プロットは難しい、という検索ワードで来た人がいた。
そうかな?難しくないよ。
たとえば「桃太郎」。
川から流れてきた巨大な桃をまっぷたつにすると、
中には赤ん坊が!
彼は桃太郎と名付けられ、成長すると鬼退治に。
イヌサルキジを家来につけ、鬼退治をする。
ぐらいでいいよ。
問題は、「で、どこが面白いの?」
と悩みはじめてからだろう。
つまり、プロットは書けたとしても、
「面白いプロット」を書くのが難しいのではないかなあ。
プロットはあらすじみたいなもの(結末まで書いたもの)
だから、日本語が出来れば、
長い短いはおいといて、
上手下手もおいといて、
書けないということはないだろう。
とりあえず書くことは出来る。
問題は、
ちゃんと的確に書けてるかどうかとか、
面白いかどうかとかだ。
では、桃太郎に戻ってみよう。
そもそも桃太郎という話は、
何が面白いんだっけ。
僕は、吉備団子で動物を家来にする中盤も、
鬼退治をする終盤にも、
あまり魅力を感じたことがない。
桃太郎の話で一番面白いのは、
登場だ。
なにい〜桃の中から赤ん坊があっ!
という部分の面白さを越える突飛な部分は、
これ以降存在しない。
(浦島太郎は、落ちが一番面白いタイプ)
ということで、それをプロットで表すなら、
そこが一番面白そうに書けていればそれでいい。
プロットを面白くしようとすると、
解説が長くなっていってしまうものだ。
これこれこういうディテールが面白いのだ、
になってしまうからである。
プロットにおいては、バッサリそこは切ろう。
ひとつだけ、ここが面白いですよ、
という所だけ、重点を置くにとどめよう。
プロットは、全てではない。
所詮は作品の一部に過ぎない。
なんでこの作品(のストーリー)が面白いと言えるのか、
この作品のどこがグッと来るのか、
について、短い文章で答えたもの、
と思ってよい。
ひとつだけ残すとしたら、
どこがいいと思って、
これを書こうとしてるのか。
それが伝わるように書き、
あとはうまく省略すればいい。
短い文章なのだから、重点を絞ることだ。
すべてのディテールを書いてアピールする文章ではない。
削ぎ落として何が残るかを、常に考えよう。
積算ではなく本質を書くのである。
何が自分の書こうとしているものの本質か、
捉えるのが難しい、
という質問なら、わかる。
コツは、自分のストーリー的な自信のある場面だけを、
切り出してみることだ。
クライマックスでもいいし、そうでなくてもいい。
ひとつの台詞とか、動作に、最終的に落ちると思う。
それが核になる。
それが面白い筈、というあなたの確信をまず得ること。
そして引いた目で見て、客観的にそれはどう受け入れられるのだろうか、
という目で見るのだ。
客観的にそれを面白そうに書けば、
それがちゃんと面白さを伝えるプロットになると思うよ。
第一、プロットなんて、単なるメモに過ぎないのだよ。
これから十本ぐらい書こうとしているのだけど、
全部書いてたら手間なので、
ざっくり十本プロット書いて俯瞰しようかな、
というときにしか、プロットなんて使っちゃいけない。
たった一本書くときに、
ああでもないこうでもないとプロットを書くのは、
僕はあんまり意味がないと思う。
最後までプロットが書けてれば、
もう書いちゃったほうが早い。
あなたの仕事は、プロットを書くことじゃなくて、
脚本を書くこと。
プロットは準備運動にすぎないよ。
プロットは、どこが面白いのか、
まるで本編を見たときと同じ感情を抱くように書かれるのが、
理想だ。
桃太郎の例は、本編の感情、すなわち登場にきちんとフォーカス出来ているので、
正しいプロットだと思う。
本編が中盤終盤が詰まらないのは、
プロットのせいじゃなく、本編のせいだ。
これが執筆前なら、やべえぞ、中盤終盤が序盤に負けてる、
もっと面白くしなきゃ、と気づけるはずである。
プロットは、そうやって使う。
所詮は、執筆のための道具にすぎないのだ。
プロットが難しいんじゃなくて、
話を組み立てたりばらしたりすること、
そのものが難しいんだよな。
先日アップした「UFOライダース」のあらすじを参考に見てみよう。
(制限文字数の関係で、だいぶたっぷり書いてある)
コメントにもあったが、ネタであるところの、
ドローンレースの面白さについてはバッサリ省略している。
(その代わり映像をつけた)
あらすじは、繁と水本の友情ものに絞っている。
一番グッと来るのはどこ?
「友達のピンチになにもしない奴なんて、友達じゃない」
と、繁が自分の言葉を反芻して、
水本の為に動くところかな。
あるいは、クライマックスからラストかな。
どっちもある。
多分、場面じゃなくて、一連の流れがいいんだよね。
一連の流れ?
それこそ、ストーリーそのものじゃあないか。
つまり。
いいプロットてのは、
場面じゃなくて、流れとして面白いかどうかだ。
そこに至るには年季がいるけれど。
まずは、一番いいところだけを、
ちゃんと書けるようにしよう。
プロットなんてそのレベルでいい。
「その話は、どこが何故面白いの?」
に答えられる、最初から最後まで書いた短い文章なら、
なんでもいい。
面白い部分を考えるのが難しい、
には大いに同意だ。
2015年11月19日
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