決め台詞というものがある。
この一言で惚れてまうやろ、となったり、
悪を倒したあとにびしりと決める文句だったり、
大爆笑のコントのあとの、最後の落ちだったり。
それは、その一言を書けば万事うまくいくのか?
その一言がすごい名文句ならいいのか?
そんな名文句をどう書くのか?
そう思ってるのなら、脚本のことを何もわかっちゃいない。
名台詞は、それまでの流れのほうがはるかに大事だ。
「惚れてまうやろー」だって、
モテナイ男が、とあるシチュエーションで、美人に言われる、
というそれまでがあってはじめて成立する。
あるいは美人ヒロインが主人公に、たった一言で惚れるわけがない。
それまでの二人で関係してきたあれこれがあるからこそ、
「強い善人だってこと」という一撃が功を奏すのだ。(ドラマ風魔10話)
俺が、通りすがりの美人に、いきなり言ってもだめだ。
イケメンならいけるかも知れないが、
この人頭おかしいと思われるのが落ちである。
どんなかっこいい名台詞でも、それまでの流れがあるからこそだ。
「ここで、こう言われたい」という文脈をつくりあげたうえで、
その一言をずばりと言えばよろしい。
なお、それは、短いほどいい。
なぜなら、人はそんなに長い台詞は覚えられないからだ。
歴史上の名台詞は「君の瞳に乾杯」(カサブランカ)
ぐらいの短さであると思ったほうがいい。
さんまの恋の空騒ぎの冒頭に出てくるような名文句は、
書籍からの写しであり、決して耳で聞いて覚えた言葉ではないことに注意しよう。
つまり長すぎる。
名台詞は、一息でしゃべれる長さで。
それまでの流れ=「つくり」が9割。
2015年09月23日
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