2015年11月19日

プロットは難しい?

プロットは難しい、という検索ワードで来た人がいた。

そうかな?難しくないよ。
たとえば「桃太郎」。

川から流れてきた巨大な桃をまっぷたつにすると、
中には赤ん坊が!
彼は桃太郎と名付けられ、成長すると鬼退治に。
イヌサルキジを家来につけ、鬼退治をする。

ぐらいでいいよ。

問題は、「で、どこが面白いの?」
と悩みはじめてからだろう。


つまり、プロットは書けたとしても、
「面白いプロット」を書くのが難しいのではないかなあ。

プロットはあらすじみたいなもの(結末まで書いたもの)
だから、日本語が出来れば、
長い短いはおいといて、
上手下手もおいといて、
書けないということはないだろう。
とりあえず書くことは出来る。

問題は、
ちゃんと的確に書けてるかどうかとか、
面白いかどうかとかだ。


では、桃太郎に戻ってみよう。

そもそも桃太郎という話は、
何が面白いんだっけ。

僕は、吉備団子で動物を家来にする中盤も、
鬼退治をする終盤にも、
あまり魅力を感じたことがない。
桃太郎の話で一番面白いのは、
登場だ。
なにい〜桃の中から赤ん坊があっ!
という部分の面白さを越える突飛な部分は、
これ以降存在しない。
(浦島太郎は、落ちが一番面白いタイプ)

ということで、それをプロットで表すなら、
そこが一番面白そうに書けていればそれでいい。


プロットを面白くしようとすると、
解説が長くなっていってしまうものだ。
これこれこういうディテールが面白いのだ、
になってしまうからである。

プロットにおいては、バッサリそこは切ろう。

ひとつだけ、ここが面白いですよ、
という所だけ、重点を置くにとどめよう。


プロットは、全てではない。
所詮は作品の一部に過ぎない。

なんでこの作品(のストーリー)が面白いと言えるのか、
この作品のどこがグッと来るのか、
について、短い文章で答えたもの、
と思ってよい。


ひとつだけ残すとしたら、
どこがいいと思って、
これを書こうとしてるのか。
それが伝わるように書き、
あとはうまく省略すればいい。

短い文章なのだから、重点を絞ることだ。

すべてのディテールを書いてアピールする文章ではない。
削ぎ落として何が残るかを、常に考えよう。
積算ではなく本質を書くのである。


何が自分の書こうとしているものの本質か、
捉えるのが難しい、
という質問なら、わかる。

コツは、自分のストーリー的な自信のある場面だけを、
切り出してみることだ。
クライマックスでもいいし、そうでなくてもいい。
ひとつの台詞とか、動作に、最終的に落ちると思う。
それが核になる。
それが面白い筈、というあなたの確信をまず得ること。
そして引いた目で見て、客観的にそれはどう受け入れられるのだろうか、
という目で見るのだ。
客観的にそれを面白そうに書けば、
それがちゃんと面白さを伝えるプロットになると思うよ。


第一、プロットなんて、単なるメモに過ぎないのだよ。
これから十本ぐらい書こうとしているのだけど、
全部書いてたら手間なので、
ざっくり十本プロット書いて俯瞰しようかな、
というときにしか、プロットなんて使っちゃいけない。

たった一本書くときに、
ああでもないこうでもないとプロットを書くのは、
僕はあんまり意味がないと思う。
最後までプロットが書けてれば、
もう書いちゃったほうが早い。
あなたの仕事は、プロットを書くことじゃなくて、
脚本を書くこと。
プロットは準備運動にすぎないよ。


プロットは、どこが面白いのか、
まるで本編を見たときと同じ感情を抱くように書かれるのが、
理想だ。

桃太郎の例は、本編の感情、すなわち登場にきちんとフォーカス出来ているので、
正しいプロットだと思う。
本編が中盤終盤が詰まらないのは、
プロットのせいじゃなく、本編のせいだ。
これが執筆前なら、やべえぞ、中盤終盤が序盤に負けてる、
もっと面白くしなきゃ、と気づけるはずである。
プロットは、そうやって使う。
所詮は、執筆のための道具にすぎないのだ。

プロットが難しいんじゃなくて、
話を組み立てたりばらしたりすること、
そのものが難しいんだよな。


先日アップした「UFOライダース」のあらすじを参考に見てみよう。
(制限文字数の関係で、だいぶたっぷり書いてある)

コメントにもあったが、ネタであるところの、
ドローンレースの面白さについてはバッサリ省略している。
(その代わり映像をつけた)
あらすじは、繁と水本の友情ものに絞っている。

一番グッと来るのはどこ?
「友達のピンチになにもしない奴なんて、友達じゃない」
と、繁が自分の言葉を反芻して、
水本の為に動くところかな。
あるいは、クライマックスからラストかな。
どっちもある。
多分、場面じゃなくて、一連の流れがいいんだよね。

一連の流れ?
それこそ、ストーリーそのものじゃあないか。


つまり。
いいプロットてのは、
場面じゃなくて、流れとして面白いかどうかだ。
そこに至るには年季がいるけれど。

まずは、一番いいところだけを、
ちゃんと書けるようにしよう。

プロットなんてそのレベルでいい。
「その話は、どこが何故面白いの?」
に答えられる、最初から最後まで書いた短い文章なら、
なんでもいい。

面白い部分を考えるのが難しい、
には大いに同意だ。
posted by おおおかとしひこ at 12:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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