2015年11月05日

ロールモデル

ロールモデルとは、
ある種の「人の生き方の見本」を、
物語の中に見いだす、ということである。

ヒーローものを見れば、そのように人生で生きたいと思うし、
働くウーマンものを見れば、事態の打開の仕方が現実の参考になる。
台詞の言い方を真似したり、
こういうときはこう言ったり行動したりするといい、
というお手本が、物語の中にある、ということである。

仏教説話や道徳話は、
(その宗派上の)よき生き方というロールモデルを、
物語の中に表現したものである。


つまりは、
人は物語の登場人物を真似して、
参考にして、
成功のイメージを自分のなかに持ち、
そのように生きたいと思う、
ということである。

受け手側にいるときは当たり前のこういう事実も、
書き手側にまわると、ついつい書くのに必死でこういう目線を忘れているものだ。

あなたの主人公は、憧れられている。
あなたの主人公は、真似される。
あなたの主人公の成功の仕方を真似すれば、人生が上手くいくように錯覚される。

だから、
適当に成功例を捏造することは出来ないのである。


あなたが「成功する主人公」をなかなか上手く書けないのは、
人生における成功のロールモデルをよく知らないからかも知れない。
マンガや創作物レベルではなく、
現実レベルの成功例、という意味である。

人生の成功者(芸能人や社長、作家やスポーツ選手という分かりやすい成功から、
仕事のプロジェクトの成功から、
文化祭の成功レベルから、
告白の成功ぐらいまでの、さまざまな階層がある)
と会い、あるいは時間をともに過ごし、
成功とはどういうことか、ということを「肌で知る」ことは大事だ。
読み物ではなく、じかに話すのが一番いい。
何故なら、その人が成功のロールモデルにあなたの中でなるからだ。

たとえば会社に入ったとき、
成功している先輩を見れば、
その会社内での出世のロールモデルがわかる。
その先輩を手本にすればよいからである。

たとえば合コンにいったとき、
やりちんのやり方を見ていれば、
モテのロールモデルを彼にすればよい。
頭の中で彼を動かせば、モテる男を架空の世界で動かすことは出来るだろう。

男が女を書くのが下手(女はその逆)なのは、
異性の友達が少なかったり、
異性と付き合う体験に乏しいからだ。
(異性の兄弟がいると上手く書けたりする)

頭の中に、成功する人のイメージが克明にあれば、
成功する人を書くことが出来るだろう。

そしてそれは、
観客たちの頭の中でロールモデルになり、
お手本にされるのである。


あなた自身で一から作れるか?
多分それは難しい。
マンガ的な世界なら可能かも知れないが、
現実世界ベースの映画ではリアリティーが薄いだろう。

脚本家(や小説家)は、
周囲にいる人をモデルにしたり、
取材していろんな人に会って、
新しい人物像を作り出すものである。

あなたの人物像が薄っぺらいのは、
頭の中で作っているだけで、
現実世界での成功のリアリティーが薄いのかも知れない。



人々は、物語を真似して、人生の成功の参考にする。
そのレベルをあなたが提供しない限り、
そういう見方をされないだろう。
posted by おおおかとしひこ at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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