進撃の巨人の宣伝ビジュアル責任者に、
かなりの非があると僕は思っている。
漫画やアニメの宣伝ビジュアル、
実写の宣伝ビジュアルでよく見たものが、
立体起動装置をつけた主人公が、
壁の向こうにいる超大型巨人(人体模型みたいな肉のやつ)に、
挑んでいる、というビジュアルだったからだ。
蓋をあけてみれば、
超大型巨人はただのツカミで、
本編はギャグみたいな新橋の巨人との闘いがメインだからである。
羊頭狗肉という言葉を、
宣伝ビジュアル責任者は知らないのだろうか?
それとも、自分の頭で判断せず、
上からの命令をただ実行しただけなのか?
それはどちらでもいい。
結果は、
宣伝ビジュアルから期待される、
超大型巨人対立体起動装置主人公の、
クライマックスがどこにもなく、
全編ギャグみたいなおっさんとの闘いばかり見させられることである。
(原作版では、新橋のおっさん→女型→鎧→超大型→猿と、
巨人たちがレベルアップして行くため、
新橋のおっさんはスライム扱いだ。
ところが糞実写版では、
それがジョーズ並のラスボス軍団に描かれる)
看板詐欺。
そうとしかいいようがない。
あの糞実写版の正しい宣伝ビジュアルをつくるなら、
新橋の全裸のおっさん対主人公軍団にするべきであり、
決して超大型巨人を使うべきではない。
ところが、デザイン的に超大型巨人が優れているため、
これが作品のイコンになってしまっている。
僕は原作を読んでいるとき、
その超大型巨人の正体が分かったとき、
かなりガッカリした。
なんだよ、俺の期待を返してくれよと。
超大型巨人対主人公のイコンが示す物語は、
正体が人間の巨人ではない、
巨人というモンスターを、
小さな主人公が科学と知恵と勇気でぶっ倒す、
いわば一寸法師的な、勧善懲悪のはずである。
そうなっていないから、
みんな期待外れになるのである。
そもそも本編がヤバい出来だから、
せめて看板を面白そうにする、
という興行上の詐欺は、
それこそ見世物小屋の常套手段だ。
問題は、
昭和なら騙された客が暴動を起こす前に、
ヤクザが介入したり、さっさと小屋を畳んで次の小屋を作ればよかったのに、
現代ではそうもいかないところである。
すなわち、糞実写進撃の巨人は、
昭和的な映画の作り方の終焉であり、
今の時代の映画の作り方が確立されていないことを、
如実に表しているのである。
おい東宝さん大丈夫か。
アホみたいにガワのシネコンばっか作っといて、
本体の映画の作り方を作ってないやないか。
イコンとは、本編の本質をワンビジュアルで示したものだ。
それが斬新で面白ければ、
そして本編の本質を示している限り、
本編の面白さは保証されたようなものだ。
そのようなものを、あなた方は作りなさい。
2015年10月29日
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