列繋ぎで、
話が進んでいく。

次回に続く。
posted by おおおかとしひこ at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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