二幕前半はとかく難しい。
とくに一幕から順に書いたとき、
大抵息切れしてしまうポイントだと思う。
第一ターニングポイント後の二幕前半は鬼門だ。
そう思うのなら、そこから書いてしまえという方法論。
二幕前半の役割は、
目の前の大問題を明らかにしながら、
それを少しずつ解決していくことで、
面白がらせることである。
大抵の場合、その映画のオリジナリティー溢れる、
面白いシーンが繰り広げられる。
そこのどこかのシーンが予告編に使われ、
その映画と言えばそのシーン、という、
映画を代表するシーンがそこにあることが多い。
ブレイクシュナイダーは、これをお楽しみポイントと命名した。
たとえばプリティウーマンなら、
金を使って売春婦がセレブへ変身していくシーンがそれに当たる。
(当然、ヒット曲、プリティウーマンと共にだ)
プリティウーマンってどんな映画?
と言われたとき、
セレブへ変身していく映画、と一言でその話を代表する、
点の面白さを語れる。
これがよいお楽しみポイントの例である。
同様の例は、愛しのローズマリーだ。
心の美しさが見た目の美しさに見える、という催眠術をかけられた男が、
彼にはグウィネスパルトロウに見えているが実は100キロ以上の巨漢女と、
おかしなデートをする一連のシーンがある。
我らがロッキーは、特訓シーンだろうか。
実は違う。
特訓シーン(トレーニングモンタージュ)は二幕後半部に集中する。
実際に来るのは、エイドリアンとのデートである。
ロッキーは、実はボクシング映画ではない。
ラブストーリーだ。
もう少し正確にいうと、男の精神的自信回復に関する映画だ。
エイドリアンが不細工なのがいい。
決して美女に挑まないのが、とてもリアルでいい。
(そういえば続編で、成功者となって以後、
エイドリアン以外の美女に浮気するなんてのはあったっけ。
パブリックイメージ的になかったかもね)
そのリアルを丁寧に描いているからこそ、
ロッキーは青春映画だと僕は思う。
(詳しく研究していないが、
ロッキー2以降は、二幕前半は、相手役をどう攻略するかとか、
どう肉体を改造するかに割かれている気がする。
ロッキー2以降はバトル映画、ロッキー1と6は青春映画という違いは、
二幕前半にあると僕は思う)
さて。
あなたの映画は、何故面白がられるのだろう。
あなたの映画の面白い(爆笑コメディでなくともよい。
いいという意味)シーンは、どんなだろう。
興味が湧き、前のめりになり、
これは面白い話だぞ、と夢中になるのはどこだ。
それを、まず考えるのだ。
それはこれまで書いてきた通り、点のシーンが多い。
線のシーン(一幕の問題と三幕の解決という繋がり)ではなく、
単なる楽しみとしての点だ。
面白い!というリアクションがある、
その場かぎりのものでよい。
まずそれを考えるのだ。
バトル、成長、コント、全能感を解放する、
不幸のどん底という悲劇、チェイスシーン、冒険シーン、
なんでもいい。
あなたがオリジナルで思いついた何かのシーンでいい。
あなたのやりたいことでいい。
それをアットランダムに書いてみよう。
それからそれらを秩序だてていくのである。
ああなってこうなってこう、という順番を考え、
因果関係をつくっていくのだ。
何故この人はこうするのか、何がしたいのか、
そもそもこの人は誰か、などである。
さて、二幕前半が見えてきたら、
次にすることは、
クライマックスを作ることだ。
大仕掛けのラストバトルか。
一対一のしびれる対面か。
なんでもいい。
お楽しみポイントから想像されるものでもいいし、
そうでなくてもいい。
何を決着をつけるのかを考え、
関わる人たちの動機や目的を整理しよう。
その結末をなんとなく考えよう。
で、逆算で一幕を作るのだ。
そもそもこの一連の騒動は、
どんな発火点からはじまったのかを。
それに巻き込まれることになる主人公はどんな奴で、
そもそもどんな目的を持っている途中で、
巻き込まれることになったときに、
この大事件に関わらざるを得ない理由を作り上げるのだ。
当然、あとあと出てくる奴らや世界のものの前ふりが、
このあたりで必要になる。
それらを上手く配置するだけで一幕は埋まってしまうだろう。
じゃ、あとはそれらを整理してクライマックスへ繋ぐ、
二幕後半を創作してしまえばいい。
テーマはクライマックスの結末から、逆算で一幕に仕込んであるよね?
なんだか、テーマから入ったり、
一幕のオープニングや日常から作り始めるよりも、
合理的なやり方のような気がするではないか。
勿論、最初から最後まで何度か書いた人でないと、
文字数や尺感が分からないだろうから、
万人にオススメの方法論ではないが。
よく二幕前半で挫折してしまうのなら、
この作り方でやってみてはどうだろう。
2015年11月21日
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