2015年10月11日

構成の勉強

前記事の分析の仕方はわりとポピュラーかも知れないと思っていたが、
ひょっとすると僕独自かも、と思ったのでまとめておく。


まず、名作と思われる作品を沢山ピックアップする。
それらを、
テンポもよくて構成的に良かったと直感されるものと、
ちょっとだれた所や分かりにくい所もあったものの、
2グループにわけておく。

それぞれについて、次のものを調べる。

全尺の1/4の分数を算出する。
三幕構成で書かれていれば、
全体が1:2:1になるはずなので、
その構成ポイントを炙り出すためだ。

全体の1/4あたりに、第一ターニングポイントがあるはずだ。
全体の3/4あたりに、第二ターニングポイントがあるはずだ。
全体の2/4あたりに、ミッドポイントがあるはずだ。
(ミッドポイントは比較的新しい概念で、ない作品もある。
また、ミッドポイントは丁度半分より少しあとにあることが多い。
前半より後半テンポアップする作品は大抵そうだ)

特定できても出来なくとも、次に進む。


この話のセンタークエスチョンは何か?を書き出す。
それが解決すればこの話はおしまい、
という問いだ。
「ロッキーは試合に勝ち誇りを取り戻せるのか?」がロッキーのセンタークエスチョンだ。
「地球は救えるのか?」「この恋は叶うのか?」
などはよくあるセンタークエスチョンだ。

その問いに「イエス!イエスイエスイエス!」
と答えて終わるのがハッピーエンドであり、
「ノーでした」がバッドエンドであり、
「微妙ですが」がビターエンドと定義出来る。

主人公が生きようが死のうが、
幸福になろうがなかろうが、
ハッピーエンドとは関係がない。
(まあ大抵主人公は生き残り、幸福に終わるのだけど)
センタークエスチョンへの答え方で、ハッピーエンドかどうかは決まる。

(たとえば「バタフライエフェクト」は、
彼女を救えるのか?というセンタークエスチョンにはイエスと答えられるハッピーエンドだが、
彼女を思う主人公としてはバッドエンドという、
二律背反する、極めて面白いエンディングの名作である)



さて、本題。

第一ターニングポイント、第二ターニングポイントの、
ふたつの構成上重要なポイントでは、
このセンタークエスチョンを問うのだ。
明示的に「俺たちは生き残るのか?」なんて台詞で言うこともあるし、
ゴールイメージを提出することもあるし、
勝利条件が明確になることもある。

暗示的に示されることも多い。
「刑事ジョンブック/目撃者」の第一第二ターニングポイントは、
どちらも暗示的だ。
センタークエスチョンは、
「秘密を知って殺されそうになっている刑事が、
見事犯人を逮捕出来るのか?」だ。

第一ターニングポイントは、
怪我をした刑事が村に迷惑をかけられないと出て行き、
途中で車をカーブさせられず鳥小屋にぶつかる場面だ。
怪我を治す必要性と、この秘密の集落で、
犯人に見つかることなく潜伏しなければならないことを暗示し、
この困難なミッションを越え、犯人を逮捕出来るのか?
というセンタークエスチョンを暗示する。

第二ターニングポイントは、
村に来た犯人の一味を、村人を守るために殴ってトラブルになり、
犯人に居場所を知られる場面である。
このことで、犯人が探していた刑事の居所がばれてしまい、
直接対決せざるを得なくなるのだ。
このときも、犯人を逮捕出来るのか?というセンタークエスチョンは、
暗示されている。




さて。明示だろうが暗示だろうが、
センタークエスチョンを示すのが、
第一ターニングポイント、第二ターニングポイントの役割のひとつだ。
僕は、全く同じものでなくて良いと考えている。
話が進んだから、
ゴールイメージもより明確になると考えている。
「刑事ジョンブック/目撃者」でも、
第一ターニングポイントと第二ターニングポイントでは、
センタークエスチョンの質が異なる。
前者では、遠い未来での逮捕、
後者では、直接対決(逮捕よりも命をかけた銃撃戦)、
にニュアンスが変わっている。



ようやく本題。

最初にピックアップした、1/4、3/4のポイントが、
第一ターニングポイント、第二ターニングポイントじゃないことも、
まれによくある。
従って、真の、第一第二ターニングポイントを、
特定しておこう。
それには、センタークエスチョンから逆算していくと良いだろう。


構成が良く出来ている、という作品は、
第一ターニングポイントが1/4、
第二ターニングポイントが3/4に、
おおむね来ているはずだ。

最初に分けた、テンポのよい名作群と、悪い名作群で、
比較研究してみると良いだろう。


西洋の戯曲や文学も、大抵三幕構成になっているらしいので、
そういうテンポ感の作品も、映画以外に見いだせるかも知れない。
(日本の古典はそうではない。起承転結か序破急のはずだ。
また、尺に関しては実際のところそこまで守っているかは怪しい。
ただ、山田洋次作品などには明解な三幕構成があるらしい)


ミッドポイントについては、ブレイクシュナイダーの理論が、
今のところ僕にはしっくりきている。


やっと核心。

正しい構成の作品は、
第一第二ターニングポイント、ミッドポイントにおいて、
センタークエスチョンに触れている。
そして、その展開こそが、
テーマを暗示するようになっている、
はずである。


名作はことごとくそうなっているはずだ。
逆に、そのポイントを探すことだ。

そのポイントが1/4ごとに現れるのがテンポ感のある作品で、
そこからずれていると、テンポ感の悪い作品だということだ。



構成が名作かどうかの基準は、
主骨格をこう考えることで決まると思う。


構成がなんなのかを分ることは難しい。
初心者は、どんでん返しや伏線や、
ループ構造や同時進行するサブプロットなど、
構造的なことを構成だと勘違いしやすい。
オーソドックスなスタイルに比べて、見た目に目立つからである。

ところが、オーソドックススタイルの三幕構成にこそ、
ほんとうの構成、時間の尺に対してのテーマの展開の仕方、
が隠されているのだ。

王道の勉強には、一番時間がかかる。
じっくりと構成の一番大事なところをマスターしてほしい。
posted by おおおかとしひこ at 19:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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