2015年09月27日

二幕の終わり

二幕が終わり、三幕へ移行するときとは、
どういうときだろうか。

第二ターニングポイントがその時だ、
というのは誰もが知っているが、
そろそろかな、という基準は何だろう。


二幕=サブプロットまつり、という立場に立てば、
サブプロットが尽き、
話がまとまってきたとき、
と考えることができる。


ざっくり言うとこういうことだ。

一本だけのストーリーラインは、30分も持たない。
だから、複数のストーリーラインを走らせて、
複雑にすることで、
長い物語は成り立つ。

一幕では、メインストーリーラインからはじめる。
二幕のサブストーリーラインの端緒を入れ込んではいくが、
メインはメインストーリーラインだ。
しかし、メインストーリーラインだけでは30分ももたないから、
二幕では、サブストーリーラインも混ぜこんで、
話を複雑に、豊かに、あちらこちらに飛ばしていくのである。
そのサブストーリーラインも尽きると、
メインストーリーラインの決着が、
メインディッシュとして、
残ってある感じだ。


ジャンプ正統系譜の漫画は、
この構造によって、引き伸ばす。

連載開始時、主人公まわり
→○○編突入、新キャラの話
→○○編突入、新キャラの話
→以下繰り返して引き伸ばす
→味方が揃ったら、敵キャラに四天王や八将軍を登場させ、
→敵キャラを新キャラとして、引き伸ばす
→その敵が全滅したら、新たな敵が出てきて○○編突入
→味方や敵がまた増えて…
→以下繰り返し

→ラストに、主人公まわりでラスボス戦
→さらに引き伸ばすなら、
ラスボス後に更に強大な敵が現れて、
(それは主人公と関係しないとダメだ)
同じ構造で二周目に入る


この構造の弱いところは、
主人公がついつい後退してしまう所だ。
車田漫画が、タイマン5対5というチーム制を発明した。
元々は剣道や柔道の団体戦なのだろうけど。
このシステムによって、5番目のトリは必ず主人公が登場するため、
主人公の影は保てる方式だ。
(しかし何故主人公がトリなのか、何故主人公が最強なのかについて、
弱い理由しかないところが、この方式の弱点である)


二幕=サブプロットまつりで気を付けなければならないことは、
「主人公がどんな体験や決断をするか」をメインにすることだ。
サブプロットと言っても、
主人公は何もしないのでは、ジェロニモと同じだ。
あくまで主人公とサブキャラが、何かをする、
という形式にしないと、主人公がジェロニモ化してしまう。
(糞実写進撃で、エレンは二幕でどんな行動や決断をした?
巨人化するまで、ただついていっただけだぜ?
ここがメアリースーなのさ)

主人公はリーダーである必要はないが、
リーダーシップはとらなくてはならない。

5対5のシステムの元祖リンかけでは、
リーダーシップをとっていたのは、石松や剣崎や姉ちゃんだった。
竜児は大人しい子で、
これは兄弟で言えば末っ子である。
兄弟全体を描くとき、末っ子は主人公にならない。
長男や次男が主人公になるべきである。

末っ子が主人公になる話だとしたら、
奇跡的に末っ子が家族のリーダーシップを取らなければならなくなった、
特別な事態についての時だけだ。

「その集団を動かす、中心的人物」が、
主人公でなければならない。

末っ子が主人公になるのは、兄弟を動かす中心的人物になるときか、
兄弟と関係なく、別の集団を動かす中心的人物になる時だけである。


さて、二幕はサブキャラまつりであるから、
兄弟の話にたとえるなら、
長男に対しての、次男や三男や次女や三女や末っ子が、
活躍したりコンフリクトしたりするということだ。
それに長男は茅の外の時もあれば、
重大な決断や経験をすることもある、ということだ。

(兄弟のたとえは、集団の決断力や責任やリーダーシップの役割のたとえに過ぎない。
末っ子が兄弟を引っ張る風魔の小次郎というドラマもある)


そして二幕の終わりとは、
それらサブプロットも全て、結論に満ちてきたときだ。
まだまだ続きそうなサブプロットがあるならば、
それを片付けてしまい、
全てのサブプロットが、
あと一歩で終わりそうになるように、足並みを揃える。

あとは、メインプロットの決着を残すのみであり、
それがハッピーエンドになれば、
全サブプロットが連鎖的にハッピーエンドに終われる、
というように。
つまりメインプロットのハッピーエンドにより、
全員が連鎖的に大団円となるわけだ。


二幕の終わりは、そのようなものが理想だと思う。
ストーリー展開の末、
「あとたったひとつの壁を乗り越えれば、
主人公たちは最初からの問題を解決出来る、
という壁がわかった。
しかしそれは最大の壁であった」
という第二ターニングポイントを迎えれば、
話はそれを焦点とする、
クライマックス第三幕へと突入できる。
(そしてそれは大抵ラスボスとの直接対決である)
posted by おおおかとしひこ at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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