2015年10月13日

実写化は二次創作か

二次創作に関する前記事の続き。

多くの原作つきの実写映画化は、
果たして二次創作か?

浅く考えるとだ是が、
深く考えると否だ、という話。


原作と尺が違うから、
どうにか縮めるという行為は、
単に切り貼り編集するだけでなく、
原作を補完する新場面を創作しなければならないことを意味する。

そのようなものは、
いわば二次創作であることが求められる。
原作にはないが、原作の魂を引き継いだ場面だ。

たとえばドラマ風魔の第一話、
小次郎と蘭子のドツキ漫才(総長室、更衣室、石つぶて、シャワー室外)は、
原作にないのにまるで原作にあったかのようだ。
これは優れた二次創作である。
(あんまり誉めてくれる人いないけど、
恐らく車田系二次創作の中でもかなりレベル高いと思うんだよなあ)


原作の名場面の再現やコスプレ具合、
実写になったときの不自然さの除去など、
これも表現世界を変えた、二次創作といってよいだろう。


なんだ、
じゃあ原作の二次創作を上手いこと二時間におさめればいいんじゃん。

そう浅はかに考えるから、
原作の実写化は、毎度毎度大失敗するのである。

糞進撃と糞ガッチャマンは俺は多分一生許さない下手さだし、
爆死しまくる糞実写化作品の殆どは、
二次創作にも達していない。
(原作を正しく理解もしていない)



さて。この浅はかな考えに何が足りないのか。

「映画を作っている」という感覚だ。
映画脚本をまず最初に作っている、という感覚だ。


ストーリーとは変化である。

変化前と、変化する瞬間と、変化後がある。
変化する瞬間は大抵クライマックスに来る。
変化する意味が、テーマだ。

この形式にしない限り、映画脚本ではないのだ。

原作の切り貼りまたはオリジナル場面で補完する、
二次創作という「手法」で、
この形式を、つくらなければならないのである。

ゼロからこの形式を作るほうが楽だ。
切り貼りや二次創作の手法だけで、
この形式にたどり着くほうが困難だ。
何故なら原作は、この形式に書かれていないからである。

違う形式のものを、映画脚本の形式に、作り直さなければならないのだ。


数少ない実写化成功作品のひとつと自負する、
ドラマ風魔では、
その脚本の形式に、きちんとなっていた。
変化前の山猿小次郎と、
変化後の、小次郎であるまま忍の生き方を受け入れた小次郎と、
変化の瞬間、武蔵への風林火山での勝利が、
きちんと描かれていた。
それが、テーマ「人でもあり忍びでもある、新しい生き方」を、
きちんと意味していた。

勿論、原作はそうなっていない。
連載形式で、かつ、漫画だからだ。
それを大胆に解釈し直し、
この作品のテーマとは何かをつくり、
変化の前後で示したのである。


多くの実写化失敗作は、
結局ここが出来ていない。

原作のテーマを読み違えているか、
原作のテーマは表せているが、
映画形式でカタルシスを込めて表していない
(合ってはいるが、モニョる感じ)。
あるいは、原作と違う結論とカタルシスを目指して、
全然別物になっている。
(殆どが上手く行っていない。原作と共通部分を前半戦で消化するから、
カタルシスへの準備積み上げが不足するのだ)


僕の実写化への考え方は、
原作で使えるものを全部使いながら、
映画的脚本に組み直すことだ。
(何度かいけちゃんとぼくの失敗に触れているが、
予算削減攻撃に対して、方針を見あやまったことが敗因だ。
後半戦はその影響を受けづらかったため、
あの映画は二幕から面白くなって行く)

結局、その映画脚本的な形式に、
上手く変換できるものが、映画化しやすい原作、
ということになるのだろう。
(映像化不可能なんてのが昔あったけど、
CGに金かけりゃなんでももはや出来る。
結局絵じゃなくてストーリーだ、というのは、
そろそろみんな分かってきたのだろうけど)



何故実写化は、ことごとく失敗し、爆死するのか?

浅く考えて、二次創作が下手くそなのだ。
キャラも改変されるし設定も改変されるし、
そんな下手くそな二次創作なんか幕張に並べられねえぜ。

深く考えて、映画になってないのだ。
映画脚本のなんたるかについて、
無知だからだ。
脚本家も監督もプロデューサーもね。


マーベルは何故上手くいっているか?
二次創作も上手で、映画脚本も上手だからではないかな。
ドラマ風魔もここに属すると自負する。
予算は1/10000ぐらいだけどね。
posted by おおおかとしひこ at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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