2015年11月21日

お楽しみポイントから考える方法

二幕前半はとかく難しい。

とくに一幕から順に書いたとき、
大抵息切れしてしまうポイントだと思う。
第一ターニングポイント後の二幕前半は鬼門だ。

そう思うのなら、そこから書いてしまえという方法論。


二幕前半の役割は、
目の前の大問題を明らかにしながら、
それを少しずつ解決していくことで、
面白がらせることである。

大抵の場合、その映画のオリジナリティー溢れる、
面白いシーンが繰り広げられる。
そこのどこかのシーンが予告編に使われ、
その映画と言えばそのシーン、という、
映画を代表するシーンがそこにあることが多い。

ブレイクシュナイダーは、これをお楽しみポイントと命名した。

たとえばプリティウーマンなら、
金を使って売春婦がセレブへ変身していくシーンがそれに当たる。
(当然、ヒット曲、プリティウーマンと共にだ)
プリティウーマンってどんな映画?
と言われたとき、
セレブへ変身していく映画、と一言でその話を代表する、
点の面白さを語れる。
これがよいお楽しみポイントの例である。
同様の例は、愛しのローズマリーだ。
心の美しさが見た目の美しさに見える、という催眠術をかけられた男が、
彼にはグウィネスパルトロウに見えているが実は100キロ以上の巨漢女と、
おかしなデートをする一連のシーンがある。

我らがロッキーは、特訓シーンだろうか。
実は違う。
特訓シーン(トレーニングモンタージュ)は二幕後半部に集中する。
実際に来るのは、エイドリアンとのデートである。
ロッキーは、実はボクシング映画ではない。
ラブストーリーだ。
もう少し正確にいうと、男の精神的自信回復に関する映画だ。
エイドリアンが不細工なのがいい。
決して美女に挑まないのが、とてもリアルでいい。
(そういえば続編で、成功者となって以後、
エイドリアン以外の美女に浮気するなんてのはあったっけ。
パブリックイメージ的になかったかもね)
そのリアルを丁寧に描いているからこそ、
ロッキーは青春映画だと僕は思う。
(詳しく研究していないが、
ロッキー2以降は、二幕前半は、相手役をどう攻略するかとか、
どう肉体を改造するかに割かれている気がする。
ロッキー2以降はバトル映画、ロッキー1と6は青春映画という違いは、
二幕前半にあると僕は思う)


さて。
あなたの映画は、何故面白がられるのだろう。
あなたの映画の面白い(爆笑コメディでなくともよい。
いいという意味)シーンは、どんなだろう。
興味が湧き、前のめりになり、
これは面白い話だぞ、と夢中になるのはどこだ。

それを、まず考えるのだ。
それはこれまで書いてきた通り、点のシーンが多い。
線のシーン(一幕の問題と三幕の解決という繋がり)ではなく、
単なる楽しみとしての点だ。
面白い!というリアクションがある、
その場かぎりのものでよい。
まずそれを考えるのだ。


バトル、成長、コント、全能感を解放する、
不幸のどん底という悲劇、チェイスシーン、冒険シーン、
なんでもいい。
あなたがオリジナルで思いついた何かのシーンでいい。
あなたのやりたいことでいい。
それをアットランダムに書いてみよう。

それからそれらを秩序だてていくのである。
ああなってこうなってこう、という順番を考え、
因果関係をつくっていくのだ。
何故この人はこうするのか、何がしたいのか、
そもそもこの人は誰か、などである。


さて、二幕前半が見えてきたら、
次にすることは、
クライマックスを作ることだ。
大仕掛けのラストバトルか。
一対一のしびれる対面か。
なんでもいい。
お楽しみポイントから想像されるものでもいいし、
そうでなくてもいい。

何を決着をつけるのかを考え、
関わる人たちの動機や目的を整理しよう。
その結末をなんとなく考えよう。


で、逆算で一幕を作るのだ。

そもそもこの一連の騒動は、
どんな発火点からはじまったのかを。
それに巻き込まれることになる主人公はどんな奴で、
そもそもどんな目的を持っている途中で、
巻き込まれることになったときに、
この大事件に関わらざるを得ない理由を作り上げるのだ。

当然、あとあと出てくる奴らや世界のものの前ふりが、
このあたりで必要になる。
それらを上手く配置するだけで一幕は埋まってしまうだろう。

じゃ、あとはそれらを整理してクライマックスへ繋ぐ、
二幕後半を創作してしまえばいい。

テーマはクライマックスの結末から、逆算で一幕に仕込んであるよね?


なんだか、テーマから入ったり、
一幕のオープニングや日常から作り始めるよりも、
合理的なやり方のような気がするではないか。

勿論、最初から最後まで何度か書いた人でないと、
文字数や尺感が分からないだろうから、
万人にオススメの方法論ではないが。


よく二幕前半で挫折してしまうのなら、
この作り方でやってみてはどうだろう。
posted by おおおかとしひこ at 02:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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