2015年10月25日

思いの強さ

その人は、どうしてそれを強く思うのだろう。
どうしてそうなりたいと思うのだろう。
どうしてそうしたいと思うのだろう。
どうしてそこに拘り、そこを譲らないのだろう。
どうして自分の人生と引き換えに、命と引き換えに、
それを選ぶのだろう。

そこを上手く(単なる説明でなく、グッと来るように)書けたら、一人前である。


それはその人の過去の体験から来るものだろうか。
今経験している状況から来るものだろうか。

おそらく、その二重がけである。
過去の思いと現在の状況が、
強い思いをつくり、強い動機をつくり、未来を変えるのではないか。

物凄い当たり前だけど、それをちゃんと書ける人、
つまり皆が感情移入するように書ける人は少ない。

コンプレックスやトラウマが一時期流行ったのは、
過去の強い思いを創作しやすいからだ。
そうじゃない感じをあなたは新しく作り出そう。
「キックアス」「かいじゅうたちのいるところ」の、 その辺りは絶妙だ。
(後者は二幕以降糞につき注意)


強い思いは、話の旨味成分のようなものだ。
噛みしめれば噛みしめるほど旨い。
てんぐ探偵の最終巻あたり、
ドラマ風魔の小次郎の最終巻あたりは、
シンイチや小次郎の強い思いが上手く書けたと思っている。

何故あなたの主人公や脇役は、
そんなにも思いが強いのか。

よくあるのは、最初に強い思いを走らせて、
あとから実はこうだったのだ、と内面を吐露するパターンだ。
「愛と青春の旅立ち」のミッドポイントは、
秀逸な場面がある。
鬼軍曹に対して自分の思いを吐露するシーンだ。
リチャードギアの、一世一代の名芝居だと思う。

ここまで書いて気づいたが、風魔6話の冒頭、
「誰にも知られず働いて…」の名シーンに、構造が似てるね。


さらによくあるパターンは、
過去から続く現在の悲惨な状態を描き、
ある事件をきっかけに、強い思いへと、
内面の思いが成長していくパターンだろう。
オーソドックスなので、どこでも見ることが出来る。

てんぐ探偵では、
心の闇に取り憑かれる過程をわりと丁寧に描いている。
オーソドックスパターンだ。



なぜその人は、そんなにも強い思いを抱き、
そんなにも強い動機があるのか?
それが、ドラマチックだということさ。
posted by おおおかとしひこ at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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