2015年09月19日

モジュール脚本論2: 直列繋ぎと並列繋ぎ

モジュールの記号をこう決める。

…―■
または、
…―〇
とする。


… 助走部
― 推進力発生部、このふたつをまとめて冒頭部
■ 完全解決
〇 ターニングポイント

助走部は0にしていきなり本題から入ることもあるし、
ゆっくり長々とやる場合もある。
(極端には、「運命じゃない人」は、
前半一時間が助走部の伏線箇所だ)

以下、冒頭部をまとめて―表記する。

最も短い話は、
―■
と書ける。
たとえば15秒CMや数行や小話だ。
(15秒CMでもきちんとターニングポイントがあったりする、
複雑な構造の話もありうる)

モジュールの直列繋ぎ:

ターニングポイントを経て、
大きくは同じ話題が続くとき、
モジュールは直列繋ぎする、ということにする。

―〇―■
が最も短い形だ。
―〇―〇 … ―■
という長い直列繋ぎもあるかも知れない。

大抵はターニングポイントは話題や興味を変える。
話題Aから話題Bにターニングポイントでうつるとき、

話題A:―〇
話題B:  ―〇 …

のように、ライン移動したかのような表記をすることにしよう。
このとき、Aのターニングポイントでは、
まだ話題Aは解決しきっておらず、
話を残したまま(―■にならないまま)、
話題Bに移らざるを得ない話になったことになる。

焦点や興味は今Bだが、
いずれAの解決もしなければならないという記憶は残る。

これが伏線である。


話題A:―〇  ―〇
話題B:  ―〇

のように、話題がうつってまた戻ってくることもあるだろう。
これは、話がAとBの二つに分岐したことになる。
どちらも決着がつかないと話が終わらない。

話題A:―〇  ―■
話題B:  ―〇  ―■

ならば、話はAからはじまって、
ターニングポイントで話題Bにうつり、
またターニングポイントでAに話題がうつって解決、
その結果Bが解決した、ということになる。

また、

話題A:―〇  ―〇  ―〇
話題B:  ―〇  ―〇  ―〇

のように、二つの話題がラリーする場合を、
特別にカットバックという。
ひとつの事件の表裏一体の話題や、
敵と味方のような対照的なカットバックもあるし、
対照を含まない二つの場合もある。

カットバックは、必ずしも結部を含む必要がない。

話題A:― ―
話題B: ― ―

のように、ターニングポイントなしに、
状況だけをカットバックすることも多い。
複数の箇所で同時進行するもの、
群像劇ものによくみられる。

話題は2に限定しない。3以上もよい。
(複雑すぎると追いきれなくなる。
2.5の法則だ)
クリストファーノーランは、3つのカットバックを使うことが多い。

たとえば、
話題A:―  ―
話題B: ―  ―
話題C:  ―  ―
のように書ける。
勿論毎度A→B→Cと規則的にカットバックする必要はなく、
話題A:― ―     ―
話題B: ―  ― ―
話題C:   ― ― ―
などのように組んでもいい。

間にターニングポイントが入れば、
焦点のシチュエーションが変わって話が進んだことになるし、
入らなければ同じ状況が続くというカットバックになる。

だんだん音ゲーみたいになってきたね。
楽譜だからね。
ここで僕が五線譜の知識があればもっと豊かな記法を発明したのだが、
音楽理論はよく分からないので、なるべくシンプルにする。


話題A:―〇 ―〇    ―■
話題B:  ―   ―〇   ―
話題C:     ―  ―   ―■

さて、このストーリーには欠陥がある。
まず話題Bが完結していない。
最初に振られた話題Aを完結させたとしても、
話題Bが完結していないと気持ち悪い。
(続編への布石というのはよくあるパターンだが、
未解決はやはり気持ち悪い。
きちんと解決させて気持ちよく終わり、
また続編を考える、というほうが男らしい。
アンフェアのモヤモヤは、いつも男らしくない)

そして、話題Cが完結しているものの、
ターニングポイントがなく、
話題Cは、展開に乏しいフラットな話だということになる。

勿論、メイン話題ABに比べて、
わざと弱い話題を付加している狙いならOKだが、
この話の主題がCならば、
これは欠陥ストーリーである。
主題がもっとも濃く、副題は弱くが原則だろう。


さて、直列繋ぎは、
いっぺんにひとつのことしか起こっていない、
という時の書き方だ。

だからどの時間軸上を見ても、
同時にひとつの話題しか存在していない。

これが古典的なストーリーの繋ぎ方だ。
カットバックは、同時に起こる二つの陣営を同時中継している錯覚に陥るが、
厳密には逐次切り替えである。


現実には、複数のことが同時に起こる。
直列繋ぎを拡張して、
時間軸上に複数の話題が同時進行していい、
というのを並列繋ぎということにする。

たとえば、浮気カップルが妻と出くわすような場面では、
浮気の話題と夫婦の話題が同時進行せざるを得ない。

夫婦の話題:       ―(離婚の危機)
浮気の話題:―(デート)〇(鉢合わせ)―(妻を追い落とす)

のように書けるだろう。
修羅場とは、複数の話題が同時進行している場所だと言えるだろう。
ひとつの行動が複数の話題に影響を及ぼす。
たとえばここで男が走って逃げたら、
妻にも浮気相手にも、影響を及ぼすややこしい事態になるだろう。

このように、並列繋ぎの場合は、
呉越同舟の場面が多くなる。

エレベーターに閉じ込められた5人とか、
サッカーのフィールドとか、
戦争などのややこしい場面では、
いろいろなことが同時進行する。

しかし、厳密には並列繋ぎである部分は少なく、
それぞれのことを順番に描いて切り替える、
直列繋ぎに分割されてゆくはずである。
(そうでないと、作者も観客も、
頭のなかでさばききれないからである。
並列繋ぎの楽しさは、さばききれないぐらいのややこしさの面白さである)



直列繋ぎでも並列繋ぎでも、
分岐や統合が起こりうる。

話題Aの話でターニングポイントがあって、
話題AもBもやらなければならなくなる、などだ。

あるいはひとつのターニングポイントで、
話題ABを統合した新しい話題Cになることもある。

それぞれ、
話題A:―〇
話題B: 分―〇
とか、
話題A:―〇
話題B:  ―〇
話題C:    (AB統合)―
などのように分かりやすくメモするといい。

話題ととりあえず書いたけど、
これはストーリーラインの最小単位のことである。

ストーリーラインは、登場人物単位で分類されることが多いが、
一人の中に複数のストーリーラインがあったり
(たとえば主人公の内的問題と外的問題)、
二人の間で一本のストーリーラインがあったり
(たとえば夫婦が離婚するかどうか。
実際にはそれぞれの気持ちのストーリーラインもあるから、
計三つ話題があるのだが)
するので、
あえてストーリーラインという言葉を使わなかった。

この話題が決着がつくかどうか、
について、タイムラインで表を作るのが、
このモジュール論でのモジュール構造だ。


次回は、モジュール構造から、
リライトを考える話。
posted by おおおかとしひこ at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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