ロールモデルとは、
ある種の「人の生き方の見本」を、
物語の中に見いだす、ということである。
ヒーローものを見れば、そのように人生で生きたいと思うし、
働くウーマンものを見れば、事態の打開の仕方が現実の参考になる。
台詞の言い方を真似したり、
こういうときはこう言ったり行動したりするといい、
というお手本が、物語の中にある、ということである。
仏教説話や道徳話は、
(その宗派上の)よき生き方というロールモデルを、
物語の中に表現したものである。
つまりは、
人は物語の登場人物を真似して、
参考にして、
成功のイメージを自分のなかに持ち、
そのように生きたいと思う、
ということである。
受け手側にいるときは当たり前のこういう事実も、
書き手側にまわると、ついつい書くのに必死でこういう目線を忘れているものだ。
あなたの主人公は、憧れられている。
あなたの主人公は、真似される。
あなたの主人公の成功の仕方を真似すれば、人生が上手くいくように錯覚される。
だから、
適当に成功例を捏造することは出来ないのである。
あなたが「成功する主人公」をなかなか上手く書けないのは、
人生における成功のロールモデルをよく知らないからかも知れない。
マンガや創作物レベルではなく、
現実レベルの成功例、という意味である。
人生の成功者(芸能人や社長、作家やスポーツ選手という分かりやすい成功から、
仕事のプロジェクトの成功から、
文化祭の成功レベルから、
告白の成功ぐらいまでの、さまざまな階層がある)
と会い、あるいは時間をともに過ごし、
成功とはどういうことか、ということを「肌で知る」ことは大事だ。
読み物ではなく、じかに話すのが一番いい。
何故なら、その人が成功のロールモデルにあなたの中でなるからだ。
たとえば会社に入ったとき、
成功している先輩を見れば、
その会社内での出世のロールモデルがわかる。
その先輩を手本にすればよいからである。
たとえば合コンにいったとき、
やりちんのやり方を見ていれば、
モテのロールモデルを彼にすればよい。
頭の中で彼を動かせば、モテる男を架空の世界で動かすことは出来るだろう。
男が女を書くのが下手(女はその逆)なのは、
異性の友達が少なかったり、
異性と付き合う体験に乏しいからだ。
(異性の兄弟がいると上手く書けたりする)
頭の中に、成功する人のイメージが克明にあれば、
成功する人を書くことが出来るだろう。
そしてそれは、
観客たちの頭の中でロールモデルになり、
お手本にされるのである。
あなた自身で一から作れるか?
多分それは難しい。
マンガ的な世界なら可能かも知れないが、
現実世界ベースの映画ではリアリティーが薄いだろう。
脚本家(や小説家)は、
周囲にいる人をモデルにしたり、
取材していろんな人に会って、
新しい人物像を作り出すものである。
あなたの人物像が薄っぺらいのは、
頭の中で作っているだけで、
現実世界での成功のリアリティーが薄いのかも知れない。
人々は、物語を真似して、人生の成功の参考にする。
そのレベルをあなたが提供しない限り、
そういう見方をされないだろう。
2015年11月05日
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