2015年09月29日

あなたの映画脚本には、何が足りないのかチェックリスト3

追加。


それぞれの登場人物は、登場する前に何をしていたか?
その人の直前から得られる、変化への動機は何か?

ある人物のある人物への見方は、終始一定か?
それとも変化するか?
変化するとしたら、その契機は何か?
また何度も変化するのであれば、そのリストをつくること。
(好きになったり幻滅するラブストーリーでは特に複雑だが、
主人公への評価が変わることは、変化の見せ方の基本である)

その人物の目的は、今生まれたのか?
昔からあったのか?
昔からあったものが、今の状況変化を見て、アジャストされ直したのか?
(大抵、最後のやつだ)
目的自体も変化するなら、その契機とリストをつくること。
主人公は勿論、登場人物全てについてだ。

登場人物の、感情が理性を上回る所はどこか?
理性的に判断して行動する所はどこか?
惰性(習慣や無意識)で行動する所はどこか?
赤青黄で線を引いてもいい。
理想は、黄0青が殆ど、ターニングポイント近辺が赤になるはずだ。
また、赤の部分は、理性に反する暴走か?
それとも理性では不可能だと諦めたことを覆す逆転か?
それとも別の何かか?


何と何が対になっているか?

テーマと対のものは何か?
作中にあるのか、それとも言うまでもないことか?

観客は、極端な何種類の感情を味わうか?
多いほど感情に振り回される。
少ないほど、はーんとしか思われない。

調べものしたところは、合ってるか?
別資料に当たって再確認しよう。
別のところでは別の説だったりすることも、よくあるぞ。
ひとつの資料だけを頼りにすると、そういう客観性が綻びる。
セカンドオピニオンみたいなことで、
多角的に調べておこう。
自分のやりたいことが出来るには、どういう条件が必要かを、
逆算して調べておく。それが専門的にはレア過ぎるなら、
考え直さなければならないだろう。

ある設定とある設定は、矛盾するか?
結構よくあるぞ。
最初こうだと言ってた筈なのに、あとで苦しい説明になる、
というのはよくある。だったら初出部から直すこと。

全く知らない人が、へえこれってそうなんだ、と発見することは何か?
あるいは、これまでの常識が全くひっくり返されてもOKだ。
(特殊職業ものが人気なのは、これだ。
それ以外の架空もの、例えばマトリックスには、
「我々が心霊現象だと思っていることは、マトリックスのバグに過ぎないのだ」
という、マトリックス設定を生かした新しい発見があった。
こういうのが面白かったのに!)

何が新しいのか?
それは具体的にどこか?
点でもいいし、線でもいい。

主人公と真逆の考え方(シャドウ)は何か?
それを体現する人物は誰か?
シャドウは具体的人物に限らず、
主人公の別の側面や、モノに現れてもよい。

あるブロックとあるブロックの順番を交換できないか?
できないのは何故か?
リズムとか感覚で、などの、感覚的言葉でなく、
理屈があるといい。そうでないと、好みでしかない。
所詮好みで話が展開するものは、ふわっとした話にしかならない。


シーンの終わりに何が起こっているか?
列挙せよ。
そのタイムを並べると、リズムシートが出来上がるのだった。
そのリズムで本当によいか?
理想のリズムは何か?
(リライトのときに特に効果を発揮すると思う)

そもそもどう我々は主人公に感情移入するのか?
最初に行く末に興味を持つところはどこか?
本当の主人公の気持ちがわかるところはどこか?
どこで主人公を好きになるか?
主人公はもう一人の俺だ、と観客が思うのはどこか?

脇役でなく主人公のほうにより感情移入するのは何故か?
性格や立場の好みであってはならない。
具体的なストーリーで明示せよ。

全体の緩急に注意してみよう。
どこで緊張するのか?
どこで緩むのか?


以下、三幕構成で書いている場合:

センタークエスチョンは何か?
この問題の解決の具体的ゴールイメージは何か?

第一ターニングポイントはどこか?
シーン終わりの尺は、30分から25分あたりか?

第二ターニングポイントはどこか?
シーン終わりの尺は、85分から90分あたりか?

第一ターニングポイント、第二ターニングポイントでは、
センタークエスチョンが意識されているか?
具体的な焦点が絞られ、それが最終目的(ゴールイメージ)であるように、
方向づけられているか?

第一ターニングポイントで、主人公は言い出しっぺになっているか?
主人公がそうする最大の理由は何か?
公的な理由か?私的な理由か?
いくつかあるなら列挙せよ。

第二ターニングポイントで、あとひとつクリアすれば、
解決だと思わせるそのひとつは具体的に何か?
それは第二ターニングポイントで示されているか?




まだまだあるかも知れないが、
これらすべてに明快に答えられないなら、
そこがあなたの脚本の弱点になるだろう。
○○が物足りないね、という。
少なくともこれらのこと全てが揃っていないと、
まともな映画脚本とは言えないと思うよ。

一発目で全部揃うのはベテランだけだ。
初心者は第一稿を書き終えたら、
これらのチェックリストを利用して、
次のリライトはどこを直すべきかに利用されたい。
(このチェックリストは大分ハイレベルかも知れない。
プロのダメ脚本は半分もチェック出来ないかも知れない。
しかし名作はことごとく明確に答えられる。
名作とダメ作品をこのチェックリストで比較してみるのも、
勉強になるかも知れない)
posted by おおおかとしひこ at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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